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【2014.10】リアリティを追求する−想像力を鍛える−

同じ現場を撮った写真でも事故直後の生々しさが残っているものと、ある程度片づけられた後のものとでこれ程インパクトが違うのかと改めて思い知らされた。こう言うのは7月17日にウクライナ上空でミサイルにて撃墜されたマレーシア航空機の残骸写真である。

この現場写真、殆どのメディアは残骸こそあるが後者のものだった。前者の臨場感をストレートに伝えていたのは週刊新潮(7/31号)のグラビアだった。そこには明らかに身体の一部が写っていて、事故の残虐さ、乗客・乗員の無念さがいやがうえにも伝わってくるものだった。298人の人命の尊さを訴えるのに片づけられた現場だけを見ていたのではそのリアリティの半分も感じることが出来ない。映像が訴える力の大きさを実感する一方、その逆もまた真なのだ。

近年、私達が目にする報道写真の多くは臨場感に乏しいものが多いと思われる。刺激を避けたいということや、放送コードに抵触するといった理由と思われる。この流れが今では一般化し、代わりに伸長してきたものが「バーチャル」の世界だ。映画・ゲームに始まり、極端な話と思われるが学校の教材にまで「バーチャル」が幅を利かせてきている。

例えば、理科の授業で行われる「カエルの解剖」は、カエルの捕獲の難しさ、動物愛護の観点からか、ある学校ではiPadを使ってカエルの解剖がメスを使うことなく同じようにできるもので行われているという。その是非はここでは問わないが、その映像に写っていた教員と思われる人の発言に驚いた。「これで実際と同じように体験できる。どの切り口から始めても画像が対応してくれる」と。解剖ということを通して学べる生命の尊厳、不思議さということを映像の世界−「バーチャル」だけで果たして学べるのか?と思えてならないのだった。

「その高さから落ちたらどうなる?」「下を見てごらん!鉄筋に刺さってしまうぞ!」これが10年程前から行われている建設現場で、人形を実際に落としてそのリアリティを確かめる安全教育の一コマである。今でも多くの建設現場での事故形態のトップが「墜落・転落」だ。座学の安全教育で講師が何回となく墜落・転落事故の恐ろしさを訴えても、今のご時世、他人事のように受け止めてしまう作業員も少なくはない。まして、ゲームなどバーチャルの世界で育った世代の人は特段その傾向が強い。しかし、実際に鉄筋に突き刺さった人形を見ると改めて自分にも降りかかる可能性のある現実のものとして認識するそうだ。そこまでしてリアリティを出してあげないと想像出来ないということなのだろう。

事故要因の一つに「想像力の欠如」が指摘されているが、「想像力」とは、実際に経験していないことを推し量って心に思い浮かべることである。それにはまず、既に知っている事実・観念を元とすることが第一歩である。労働災害・交通事故などを目撃したり、自分のヒヤリ体験などからの教訓が貴重な核となるが、そこからどう現実の世界へ繋げていけるかがポイントになる。従って、この貴重な経験はいつまでも忘れてはならないのだ。

もう一つ、「想像力」は現場で、「不安全状態」「不安全行動」から自身、同僚が事故に巻き込まれる手前に気付いて(想像して)回避することのみならず他の分野においてもその力を発揮する。それは、「共感する力」である。共感とは、簡単に言えば相手の立場に立って、相手の気持ちを推し量ることであるが、それには相手の発する僅かなサインを見落とさないで、「何かあったのか?」と「想像すること」がスタートになるからだ。まず、職場で同僚、部下のチョットした行動、言動の変化を感じられなければならない。ともすれば、管理職として自身の仕事の忙しさを言い訳に、危険な兆候を見逃して後々大きなことに繋がることも珍しくない。それは、精神的・身体的な悩みであったりすることもある。そのような疑わしい兆候があったのなら、早い段階でそれとなく声を掛け、人払いの環境で相談に乗ることを薦めたい。兆候を感じることはすなわち五感を働かせることである。想像力と五感の力とは密な関係にあることを忘れないで頂きたいと思う。

今年の夏は不安定な天候が続き、特に西日本で水害、土砂災害など大きな被害が出た。

広島市では土石流が深夜から早朝の時間帯で発生したため、未曽有の災害にまでなってしまった。行政から避難指示の対応遅れが指摘されているが、被害に遭われた方の中には事前に異常な音、臭いにいち早く気付いて難を逃れた住民もいた。

古来、剣豪は殺気を感じて、付近に刺客がいることを予測し先手を打つことを旨としていた。剣豪は日々の鍛練と数多くの真剣勝負の中から五感を研ぎ澄まし、修羅場を勝ち抜いてきたのだ。剣士が生きた時代と違い現代は危険を回避する上でそこまで構えることは必要ないことかも知れない。しかしその一方、私たちは備わっている五感の力を恐ろしく衰退させてきていることも自覚しなければならない。その要因の一つが、あまりに「バーチャル」に偏りすぎた結果と思える。このような環境の中で企業が勝ち残っていくには、いかにして日々の仕事にリアリティを求めていくかにかかってくるのではないだろうか。「顧客からの何気ない問い合わせ・苦情」、「取引先の気になる噂」などなど。これらに隠されたリスクがある場合も多いからだ。そんな時にこそ「想像力」を発揮して根底にあるものを見つけて頂きたいものである。これらから派生して、交通・労働災害防止も同じように、その一環と捉えていけば新しい展開、ひいてはゼロ災に繋げていけるのではないだろうか。


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