公益社団法人横浜中法人会
 
公益社団法人 横浜中法人会 住所:横浜市中区不老町2-11-8 税経研修センター TEL:045-662-6433 FAX:045-641-8222
HOME 法人会概要 入会のご案内 サービス 行事予定カレンダー 他会行事予定  
公告の掲載について
会社で役立つリスクマネジメント

【2015.02】PL(製造物責任)対策は初動がすべて

いつから日本人は感情をこんなにストレートに出すようになったのだろう。近年、ネット上の書き込みを見ていると「怒り」とか「あいつは許せない」などの表現が目につく。また、特定の人たちを誹謗・中傷するヘイトスピーチも社会問題化してきている。これらの深層には他者の考え、意見を真っ向から拒絶し、自分がすべて正しいという考えが一般化した風潮が見てとれる。その極め付けがネット上の炎上で、多くは匿名で多数のフォロワーが続き、正に寄ってたかって「ボコボコ」にするまで続くという有様だ。これらの傾向は商品クレームの分野にも波及している。一昔前であれば、商品に多少の不具合が有ったとしても、直接メーカーに電話して苦情を言う、もしくは国民生活センターや保健所などに連絡するなどのステップが執られていた。しかし、昨今はいきなり、自分の感情を交えてtwitterなどのSNSへ書き込み、ネット上で忽ち拡散する行為が一般化したようだ。

昨年12月初めに群馬県M食品の製造したインスタント焼きそばを食しようとした24才の男性は開封した中に黒い虫が混入していたのを発見した。そこでその写真を添付してtwitterでつぶやいた。すると、翌日M食品の担当者が出向いて商品を回収し、twitter上の画像削除を要請することになった。ところが本人にはその要請、やりとりに納得がいかなかったらしく対応に不満を持ち、M食品担当者とのやり取りを詳細に改めてツイートする事態にまで発展してしまった。それを注視していたフォロワーが画像とともに一気にネット上に拡散するまでの事態になった。ここまでが前半の経緯であったが、その約1週間後、M食品は全24種のインスタント焼きそばの生産販売をすべて中止するということを発表した。当初、M食品は「虫混入は基本的に考えられない」という立場をとっていたが、生産中止発表時には「虫混入の可能性は否定できない」というニュアンスに変わっていた。実は、今回の延長としてネット上に「2013年12月に愛知県で虫混入があった」というツイートがある。その時のやりとりが書き込まれているが、当時のM食品の対応は「商品のチェックは3重に行っていて品質管理態勢に問題ない」といった一方的なものだったらしい。この時は商品代金の返却で一旦収拾したが、当人にとってその時の不満が今となって再発したものと思われる。

東京都福祉保健局によれば2012年度は約700件の異物混入の苦情が寄せられている。この内の約300件が今回のような生産過程での異物混入であるが、表面に出ていないものを含めるとその数倍、数十倍に上ると思われる。食品メーカー各社にとって異物混入防止に頭を悩ませているものと思われるが、そもそも混入を完全に断ち切るにはその原因を徹底的に追って行かないことにはできないものである。

さて、米国で日本企業製エアバッグの不具合による事故を契機としたリコールが大きな問題となっている。米国議会の公聴会での喚問にまで発展し、自動車メーカーによるリコールは合計数百万台になろうとしている。エアバッグはそもそも衝突時に作動しドライバー等を守るためのものであるが、上院で証言した女性は2013年にフロリダ州で運転していた時に事故に巻き込まれた。その時作動したエアバッグによって顔、眼に損傷を受けたという。このエアバッグ、実は技術的に大変精巧な部品で構成されていて、衝突検知からバッグが膨らみ、そして萎むまでに要する時間はたったの0.12秒で、その中で膨らませるガス発生装置(インフレーター)が起動し、エアバッグが開き終わるまでは0.02秒というものなのだ。起爆時の高圧に耐えられることを設計要件としてインフレーターは作られているが、燃焼材のほんの少しの量の加減、設定湿度等の条件によっては爆発圧力が異常に上昇し、金属製の圧力ケースが破損、破片が飛散するといった事態になることが考えられると言われている。その点から言えば、生産過程における品質管理が非常に難しい側面をもっているのである。

この企業と自動車メーカーが初めてエアバッグの不具合を認識したと言われるのが2004年のことである。米国でそれと同種の事故も2007年に3件報告されているが破裂の危険性について自動車メーカーは公に開示してこなかった。米国メディアの中には、早い段階でエアバッグメーカーと自動車メーカーは不具合について認識していたものの抜本的な対策を執らないできたことが問題だと指摘しているところも出て来ている。

インスタント焼きそばに虫混入という件でも今回の製造販売中止という企業の存続にまで発展する事態になったことは会社として正に「想定外」のことであったことと思われる。しかし、その事態にまで進んでしまった理由として挙げられることは、以前から似たようなクレーム、品質の問題があったということではないだろうか。それらに蓋をして、目先の利益を追求していった結果と思えてならない。また、時代はクレームに対して、ストレートな告発をする風潮が主流であり、それらの対応を誤ればこのような事態にまで一直線ということになりやすいのだ。今、経営陣にもとめられることは、ユーザーの声を心より聴き、真摯に対応する誠実さと、それを警告としてとらえ抜本的な改善、改革を躊躇なく行う決断力ではないだろうか。この2つの事例が教えているもの、それは正に時代に即した危機管理が急務という事ではないだろうか。


会員情報
会員リスト
会員専用メニュー
会員専用 会員リスト
メールアドレス登録
操作マニュアル
部会
青年部会
社会経済の動き
 

-天気予報コム- -FC2-
社団法人横浜中法人会
Copyright (c) 2004-2006 Yokohama Naka hohjinkai All rights reserved. Produce by saipri