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北野 大 氏
総会記念講演要旨「地球環境を救う新しいライフスタイルへ」
淑徳大学教授/工学博士
北野 大
PROFILE
昭和17年5月29日、東京都足立区生まれ。
昭和40年3月、明治大学工学部卒業。
昭和47年3月、東京都立大学大学院 工学研究科工業化学専攻博士課程修了。
分析化学で博士号を取得。学位論文:光分解−ガスクロマトグラフィの研究)専門は、環境化学。
2008年度より明治大学大学院 理工学研究科 新領域創造専攻教授(環境安全学研究室)2013年度より、現職。

20世紀の二つの経験

1.資源の枯渇

20世紀の人類は、今までにない経験を二つしました。一つは、資源の枯渇です。経済成長と人口増加が今のまま続くと、資源が枯渇する。世界の人口は、19世紀は10億が16億になり、20世紀は16億から60億まで爆発的に増えているのです。

資源の枯渇には二種類あります。一つはエネルギー資源である石炭・石油・天然ガス(化石資源)の枯渇。これらは有機炭素化合物ですから、酸素と反応して(燃えて)不可逆的に無機炭素化合物である二酸化炭素という別物になる。「不可逆的」というのは元に戻らない、つまり無くなるということ。

元に戻るのは「可逆的」です。もう一つの資源・鉱物資源である、たとえば鉄は、錆びても製鉄所で還元すれば元に戻る。でも資源として無くなるというのは、なぜかというと、鉄はある一定の含有率がないと製鉄原料にならないから、捨てられて錆びた鉄分が入っている土は鉄が入っていますが使えない。鉱物資源は、使えない状態になるから無くなると言うのです。ですから、空き缶はきちんとリサイクルをしないといけない。

エネルギー資源の確認可採年数というのは、あと何年掘れるか、ということで、天然ガス66年、石炭230年、石油44年と言われています。石油がいちばん確認可採年数が短い。そして3分の2が中東で産出されるので(取り合いになって)中東はもめるのですね。財産があるともめる。私のペンキ職人の父が一つだけ偉かったのは子孫に遺産を残さなかったことです。残したのはペンキの刷毛と雪駄だけ(笑)。

石炭は世界中に分布しています。土の中にある物は「資源」ではない。それらを使える状態にしなくてはいけない。掘る技術がなかったら使えません。山の木を切って(坑道が)くずれてこないように天板で押さえたり、精錬が必要。大変な技術で、その継承は大切です。伊勢神宮の建て替えは20年ごとで、材料の木はもっと長い年数保つのですが、携わった人がいるうちに次の建て替えをするのです。技術の継承という面で素晴らしい智恵ですね。

20世紀の二つの課題

2.温暖化

もう一つ、20世紀に人類が初めて経験したのは気候変動。温暖化です。過去100年で地球の気温は0.74℃上がりました。僅かなようですが、地球の平面の平均気温は15℃ですから、0.74℃上がると、人間(体温)に換算すると38.5℃くらいになり、結構熱っぽいです。その原因は化石燃料(を燃やして出たCO2)です。

温暖化の原因は、地球の地軸がずれたためという説もありますが、我々が取っている説は、人類が二酸化炭素(CO2)を出したからというもので、世界的な学会でも原因は人為的なものと言っています。人間の産業活動が地球の気候を変えるまでの規模になったのは、有史以来初めてのことです。

南極のボストーク観測基地で氷を掘り出して分析しています。雪が詰まって氷になり気泡が入っています。それを分析するとCO2濃度のほか気温と年代がわかる。

15万年くらいまでのデータから明らかにCO2の濃度変化と気温の変化は一致している。CO2が気温上昇の原因であることは間違いはない。だから、いかにCO2の発生を抑えるかを今議論しているわけです。

気候変動の話は19世紀から言われています。日本では1930年代に宮沢賢治が「グスコーブドリの伝記」で火山が噴火すればCO2が出て温暖化するという話を書いていますが、地球温暖化問題が関心を集めたのはここ20年前くらいからです。なぜでしょうか。被害が目に見えてきたからです。島国ツバルは水位が上がって街中が水浸し。アルプスの氷河が後退している。それに集中豪雨など異常気象。もう一つの理由は、東西冷戦構造が崩壊したので、世界のリーダーが国の安全保障から環境にやっと目を向けるようになったのです。

気候変動(温暖化)の、いちばんの原因はエネルギーを消費して出すCO2で、温暖化問題はエネルギー問題と日本では言えます。どういうエネルギー源を選択するか。今までは(CO2排出の少ない)原発に依存していましたが、もう難しい。

では、日本ではCO2をどのくらい出しているのでしょうか。わが国のゴミは、産業廃棄物と家庭から出る一般廃棄物で合計年間4億5千万トン。CO2は気体ですが、廃棄物です。CO2だけで、年間13億トン弱、ゴミ全体の3倍弱出しています。いかに大変かということです。

このままでいくと(温暖化で)100年後に気温が1.4℃〜5.8℃上がると予測されています。予測値に幅がありますが、生活者としては悪いほうを考える。環境に保険をかけるのです。私の女房は「保険というのは掛け金が無駄になるのが幸せなんです。無駄になった掛け金が、不幸にも亡くなった方に支払われる。広い意味の社会福祉です」。いいことを言うなと思いましたが、生命保険会社に勤めていたので(笑)。火災保険、生命保険に入るのは、もらい火するかもしれない、交通事故に遭うかもしれないという最悪の事態を考えているからです。地球の温暖化も、生活者としては5.8℃上がると悪く考えて対策を取ることです。

これからの安全対策

さて、本論です。将来的にどうするか。安全対策はフェイル・セーフ(fail safe誤っても安全)にしておくことです。機械は必ず故障する、人間は過ちを犯すというのが、我々安全学を学ぶ者にとっての前提です。例を挙げると、渋谷の温泉で爆発事故がありました。汲み上げた地下水に入っているメタンを飛ばすために、分離器を地下室に作ったのです。出てきたメタンを換気扇で飛ばせばいい。そのとおりですが、換気扇が機能しなくなることを考えなかったので、メタンが充満してしまった。屋上に作れば換気扇が止まっても(メタンを排出できて)大丈夫です。これがフェイル・セーフです。

水道の蛇口は、昔は下ろすと水が出るようにしてあった。阪神淡路大震災では上から物が落ちてきて当たり、水が出っぱなしになって、以降、下ろすと止まるようにした。踏切の遮断器も、電車が来るのに上がるのは困る。電車が来ないのに降りるのはいいので、電源が切れたら降りるようになっている。今の原発はフェイル・セーフになっていない。多重防御しているが全部破られてしまったのが今回の震災でした。今の原発は、人間が冷やして止めて封じ込めるという、多重防御で能動安全。そうではなくて、受動安全、止まってしまう、冷やされてしまう、封じ込められてしまうというフェイル・セーフの原発を作らなくてはいけない。

心の豊かさへシフトしよう

エネルギー問題は私たちの価値観の問題に関係します。私は10年ほど前から言っているのですが「物の豊かさから心の豊かさへシフトしよう」。物は既に十分にあるじゃないですか。また、物に価値観を置いているといかに儚いか。物の豊かさを測るのは簡単です。貯金がいくらあるか、土地がどれだけあるか。心の豊かさは、何をもって豊かさというか。それは、それぞれの人が考えることだと、私は思っています。私の考えでは、「生きがい」です。「生きがい」とは何か、「感動すること」と「感謝されること」だと思います。

最後に、式を見てください。

幸福感=○○○分の△△△

幸福感を大きくするには、いかに分子△△△を大きく、分母○○○を小さくするかです。この式で、分母○○○と分子△△△に何が入るかわかるでしょうか。分母○○○は「欲求」、分子△△△は「財」です。今まで我々は、幸福感を大きくしようと、分子の「財」を大きくすることに熱心でした。あれも欲しい、これも欲しいと欲求を出せば、それに見合う財がないと幸福になれない。今の財をもって「これでいいや」と思えば、幸福感は大きくなるのです。物は、ある程度あればいい。少欲知足。欲を少なくして足るを知る。弟のビートたけしの車は海外の最高級車です。それなら兄貴の自分も同じような車が欲しいと思っても、財が足りない(分子が小さい)。幸福感が大きくならない。うちの車は国産の大衆車ですがこれで十分。そう思えば幸福感は大きくなる(分母を小さくする)。

「more is better」と言ってきましたが、「enoughis better」、十分ならいいじゃないか。これからは私たちのライフスタイル、価値観を「地球環境を救う新しいライフスタイルへ」変えなくてはいけないと思います。

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