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会社で役立つリスクマネジメント

【2016.02】リスクへの感性を磨く

聞きかじった話。年頃の娘が母親に尋ねた。「付合い始めた人がいるが、どんな人か良く分からない」。母が答えた。「一度、ドライブに行きたいと彼に言いなさい」、母は続けて、「人の本性は車を運転する時に一番出るからね!」と諭した。人生の伴侶を決めるのは一大事。「後でこんな人ではなかったのに・・」と後悔する前に、人を見抜ければと思うことも少なくない。確かに、人の性格がよく出るのは運転している時である。「こんなにおとなしい人が!」とハンドルを握った瞬間から豹変することはよくある話である。

これと似た話が組織でも起きる。「次を誰に?」という選考時だ。トップに近いポスト程その人選は難しい。間違えると企業の命運に係わる。勿論、性格の良し悪しだけで決めるものではないし、また、優秀さだけでもない。結局、社長の人選もさることながら、部長・取締役といった幹部への登用の判断材料としては次の2つに絞られるのではないだろうか。

一つは、本人がどれだけ当事者意識を持っているかという点だ。現部署で現場を知り尽くし、問題を把握し、優先順位から改善策を打ち出しているのかという見方。もう一つは、危機意識がどれだけあるかという点である。組織では何が起きるか判らない。現場で起こりうるリスクを自身の問題としてどれだけ認識しているのかという点である。それには「失敗から何を学び、それをどう生かしていくのか」という事であり、つまり、リスクに対する感性と謙虚さが無くてはならない。失敗には、自社のみならず同業他社の事例も含まれる。「B社で起きたあの事例は弊社でも起きないか?」という自問が不可欠である。それにはまずリスクへの感性が求められる。筆者は様々な業種へ永年リスクマネジメントの立場から現場調査を行い、その問題点を指摘しかつ、改善提案を進言してきた。その経験から、調査後に行われるミーティングで「他社でこれが原因で大きな事故につながりました。だから、改善策としては・・」と言うと、工場長が一言「指摘は理解できます。近い内に検討する予定です」と大抵返ってくる。しかし、数年後に訪れると「まだ、手を付けていません。なにしろ、予算の問題がありまして・・」というのが通例なのである。

さて、昨年を振り返って自然災害の恐ろしさを改めて思い知らされたのは9月の豪雨災害であった。中でも9月10日に鬼怒川の堤防が一部決壊して広範囲に浸水被害したことである。急激な浸水により、取り残された住民をヘリコプターで救出しなくてはならない事態にまでなった。市の避難指示が遅れ、後日、市長が住民に謝罪するなど行政の対応に問題が残された。そんな中、茨城県常総市では屋外に設置されていた非常用発電機が水没。通常電源も途絶える中、電話・パソコンなどが使えなくなる事態になった。その結果、救助活動に支障がでるということに。そもそも、非常用発電機は消防法により、火災時に通常電源が使えなくなるという事態に備えるものと(消火ポンプを回したり、排煙設備を稼働させる等)、建物の機能を最低限維持(揚水ポンプの動力、エレベーターの動力など)また、停電時に通常の機能が確保できる(病院の手術室照明、空調の動力)などの目的で設置される。市役所の発電機は恐らく通常の機能が確保できるという目的で設置されたものと思われる。しかし、その設置場所が問題だった。市役所付近も洪水ハザードマップでは当然、浸水地域に指定されていた。市役所の担当者は恐らく敷地内で一番設置しやすいところに確保したことと思われる。同じような事例が茨城県境町でも指摘された。市役所で162時間の電力をまかなえる発電機が地下室に設置されているという点である。停電の復旧に5日から1週間程度要することから言えば燃料貯蔵量はほぼ合格点であるが、地下が水没した場合、無用の存在となること必至である。市では移設を本格的に検討し始めたという。このように、法、規則などでは非常用発電機の設置を特定の施設などに義務付けているものの、細かい設置場所、十分必要な燃料の確保(消防法では30分か60分)まで言及していない。担当者、また、その管理職が「法的に満たしているから問題ない」という認識しかもっていないようであれば想定内の事態にすら対応できなくなる。この地域は洪水ハザードがあるという視点と、置かれている発電設備を見て、何も感じない、もしくは「予算がないから」といった言い逃れに終始している自治体が実は多いのではないだろうか。

非常用電源の喪失ではやはり、福島第一原発事故を思い起こす。昨年6月18日に東京地裁で開かれた原発事故を巡る株主代表訴訟の口頭弁論後、原告弁護団が明らかにしたものだが、東電では事故が起きる2年半前に「大津波対策は不可避」とした内部文書があり、会議で挙げられていたことがあった。その津波の高さは15.7mであるものの、本格的に検討されることなく、その翌年(2009)、津波の想定高は6.1mにされてい。この事例から判るように、当時の東電管理職には「当事者意識」、「危機意識」そして、「リスクへの感性」が欠落していたと言わざるをえない。

では、リスクへの感性を磨くにはどうしたらよいのだろうか。そもそも、一時的な勉強だけでは身に付かない。それには日常的にリスクを考える習慣が不可欠だ。その答えはデュポン社の安全の十則にある「勤務時間外の安全も勤務時間内の安全同様、全く重要である」から引用されよう。つまり、仕事中だけ安全に気を配っているだけでは不十分であり、仕事から離れた時間でも自身の安全、家族を事故・災害から守ることに配慮しなくてはならないということである。なぜなら、交通事故は言うに及ばず、家庭内で子供の事故は大変多いからだ。そのような習慣がリスクに対して、鋭い視点を育て、感性を磨き、事故を未然に防ぐということになる。その結果として、企業のみならずファミリーを守っていくのである。

ところで、冒頭に出てきた娘さん、しっかり彼氏を観察できただろうか?


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