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【2015.12】リスクは細部に宿る

30年後はどんな社会になっているのだろう。現在の科学技術の進歩のスピードで行くと自動車の自動運転は当たり前、リニア新幹線が走りそして月面宇宙旅行もといった話になるのだろうか。去る10月21日は今から30年前に映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」パート2(実際の上映は1989年)の中で現在にタイムマシンに乗ってやってきたマーティとドク博士がたどり着いた日だそうだ。あくまで映画の中でのストーリーだが、今日のテクノロジーを予測していた。ある予測は当たったが、当たらなかったことも多い。例えば、FAXは当時の予想ではもっと使われていると思われていたが、実際にはeメール、インターネットの普及によってはずれている。映画原作者によると様々な機能が1台に集約されたスマホは予想すら出来なかったと述懐している。今のスマホのアプリの種類と機能を知っていたら仰天していたに違いない。ともあれ、未来を、30 年といえども予測するのは大変難しいということである。ただ、日本に関して言えば、確実なことがある。それは少子化が益々進み、超がつく高齢化社会になり、経済成長も年々マイナス傾向になるということだ。これらは嫌が上にもやってくる。そして30年後、現在日本の名だたる企業はどのようになっているのだろうか?生き残れるか、その鍵の一つが危機に直面したときの対応力である。

企業の底力は危機に直面した時に現れるといっても過言ではない。近年、それを発揮した企業の一つがパナソニック(旧松下電器産業)である。2005年1月、福島県のペンションで使われていたFF式石油暖房機の不具合によってCO中毒による死傷者をだす。その時まで(1985年〜1992年)同社で製造されたFF式石油暖房機は15万2,000台で、全国に販売されていた。事故原因はバーナーへの給気ホースが劣化等により亀裂を生じ、開いた孔の成長で空気の供給不足、不完全燃焼でCOが大量に発生、部屋に充満したためである。同社は2005年4月にリコールを発表し対応していたが、同年11月に長野県でまた死亡事故が発生した。それを重視した同社は指揮を執っていた直接の製造会社である松下ホームアプライアンス社長から松下電器社長の中村氏に代わり、全指揮を執るようにした。中村社長は正に企業存続を賭け、「一刻も早く、最後の1 台を見つけるまで何でもやる」という覚悟で臨み、TV・ラジオ等メディアを通しての告知は勿論のこと、1日1,000人の社員を動員して全国のガソリンスタンド、灯油販売店6万店へローラーをし、チラシを配布そして日本全国6,000万世帯、宿泊施設へ回収お願いのハガキを送付した。もとより重大事故への責任は消えはしないものの、2005年末に実施されたCM好感度調査で同社は「企業姿勢にウソがない」という印象で上位に評価されている。

さて、10月に発覚した横浜市都筑区のマンション杭打ちデータ偽装問題はマンション販売会社、施工会社そして杭施工業者という複雑な責任体制の中での責任所在が下請会社に集約されようとしている。当然、直接の問題は建材会社とその施工管理者本人にあるのは論をまたないものの、それを監理、監督したゼネコンそして販売した会社へ別の角度からの責任はあまりフォーカスされないという状態が続いている。マンションの杭打ちに関するトラブルは以前、横浜市西区でもあり2014年6月に販社であるS不動産が施工ミスを認めている。都筑区と同じく通路手すりのずれがあったもので、竣工した2003年からしばらくして住民がそのずれを指摘、長い交渉の末の現地調査を経てのものである。都筑区と同じように支持基盤までの深度が推定していたものと食い違い8本の杭が支持層まで届いていなかったというものである。施工会社は「調査ボーリングからは想定してなかった支持層の急激な落ち込みがあった」と釈明している。結局、このマンション(11階建て65戸)は建て替えるといった選択を選んでいる。

今回の都筑区のマンション問題の中で杭工事に直接携わった建材会社とその親会社が記者会見で謝罪している。その光景は、今年3月に明らかになった免震ゴムデータ偽装問題のとダブって見えてくる。免震ゴムの性能偽装問題、直接製造・検査等に係ったのは東洋ゴム工業の子会社である。免震ゴムの売上高は年約7億円程で、全体の売り上げからみるとわずか0.2%といったものであった。都筑区マンションの杭施工した建材会社も親会社本業のコア事業からは遠く、建材会社の売り上げはグループ全体の約2.5%であった。実は、ここに2つの問題の本質的な共通点があるのではないだろうか。企業が多角化を進めていく中でどうしてもコア事業に人・物・金・情報を集めやすい。従って、どちらかというとマイナーな分野の管理は二の次になりやすいのだ。また、コア事業でない部門への人事異動にも多くの企業で悩んでいるのではないだろうか。コアでない事業に従来通りの管理手法を続けていくと、人事が停滞し、長期に亘って同じ社員が同じ仕事を続けていくことになる。その結果として、日々現場で起きる問題が上司、親会社に上げられず、時として、本人の判断だけで性能偽装までが行われるようになりやすくなる。

日本を代表する多くの企業で今、子会社などへの管理手法の見直しが進められている。たとえ子会社の不祥事にしろ、企業イメージへの深刻なダメージは計り知れないからだ。それには、子会社でのチェック、報告、コンプライアンス教育などに加え、トップ自らの絶え間ない企業理念の伝達が不可欠である。その対象はコア事業と同等以上に細部に係る部門を優先して行わなければならない時代となった。それが今後30年と言わず、100年続く企業への必要条件の一つなのである。


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