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手嶋 龍一 氏
総会記念講演要旨「インテリジェンス感覚を磨くために−動乱の国際政局を読み解く−」
外交ジャーナリスト・作家
手嶋 龍一
PROFILE
外交ジャーナリスト・作家。元NHKワシントン支局長。9.11同時多発テロ事件に際しては11日間にわたる24時間連続放送を担い、その冷静で的確な分析は視聴者の圧倒的な支持を得た。
現在は、慶応義塾大学大学院教授としてインテリジェンス論を担当し、外交・安全保障を中心に後進の指導にも積極的に取り組んでいる。

去る6月19日、横浜中法人会第3回通常総会がワークピア横浜で開催され、冒頭の記念講演で、外交ジャーナリスト・作家の手嶋龍一氏が「インテリジェンス感覚を磨くために」と題して講演を行った。

手嶋氏は、NHKの国際報道の中心にあって、ワシントン支局長時代には9.11同時多発テロの現場からの連続中継などで広く知られ、また、ベストセラーになった『ウルトラ・ダラー』をはじめとするインテリジェンス小説のほか、ノンフィクション作品も多数出版している作家・ジャーナリストであり、慶応大学の教授でもある。(末尾参照)

当日の講演は、手嶋氏自身の経験・分析や人脈から得られた選りすぐりの情報が惜しげもなく伝えられ、参加者に強い印象を与えた(なお、講演には機微にわたる内容もあり、これらを誌面に再現できないのはまことに残念であるが、仕方のないところであろう)。

講演の内容を自分なりにまとめつつ、私自身が学んだいくつかを紹介したい。

まず、現在のわが国を取り巻く国際環境についての概説があった。

「南シナ海における中国とベトナムの衝突が意味すること」を歴史的に紐解きつつ、「中国の海洋進出の計画性」が指摘された。そうした文脈の下で「尖閣問題のもつ国際的に象徴的な重要性」が説明されるとともに、「常に最悪の事態を想定、覚悟しておくことがリーダーには求められる」という部分には背筋が伸びる思いであった。

尖閣問題から続けて、日米関係についての動向が解説された。

わが国の政権交代以来明らかになった「日米同盟関係のゆらぎはオバマ来日によって修復されたのだろうか」という問題意識から分析してみると、来日によって表面的には同盟強化がうたわれたとはいえる。しかし、大統領が国賓であるにもかかわらず、夫人同伴でなかったことなど日本軽視もうかがえるだけでなく、オバマ政権内には、対中関係と日米関係を等距離扱いしようとする動きも依然として存在しているところが問題であるという。

歴史的に見てみると、「朝鮮戦争勃発の引き金になったアチソン国務長官発言に注目せざるをえない」、すなわち、国際関係においては弱い姿勢を示すことが自国の安全にとって極めて危険な場合があることを、忘れてはならない。

こうした戦略的な観点からみると、現在の日本、特に「安倍政権の対応については、いささか国際情勢分析に甘さがみられた」、「日米関係に遠心力が働きかねない状況で、靖国神社参拝を強行したため、安倍首相はオバマ大統領を明らかに怒らせてしまい事態の収拾にも手違いがみられた。」要するに、結果への責任をもつリーダーは決断・実行にあたっていかに慎重な情勢分析が必要か、ということと受け止めた。

第2次安倍政権では、積極的な外交で対中包囲網を形成しつつあったが、いまは逆に「対日包囲網をいかに打破してゆくかを考える必要がある」状況になった、といわれた。そして、その中でいかなる選択肢があるか、として以下のような見方を示した。

すなわち、大きくとらえると「アジアをめぐる国際政局は、(胴饉臚海裡圍丕个鉢中国主導のASEAN+6せめぎあい」であり、日本としては立ち位置を誤ると取り返しのつかないことになる、ということである。

後半では、日本人として身につけるべきインテリジェンス感覚の磨き方を説明されたが、私個人としてはこの部分が最も参考になったと思われる。そのいくつかを書き出してみよう。

「インテリジェンスとは、一般情報の海から、事態の本質を引き出し、内容の真贋を確かめ、詳細な分析を加えて紡ぎだされた情報のエッセンスである」と定義し、「インテリジェンスとインフォメーションの違いを日本語では同じ情報と訳すため、インテリジェンスについての理解がまだまだ足りない」という。

「インテリジェンスはリーダーが下すべき決断のよりどころとなる」これはわれわれ経営者にとっても、極めて重要な指摘だと思われた。安易な経営判断をしていないか、反省しなければならない。

手嶋氏は会場に向かって、「貴社では、社長に上がる情報はインテリジェンス情報かインフォメーション情報か」との質問を投げかけていたが、身につまされたのは自分だけであろうか。

「インテリジェンスにも、収集-分析-精査-決定( 行動) -収集-のインテリジェンスサイクルがある」これは経営におけるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルと類似でなじみやすい。

「インテリジェンスに同盟なし」これは独立国として独自の専門的分析チームが必要なことを述べたところであるが、われわれ経営者も同業者での内輪話で経営の方向性を判断していなかったか、反省させられるところである。

「防衛力に乏しい日本はウサギのような鋭い耳が必要」、これは競争の激しい会社間でも同じことでなくてはならない。

手嶋氏は、講演中もいくどか、「横浜という地の歴史的な "情報先進地" 性」を指摘しつつ、変貌する国際情勢に積極的に対応・貢献できる横浜の企業を目指してほしい、とのエールをいただき、まことに印象的であった。

手嶋氏には、ご多忙の中、極めて興味深いテーマでのご講演に厚くお礼申し上げるとともに、ますますのご活躍を祈るばかりである。

公益社団法人横浜中法人会
副会長 高橋 伸昌

■手嶋龍一氏主要著作
  ●フィクション         
  『ウルトラ・ダラー』(新潮文庫)
  『スギハラ・サバイバル』(新潮文庫)
  ●ノンフィクション
  『たそがれゆく日米同盟』(新潮文庫)
  『ブラックスワン降臨』(新潮社)
  『知の武装』(佐藤優氏と共著/新潮新書)

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