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【2014.12】現場力が企業を支える

西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱、米国でも3人目の二次感染者が出て10月末時点で終息の兆しが見えてこない。感染者は1万人に迫り、死者も5,000人に達しようとしている(2014年10月末現在)。早晩、アジアへも飛び火し、日本へもとの懸念が広がっている。米国で2人の看護師が感染したのは、テキサス州ダラスの病院での対応が不十分であったとCDC(米国疾病予防管理センター)も認めている。エボラ出血熱と疑わしき入国者に対する検査・治療に当たった関係者が着用する防護服の不備、また、二次感染者がその後、国内線に乗り移動することを放置したことなどなど、後手後手の対応に非難の声が上がっている。それを受け、全米の看護師で組織する全米看護師連合(NNU)は2,000人以上の看護師を対象にアンケート調査を実施したが、その結果、「受け入れ態勢について何の説明も受けていない」が76%、「治療手順に関する説明会が開催されていない」が85%に上ったことが判明した。このような状況下では、二次感染者が出ることは何ら不思議なことではなかったのだ。いつどこで感染者を受け入れるかも知れない可能性のある治療現場では、医師・看護師に対し前もって十分な教育・訓練を施しておかないといけなかった。何も知らない現場スタッフは単なる類似の感染症と見ていたとしてもおかしくはなかったのだ。エボラ出血熱に対する専門的教育・訓練を受けていない医療スタッフに過度な期待は初めから無理だった。

2003年春に中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行し、患者数8,000人、死者800人超を記録する事態になった。日本へも感染が広がることが懸念されていた。そんな折、1人の台湾からの旅行者が関西地区を回り、帰国後SARSを発症していた。このニュースをたまたま大阪の開業医が台湾の知人を介して知り、関西空港検疫所担当官に連絡した。しかし、対応した検疫官は「事実関係を確認する必要がある」と判断し、また業務多忙を理由にすぐに上司に報告しなかった。翌日になって上司に連絡し、関空検疫所から本省に連絡するも、そこでも資料作りに手間どり、直接対応する感染症課への連絡も数時間後となってしまった。この一件、結果的に日本での感染者は幸い限定的だったが、一歩間違えれば台湾の旅行者から2、3次感染が出て日本中に広がり、パンデミック(中世のペスト、コレラの大流行のように感染症の全国的、世界的大流行)という事態に発展したかも知れなかった。ここでも担当者の重症流行の恐れのある感染症に対する問題意識、感度不足が問題視される。

今、日本で「現場力」が落ちていると言われて久しい。現場力とは「現場における問題発見能力」であり、かつ、「現場での問題解決能力」だ。それまでの日本には、一般に現場スタッフに高い当事者意識があって、自分たちが会社を支えているという意識が暗黙知として継承されていた。それが近年、非正規社員の増大、年功制の廃止、過度な能力主義などの浸透により、職場への帰属意識の衰退とともに当事者意識を薄めてきたものと思われる。現場力が落ちてくると、現場スタッフがまず問題を見逃す、また発見したとしても自ら解決に動こうとはしなくて、上司に指示を仰ぐという事態が常習化してしまう。そのため、指示が届くまで問題は放置され、時として取り返しのつかない事態になってしまうことが多い。

一方、現場力をつける方策の一つとして行われるのが、現場への権限委譲である。

ここまでなら現場スタッフで判断、実行することを許可するということだが、マニュアルをベースにしたものが多く見受けられる。そもそも、現場への権限委譲で最も注視しなくてはならないことは、「プライオリティマネジメント(優先順位管理)」である。問題が発生する時には、単純に1つの事象が起きるのでなく、同時に2、3つのことが降りかかってくることが多い。そのような状況下、様々な問題を現場で解決していく上で大切なことは、限られた情報、資源、時間の中で何を優先して実行するか?という課題であるのだ。その時求められるのはマニュアル一辺倒ではないプライオリティマネジメントを第一とした判断と実行である。2011年3月11日震災時、首都圏でも帰宅困難者が多く出た。JRは震災発生から3時間半後の18時20分に終日運休を発表した。JRのマニュアルには電車が長時間運休する時には駅入り口シャッターを閉鎖することが決められている。その理由として、駅に多くの人々が殺到して混乱に至ることを防ぐためである。しかし、その時多くの駅長は自らの判断(権限)によってシャッターを下ろさずにコンコースの中に案内し、トイレを提供、また使える電話等も提供し、結果的に大きな混乱を避けることが出来た。この時、反対にマニュアル通りの判断しか出来ない駅長だったら駅周辺で混乱を極めていたことだったと想像できる。

このような判断をし、実行していく上で何が普段から求められるのだろうか?

その解の一つとして挙げられるのは、日常的に現場スタッフに考えさせる習慣を付けさせることだ。

日常業務の一つとして毎日、小集団単位に短時間(10分程度)で良いので現場での問題点、改善点についての意見交換をし、その結果、現場で対応できることは所属長の判断ですぐに実施する。また、支店、営業所で対応出来ないことは本社へ上げて必ずその結果を現場へフィードバックするという小さなサイクルを回していく。また、新しい技術、方法などについての教育・訓練も並行して実施していくことではないだろうか。

リーダーシップ論は諸説あるが、トップに求められるミッションの上位として、現場力を付けさせ、継続し、現場で問題解決させることで小さな成功体験を積み重ねていくような仕組みづくりもその一つではないだろうか。その先にある風景は、現場スタッフが経営者と同じ当事者意識を持つような組織であり、これこそが企業を支える最強のマネジメントと確信する。


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