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会社で役立つリスクマネジメント

【2014.04】失敗を語れる企業vs.許さない企業

企業を経営していく上でリスクに遭遇することは避けられない。前もって様々なリスクに対処できるようにしておくことは理想だが現実的には難しい。好ましくない状況は突然やってくるからだ。よくある事例として経理担当者が帳簿を操作し永年に亘って巨額の横領を行っていたことが挙げられる。定期監査で分かるのならまだしも、本人もしくは内部告発によって判明したことなどがよく紙面を賑わす。このような不正経理の原因は特定の個人もしくは担当者たちが異動することなく長期にわたって同じ仕事を担当していることが原因である。「彼は経理のエキスパートだ」「すべてを任せておけば安心だ」といった賞賛はとんでもない危機を招く一因である。定期異動、外部からの人材登用そして定期監査の実施がこのようなリスクを防ぐ手段である。筆者が以前勤務していた企業の本社ではすべての要職にある管理者に強制的に2週間の夏季休暇をとらせその間にすべての帳票類をチェックするというルールが徹底されていた。

企業の不祥事も出来るだけ早い段階でマネジメントに伝われば危機にまでならないで済むことも多い。その情報が現場で担当していた社員から上層部へ早く伝わるか、反対に隠ぺいされるかでは結果として天と地ほどの違いが生じる。では、その分かれ目はどこにあるのだろうか?昨年暮れに都内一等地に建設中のマンション(今年3月完成予定)で過度なコア抜き(床スラブや壁に配管用の穴を開けること)が契約者からの問い合わせから発覚した。その契約者はネットに書き込まれたことに不信を抱いて問い合わせた結果判明した。工事施工会社が設備設計書の不備に初めて気づいたのが昨年夏で、そこで最初のコア抜きが行われた。その後も修復出来ない設計ミスから次々にコア抜きが行われ、結果的に貫通部全体の1割の箇所で本来設計書にない箇所に穴が開けられていたという。さらに、その1/3の箇所で鉄筋が切断されるなど補修が必要とされることが判明し、結果的にマンションの販売会社は購入契約者に対し、契約解除という非常手段を取らざるをえない状況に追い込まれた。確かに納期が厳格に決められている建設現場等では少しの不具合であれば隠して取り繕うことも考えられなくはないものの、その原因が根本的な設計ミスであるとしたならば、その段階で現場責任者一人のレベルからマネジメントの判断に任せなくてはならない筈であった。現場責任者の小手先な隠ぺいと対処が結果的に大きな損失と信用を失わせる結果になってしまった。

さて、このような不祥事は特別のものであろうか?実は多くの企業が潜在的に抱えているのだ。それを防ぐには、設計・製造工程・品質管理等で厳密に対処するのが未然の防止策ではあるが、ミス・不具合が起きてしまった後でも早い段階で手を打つことも重要である。そのためには担当者が失敗を隠さずに上司とマネジメントに報告できるような取組、仕組みを作っていかなければならない。「失敗を報告したら自分の将来はない」とでも言う環境下では隠ぺいをなくすことは出来ない。また、報告を受けた直属の上司が自分に責任が及ぶ危険から、折角の機会を失ってしまうこともよくある話である。従って、現場から経営マネジメントまでどのようにコミュニケーションをとっていくかという課題は多くの企業が抱えているのではないだろうか。

一方、社内で失敗を語り合える企業も増えてきている。トヨタのように「ミスが発覚した時には、すぐに原因究明する。逃げずに報告し続ける」というレベルに達している所もあるし、失敗を所定のフォーマットで報告し、会社全体としてデータベース化している企業もある。その取組の根底には「失敗から学び、カイゼンに結びつける」という強い思いがあるからだ。

また、失敗談を大勢の前で発表させ、失敗から学ばせる「失敗力」をつけさせるゼミも米国の著名な大学院で行われている。そのゼミからは世界的な企業家が育っているという。しかしながら、日本の現状では、一般的に普通の企業がそこまで実施できるように昇華していくにはハードルが高い。そこで、その代わりとして、また一里塚として「現場で望ましくない状況に陥った時にどのように対処したら良いのか?」というテーマで新たに中堅管理職教育を実施してみてはいかがだろうか?取り上げるケースは企業業態、規模等によって様々と思われるが、身近な課題を通して、些細な出来事から、大きな事案まで段階的に討議していく価値は十二分にあると思われる。そのディスカッションを通して、「望ましくない・想定外の事態に直面したときにどう対処していけばよいか」という判断力・行動力が養われていくのだ。このケーススタディを通して担当者が隠ぺいするといった行為が如何に会社にとってリスクが高いかを認識できるのではないだろうか。

但し、そのような社内教育を進める前提として、「失敗を許す企業風土・人事制度」の基盤が必須であることは言うまでもないだろう。経営トップは「失敗したら降格」といった厳格主義から「失敗を糧に再挑戦させる」「失敗から学び・未来を創造していく」ということへ大きく軸足を移していくことがこれからの経営課題であることを認識して頂きたいと思う。それが結果的に企業を危機にまで至らしめない有効な方策と確信するからである。


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