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内藤 幸穂 氏
総会記念講演要旨「認知度と好感度」
学校法人 関東学院大学理事長
内藤 幸穂
PROFILE
大正13年生まれ。昭和21年、東京大学工学部卒葉。41年、工学博士学位取得。41年、中央大学理工学部教授。46年、タイ国チェラルンコン大学客員教授。47年、有限会社内藤幸穂事務所代表取締役。56年、関東学院大学工学部教授。64年、同大学長。平成3年、学校法人関東学院理事長、現在に至る。同16年、英国オックスフォード大学フェロー。

■厳しい学校運営

先頃発表された今年のGDPの予測は非常に悲観的な数字でした。関東学院でも、学校教育以外に別会社を所有して、学生の文具品の販売、食堂の経営、などの事業を行っていますが、今月末の決算は、黒字予想のところが赤字。内部保留で持ちこたえましたが、将来予測は全くできません。昔は5カ年計画を策定することをよく言われましたが、今は、5カ年計画ができてそれが実現できたらむしろ尊敬に値するものと思います。

私どもの学校経営は、幼稚園から大学まで1万6000人くらいのお子さんをお預かりしていますが、人口が減り大学は全入時代に突入しました。早稲田に入りたい人は関東学院を選ばなくても試験にパスすればよいわけです。そういう時代に、大学はどう生き延びていくか。

関東学院は収入の約2割、年間20億円くらい、国から補助金を頂いております。それがないと倒れるわけで、これはどこの大学においても言えることです。月謝を上げればよいが、上げたとたんに受験生は激減します。では、資金運用はいかがか。大学は入口でお金を頂きますから、お金がある間に資金運用します。株を買えばいいかというと、これはリスクがある。学校経営ではばくちを打つわけにはいかないので株は全収入の8%以下に抑える。最後の手段は、人件費に手を付けることになります。学校経営では、人件費は5割に抑えられれば経営が安定します。安定すると不思議なことに偏差値も上がってくるのです。そうすると受験生がこちらを向いてくれる。当校の人件費は53%、なんとか50%ぐらいにしたい。今年の人事院勧告では0.2か月分のボーナスカットが出ました。凍結と言うことです。従来なかったことで、それだけで今の経済状態は不安定と言うことです。我々は人事院勧告に準拠していますので、これから組合とのトーキングが大変だと思います。皆様方の会社でも同様の状態に直面されているかと存じます。

■認知度を高める

当校で、このピンチを救うには受験生を倍増させることです。関東学院の認知度を高め、「関東学院は良い学校である」「メリットがある」ということを打ちださなくてはいけない。横浜市内の大学は横浜国大、横浜市大、慶応大など強敵ばかり。関東学院は(大学選手権で連勝して認知度の高い)ラグビー部という武器がありましたが、去年、部員によるコンタミネーションでアッパーカットを食らいました。ラグビーの試合があり人々が応援に来て一緒に校歌を歌ってくれれば、それで受験生は増えていくのですが、それができないとなると、次に頼るのは寄付金です。有名校が続々と募金運動を始めています。東大は200億円の募金計画を立て、それを5%で運用しようということで、毎年10億円が財源になっていく。学校運営も今や企業並みの運営を迫られているわけです。

関東学院は今年10月に125周年を迎えます。関東学院の出発点は横浜バプテスト神学校です。創設者のアメリカの宣教師が来日して横浜山手64番の西洋館を借りて神学校が設立されたのです。125周年にあたり宣教師が到来した歴史を描こうということが決まりまして、その石碑の制作を急いでおります。皆様の認知度の土台になることができれば、これに勝る幸せはないとつくづく思っています。

さて、近頃の大学卒業生の就職戦線では〈即戦力〉がうたい文句で、就職試験を受ける側も受け入れる側も、基準を設けなくてはいけないように変わってきています。そうすると学生が平均化してしまって、甲乙つけがたいということになり、個人の特徴がつかめなくなる。採用では、甲乙つけたほうがいいと思います。「キミはこういう点で優れているから雇う」と言っていただいたほうがいい。平均化してしまうのは企業にとってマイナスです。学校経営者としては、内定を出さないときに「なぜダメなのか」を率直に言っていただきたい。当校の学生が乙ばかりでしたらお叱り頂いて、反省して直すべきものは直さなくてはいけないのです。

■変革の体験

では、当校はどういう良いところがあるでしょうか。ラグビーだけ、キリスト教だけでは生存しません。あらゆる面で好感度を高くしていかなくてはいけない。変革がうまく行かないのは、懸命でないとか、無感動であるとかではないのです。変革に成功した経験がないだけ、成功体験が必要なのです。1981年にジョン・P・コッターが書いた『企業変革の核心「このままでいい」をどう打ち破るか』を読みますと、改革を成功させるのは難しいが、変革は行動を変えることだから、見て、感じて、変化させることが重要だと言っております。コッターは変革を8つの段階に分けています。第一段階は、日常の危機意識を高めて「なんとかしなくては」という話し合いを皆でする。第二段階は、その人たちが変革推進チームを作り合意形成を図る。第三段階は、推進チームは変革を主導するハッピーなビジョンを掲げなければならない。第四段階は、ビジョンを周知徹底させる。第五段階は、そのビジョンを聞いた働く人たちの自発的な行動を促す。第六段階は、促した結果、明確な成果を上げる、心に訴えるような成果を生むように心がける。みんなが心がけなければダメ。第七段階は、休むことなく更に変革を進め、第八段階はその変革を根付かせる。

この8項目を、経験していただきたい。経験を積むと組織が目に見えて変わってきます。そうすると、お客様が会社あるいは当校をどう見てくれるか気になります。受験生がどう見ているか気になります。それが将来を描くために必要なツールになるのです。更に重要なのは、その行動が簡明であることです。〈即戦力〉というような明解な標語が必要です。要は相手に不安を与えないこと。不信感を与えないこと。恐怖心を抱かせないことが最も大切だと思います。

変革に成功しましたらできるだけ資料を残していただく。将来に役立つマニュアルを残していただく。新型インフルエンザもしかり。私は昭和30年、WHOの留学生でしたのでこの種のことを勉強しました。今の政府の対応にはマニュアルがない。はしかは、今年の初め流行しましたが、細かいマニュアルがあります。今度の(インフルエンザ)対策について、企業としてマニュアルを作っていただきたい。「いいね、インフルエンザから守られるね」となったとき、認知度が好感度に変わるわけです。皆さんをいい気持ちにするために政府はあるわけですから、その努力を政府にはしてもらいたいと考えております。

■認知度から好感度へ

さて、私の父(フランス文学者・内藤濯氏)は94歳で亡くなりましたが、70歳の時に「星の王子さま」を苦労して翻訳しました。もう、ボールペンを持つ手が震えて書けなかったので、私の義姉に口述筆記してもらいました。ほとんど徹夜でそれに真っ赤になるほど校正を入れて、翌日また義姉に渡して清書して、それを繰り返して仕上げたのです。原題「小さな王子」を「星の王子さま」と変えたのは父の直感で、父は「翻訳でなく、印象訳だ」という話でした。「星の王子さま」とすることで認知度から好感度に一気に飛び上がったのです。その結果、1000万部を超え、フランスからレジオン・ド・ヌール勲章をいただき、ブームが起きました。全世界で一番売れているのは聖書、2位がマルクスの資本論。父の本は3位に入りました。それだけ好感度を呼んだのは父の努力の賜です。

父が最後に残した歌は「いづこかにかすむ宵なりほのぼのと星の王子の影とかたちと」。当時、父の弟子でフランス語を勉強していた岸田今日子さんが間に入ってくださって、皇太子妃殿下でした美智子様にこの歌と「星の王子さま」の本を差し上げたところ、音曲をつけてお返しいただいたのです。今から3年前の父の没後30年記念に、本邦初公開として「星の王子さまの会」レクチャー・コンサートを上野の奏楽堂で開きました。私のような一個人が、皇后さまをお招きするのは許されることではないですが、父が本を差し上げたことに対して、皇后さまが「出席する」と漏らされたらしいのです。

祝賀会においで頂いた時、桜が満開で、お召し物はぜんぶ桜色。おそば近くにいて、香水ひとつつけているわけでないのに、桜の香りがする。美智子様は、歌の方、指揮の方、一人一人にお声をかけられる。その質問がそれぞれ違うのです。認知度の違いですね。私の家内には「あなたのことは岸田今日子さんからお聞きしています」とおっしゃられ、家内は驚きました。こうして、皇后さまへの認知度は好感度に移ったのではないかと思います。

皇后さまがおいでになると決まって、まず警察の警備と緊張は大変なことだと思いました。会場の奏楽堂は女性用トイレが少ないので全部女性用にして、男性トイレは隣の東京芸大のを借りる。そういうことまでして用意したわけです。これがまさに、認知度から好感度に移る境なのだと思います。

 

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