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【2013.05】製品事故情報には格別の配慮が求められる

食物アレルギーのあるお子さんを持つ家族の気苦労は並ではない。アレルゲンを摂取した後に起こるアレルギー反応が時としてアナフィラキシーショックを起こし命に関わるからだ。そのため、日頃から家庭では特定のアレルゲンが含まれていないかを十分に確認してから食事を与えている。しかし、そのような事情が家庭の外で徹底されていないところに食物アレルギーに関する事故を誘発させる原因がある。日本スポーツ振興センターによると、2005年から4年間で給食に関しての全国の健康障害は約800件発生しているという。

昨年12月には不幸にも東京調布市の小学5 年の女子児童が給食で食べてはいけなかった粉チーズ入りのチヂミを食べてショック症状を起こし亡くなった。女子児童がお替りして食したのが通常食のチーズ入りだったのだ。文部科学省が2007年に公表した特定の食材へのアレルギーを抱える全国の児童生徒数は33万人、1クラスに1人いることになる。

このように、現代では「食物アレルギー」を持つ児童生徒はごく普通の存在としてあることを忘れてはならない。

筆者の知り合いにも乳製品に食物アレルギーを起こすお子さんを持つ方がいる。母親はスーパーなどで食材を選ぶに当たり、加工品であれば必ず表示された原材料名を確認してから選んでいる。少しでも乳製品が含まれていれば強いアレルギー反応を起こすからだ。

先日、注意の上にも注意して購入した「ドーナツ」を食べたところ、そのお子さんはアレルギー症状を起こし救急車を呼ぶ事態になってしまった。食べた「ドーナツ」しか原因が思い当たらないため、そのスーパーに行って説明を求めたが、表示上全くアレルゲンは含まれていなかったため調査してもらうことでその場は帰った。後日、連絡があり、ドーナツメーカーからの回答では、1次加工メーカーから2次加工へ行く段階で2次加工業者へは原材料として乳製品が混入してあることは伝えてあるものの、そのことを2次加工業者がドーナツメーカーへ伝えていなかったことが判明した。

食品衛生法では食物アレルギーの元となる小麦、そば、乳、卵など7品目を特定原材料として表示が義務付けられているが、表示もれによる回収(リコール)も増加している。食品加工業者は原材料、半製品の納入時に納入業者から正確な情報提供を受け、そのことを表示する義務があることを忘れてはならない。

近年、アレルギーによるPL訴訟も増えてきている。小麦由来成分が含まれた石鹸を使用して強度のアレルギー反応・健康障害が出た件の訴訟は全国に波及し、1次訴訟分だけでも原告500人超、損害賠償額も70億円を超えている。これらの根拠になっているのがいわゆるPL法であり、「指示・警告上の欠陥」を元に訴えているのだ。

さて、今年3月に自転車の欠陥で負傷した原告が輸入元を訴えていた裁判(PL訴訟)で約1億8、000万円の損害賠償命令が東京地裁で出された。2002年に購入したイタリアブランドの自転車を2008年出勤途中に前輪サスペンションが分離し前輪が外れ、前のめりに転倒、頸椎を損傷、首から下がマヒしたものだ。介護費用、逸失利益合わせての損害を裁判所は認定した。このタイプの自転車は前輪を支えるフレームにサスペンションが取り付けられていてクッションの働きをするようになっていて、その所にスプリングが使用されていた。そのスプリングが腐食し、破断したものと推定される。判決文には「購入から6年4か月が経過していることやメンテナンスの状況を考慮しても、通常備えるべき安全性を欠いていた」と判断された。その根拠としては、原告側が自転車の安全試験を行う機関に調査を依頼、サスペンションが外れた原因は雨水が侵入して腐食する構造だったこと、サスペンションが壊れても車輪脱落を防止する機能がなかったことと結論づけたからだ。自転車にはクルマのような欠陥を届け、かつ無償でリコールするような制度は今のところない。自転車メーカーも部品に不具合があれば自主的な回収措置をとることはありえるが、メーカーもしくは販売店が購入者をどこまで把握し、クルマ同様の措置が取られるかということははなはだ疑問なところと言える。

この係争で明らかになったことは同種事故が国内外で6件も発生しているという事実。また、このサスペンションが他の自転車メーカーでも使用され、国内に推定10万台が出回っているということだ。従って、今後同じような事故が起き、同様な訴訟が起きないとは言えない事態である。なお、PL法では製造したメーカーはもとより、製品を輸入した業者も責任主体として責任を負ため、「当方は単に輸入し、販売しただけ」といった抗弁は通用しないことを明記しておきたい。

このようなPL訴訟を回避するには、製品のクレーム、欠陥と見られる情報をいち早く集め、ことが重大と判断された場合には早急にリコールを掛けることに尽きる。同時に、販売店、メディアを通じての早急な周知・対応が不可欠であることは言うまでもないことである。「どうせ大したことではないだろう」といった対応の遅れが、場合によって多くのユーザーの生命、財産を脅かし、ひいては企業の存亡にまで至ることも珍しくないからだ。企業トップは、日頃からどんな些細なことでも製品の事故情報に対しは敏感に耳を研ぎ澄ましておき、事によっては大きな決断をせまられる事態に備えなければならない。


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