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【2015.05】品質へのこだわりがリスクを減らす

体のどの部分にどんな効果があるのかを食品に表示できる制度「機能性表示食品」が4月にスタートした。今まで食品の具体的効用表示は特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品だけに限られていた。これまで企業側にしてみればその取得に多くの労力とお金が必要とされた。しかし、新制度は販売の60日前までにその効果を顕した論文などの科学的根拠を消費者庁に届け出るだけに簡略化され、例えば新しく「胃腸の調子を整える機能があります」など具体的な体の部位への効能を表示できるようになった。また、この制度は加工食品のみならず、生鮮・農水産物にも適用出来ることから消費者にとって食品の幅広い選択に活用できるものと思われるし、メーカー、生産者にとっても市場拡大に繋がるものと期待されている。一方、消費者団体は「消費者は表示を信じて購入するしかなく、根拠を検証出来ない表示が乱立することが考えられる」と懸念する声も挙がっている。こうした状況下、消費者にとって身体に良いものを選ぶ基準として、表示だけに留まらず独自の視点、目利きが必要になってくると予想される。いずれにしても、この新しい制度が食品メーカー、生産者にとって更なるビジネスチャンスとなりうるのかしばらく様子を見てみたい。

日経ビジネス誌今年03・02号に取り上げ方こそ小さ目だが見逃せない記事が載っていた。「素材発、サイレントチェンジの恐怖」というものだ。記事では、電気製品の部品の中に本来の仕様と異なる材料が使われていたことから、発熱、破損事故が起きているという内容だった。その部品の主な生産地として中国を挙げていた。現地では決められていた材料に代わって少しでも安価なものを使用したものと思われ、そのまま製品に組み込まれ発熱、折損事故が起きているという内容である。発熱事故では、ACアダプターのプラグが発熱して変形したという。発熱した原因は電極に使われていた樹脂材料に本来の難燃剤が使われていなく、代わりに安価な「赤リン」が使われていた。「赤リン」はそのままでは難燃剤として使用出来なく、一度、水と反応しないようにコーティングすることが必要だったが、その工程は省略されたようだ。「赤リン」をコーティングしないまま樹脂に混ぜると、空気中の水分などと反応してリン化合物となり絶縁劣化の原因となる。一般社団法人日本電気協会の電気用品調査委員会のまとめによると、このような「赤リン」をコーティングしないまま難燃剤として使用され、樹脂が成型されて部材として組み込まれたために出火・不具合となった事例を「電気用品関連事故事例報告書」の中で発表している。それによると、ここ4・5年の間にエアコン室外機、プロジェクターでの出火事例、また、電動式介護用ベッドでの誤操作などがあり、一部ではリコールの対象として届けられていた。

そのような不完全な部品が組み込まれている製品をメーカーとしてどこまでトレースしていけば良いのか?改めて部品調達の難しさを感じる。現代のサプライチェーンはいくつもの部品メーカーから構成され、それが全世界に展開している所も珍しくなくなった。発売元が全く関知しない所での「サイレントチェンジ」、これも新しいリスクとして捉えていく必要があるだろう。

さて、今年3月中旬に発覚した「免震ゴムデータ偽装事件」は大きな社会問題となった。全国18都府県55棟の免震装置に国の基準を満たさないものが使われていた。免震装置は直径500弌1500个巴罎帽殀弔氾形灰乾猗弔覆匹鮓鮓澆亡層にも挟み込んで作られる。それが各支柱のベースに組み込まれて地震の震動を吸収する仕組みである。国の基準では、製造された免震ゴムの許容値として一定の範囲内に収まらなければならないとされているが、このメーカーでは基準値内に入らないもののデータを改ざんして出荷していた。その後の調査で驚くべきことに、この偽装が社内で発覚したのが昨年2月だということである。その時点で公表、出荷を止めていれば事態の拡大を防げていたものと思われる。その理由として、幹部は「データを調べるのに時間がかかった。その時点で納入を止める決断をすべきだった」と説明しているが、遅きに逸した感は拭えない。

免震装置は厳格な国の基準を満たしたものだけが使われていると思われていた。これは正に建築部材の「サイレントチェンジ」である。設計者、建設会社もそこまで疑って独自のテストをすることは現実には出来ない。代わりに、国に代わって指定性能評価機関が審査し、「大臣認定」というお墨付きをあげている。しかし、実際に行われていることは個別の評価認定ではなく書類審査で包括的に認定しているというのが実態である。抜き打ち検査も行われていないという。

しかし、この件のように一旦完成品として組み込まれてしまった以上、後でどうすることも出来ないのは、以前問題になった「構造計算偽装」と同じだ。その件では、建物を取り壊すしか方法は残されていなかった。性善説だけでない国の検査プロセスを望みたい。

冒頭で述べた「機能性表示食品」、今後更なる消費者の関心を呼ぶためにデザイン、表示が競い合うようになると思われる。そのような中、消費者はそれが本物かどうかの厳しい選別の眼を持たなくてはならないだろう。譬えて言えば食品の新たな「格付け評価」のスタートといえるのではないだろうか。それはとりもなおさず食品メーカーも真摯な対応をしていかなくてはならないということである。現代社会は表示、食品仕様の偽装などで一度消費者の信頼を裏切るようなことが起きれば、それは企業の終焉を意味する事態になるからだ。この新しい制度はビジネスチャンスのみならず、新しいリスクと向き合わざるを得ないことを包含しているのではないだろうか。言い換えれば、品質に対する新たなハードルが設置されたと見るべきだろう。メーカー各社は今まで以上に品質に対するこだわりとより厳格な管理態勢を構築していく必要性に迫られている。


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