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【2014.05】安全教育もknow-whyから

知り合いの料理店主から聞いた話である。雇って間もないアルバイトの調理助手が顔に怪我をしたとのこと。聞けば、圧力鍋を使って調理をしていたが、店主が離れた時にアルバイトが火を止めてすぐの圧力鍋のふたを開けようとした。内部圧が下がっていない状態で開けようとしたため、内容物とともにふたが上部に跳ね、ふたの一部が顔に当ったという。幸い、大事にはならずに済んだとのことだが、一歩誤れば重大事故になりかねない所だったという。そのアルバイトには当然、圧力鍋の使用方法について教えてあったと言うが、店主が見習いの頃にはこのような事態は有りえないことで、そんな事をしてしまう若者の行動に店主は強い衝撃を覚えたという。

近年、信じられないような原因での事故をよく聞く。首都高速道路3号線で発生した火災もその典型といえる。今年3月20日午後、高速道路高架の補修工事中に発生。橋げたは一時約700度の高熱に晒された。幸い消火が早かったため橋げたの強度低下による架け替えという最悪の事態にならずにすんだが、その補修に3日間を要したため首都高を迂回する車の渋滞など周辺交通への影響は甚大だった。火災は高架橋の再塗装工事中に発生した。既存の塗装をはがすために用意されていた溶剤(シンナー)の容器に電球が接触し、出火。足場材やネットなどに燃え移り拡大した。

この事故の要因の一つに挙げられるのが、シンナーなどの危険物の取扱に熟知した現場指導者・作業主任者が少なくなっていたためと思われる。熟練者が現場を去り、新しく採用された作業員・アルバイトが現場に配置されている。と同時に安全教育が追い付いていないことなどが挙げられよう。シンナー、ガソリンは危険物であるものの身近な存在だ。ガソリンが屋外で使用される草刈り機や発電機用に普通のポリ容器に入れてあるのをよく見かける。多くの作業する人にとって石油ストーブの灯油とシンナー(トルエン、キシレンなど)、ガソリンは同列のものと勘違いしているのではないだろうか?安全講習会などで危険物の話をすることがあるが、この3つを比較すると全く物性(引火点など)が違うことを知らない参加者が多いのに驚かされる。特にガソリンの取扱には細心の注意が必要なのだが、時として大爆発をおこすことも初めて聞いたという人は驚くほど多い。昨年8月、京都府福知山市の夏祭り会場で起きた悲惨な事故もガソリンの取扱に無知な業者の不適切な取り扱いが原因だった。

さて今、日本の物つくりの現場で熟練作業員の不足が問題となっている。特に、土木・建築現場で顕著である。東北復興に加え、最近の民間・公共工事の伸びなどがそれらを助長し、特に配筋工、とび職などの専門職人は奪い合い状態という。その影響からか、比較的経験の浅い作業員、作業主任者が現場を任されているケースも珍しくない。作業自体のノウハウにはある程度精通しているものの、作業の途中で非定常状態になった時や事故寸前の状態になりそうな時の対応を見ると心なしか不安が見え隠れする。その時点で対応を誤れば重大事故になることもある。一般に熟練者には長い経験から身に着けた独特の経験則と勘を持っている。それらは「現場は常に危険と隣り合わせ」という強い信条がベースになっていることが多いし、また、幾つかの災害も見聞きしているからである。

昨今の熟練者不足の状況下で、経験の浅い作業主任者・作業員に熟練者と同格のような要求をすることは端から難しいが、その解決策の一つとして定期の安全教育の他に日常業務の中で、「立ち止まってなぜ?」という発想を持つように指導することをお勧めしたい。

振り返れば現代社会に暮らす我々が日常で「なぜ?」と思い起こすことは急速に減ってきているのではないだろうか。「なぜ、こんなことが出来るのか?」「どうしてこんなものがここにあるのか?」等々。その大きな原因として考えられるのが「私達の周辺に考えてみても分からない事」が多すぎるからである。特に、科学、電子技術などの分野は顕著である。一例として「スマホの中をみても皆目その仕組みは分からない」し、「このアプリの仕組みは?」など思ってみた人は極めて少ない筈である。その延長として、そのような習慣が自然と日常の思考プロセスに大きく影響し、結局、様々な現象・状況も疑問をもたないで見過ごす、もしくは漫然と操作するようになってきているのではないだろうか。その結末は時として重大な災害をもたらすことになりかねないのだ。

一方、一部の生産、建設現場で進められている「なぜ、このような危険状態が放置されているのか?」、「なぜ、この作業が必要なのか?」というKnow-whyの発想運動はそのような見過ごす習慣を打破する格好の訓練になるし、また、別の観点から申せばカイゼン発想の元になるものといえる。

座学での基礎的な安全教育に加え、今、私たちは事故防止につながるよう以前より意識的に「なぜ?」という発想を身に着ける必要がある。その習慣がひいては現場で更なる不安全行動・状態を見つけ、改善していくことに繋げていくことが出来るのではないだろうか。


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