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【2012.12】安全技術の進化 VS 危険の本質

クルマの進化は留まることを知らない。とりわけ、安全技術の分野での革新が著しい。近年だけでも、設定した車間距離を保って自動的に加減速するものアクティブ・オートクルージング、車線からはみ出しそうになると警報を出すレーン・ディパーチャー・ウォーニング、更には衝突を回避するため直前で停止するプレクラッシュ・ブレーキ・アシスタントなどなど。各メーカーは安全性向上開発に鎬を削っている。つい最近には、日産自動車が衝突の回避支援を行う安全技術「緊急操舵回避支援システム」の開発を発表した(2012/10/17)。このシステムは、障害物に衝突しそうになった時、ブレーキだけでは衝突を避けることが難しい状況において、自動ブレーキだけでなく自動操舵も行うことにより回避を行う高度な支援システムである。高度という訳は、ステアリングでの回避を行うには回避するエリアに障害物がないことをまず検知する必要があり、常に周囲を検知して判断しなくてはならない。そのため、クルマには前方にレーダーとカメラ、左右後方に2つずつのレーダー、周囲に5個のレーザースキャナーを装備している。これらがシステムとして瞬時の判断・操作を行うからだ。開発には日産自動車が以前より推進している「ビジョンゼロ」、自動車事故による死亡・重傷者をゼロにする取組の一環という強いメッセージがこめられている。実用化にはなお305年掛かるが新しい事故回避技術として今から注目されている。

このように近年のクルマの安全性・性能向上に目を見張ることが多いものの、困った側面も見逃せない。それは、一般ドライバーはシステムが故障した場合、何の手当も出来ないことである。私事だが3年程前、一般道走行中に「ブレーキ異常」のサインが出た。安全な場所に移動・停止し、しばらく様子を見たもののらちが明かないので、アシスタントに連絡し、結局JAFによりレッカー移動となった。乗っていた車にはマイコンが沢山搭載されていて、そのいずれかが不具合になったためである。また、最近では、別のクルマ(ハイブリッド車)で夜間、室内灯を消し忘れていたため、翌日バッテリーが上がってしまった。ちょっとした不注意であったが、これもJAFのお世話になった。JAFスタッフの話を聞けば、ハイブリッド車はバッテリーが上がった時、他のクルマから救護してもらえるものの、救護は出来ないという。

その訳は、ハイブリッド車は通常、バッテリー(補機)がボンネットを開けてもそこになく、トランクの下の方か、ワンボックス車ではシートの下の方にある(そのため、ボンネットを開けると救護端子がBOXカバーの中にあってそれにプラス極を繋ぐ)ため、見つけにくいこと。また、ガソリン車のようにセルモーターがないため、大容量の電流を他車に供給する(ガソリン車では一般にコードを繋いでアクセルを踏む)ことが出来ないからである。お恥ずかしい話であるが、駐車場で他車のバッテリーが上がっていたら、ハイブリッド車でも昔行ったように横付けし、コードを繋いで救援できるものと思っていた。

結局、一般のドライバーは何も知らなくて可、困ったことが起きたら取り敢えずJAFを呼ぼうということが正解のようである。唯一、自分で手当出来そうなのはパンク時のタイヤ交換ぐらいになってしまったようだ。

さて、このように性能、安全性の革新は一方ではシステム自体がブラックボックス化し、その道のプロだけがアクセスできるものとなっている。こうした状況は、よく考えてみれば2つの問題を包含しているのではないだろうか?1つは故障時、異常時における使用者(ドライバー)の対応力低下を招くこと、2つ目はこのような便利なシステムを過信した行動をとりやすくなるということである。対応力は前述のごとく急ブレーキが自動的に掛かる、ハンドルが自動的に回り衝突を避けてくれることが当たり前のようになれば、万一走行中に機能しなくなってしまった、もしくはシステムエラーが起きた時にどうして良いか分からず、パニックになるのではないだろうかーという懸念。過信した行動というのは、ドライバーの中には「この車は不注意でも事故にならない」といった誤った認識を持つ恐れがあるということである。そのため、無茶な運転をするドライバーが増えるといった懸念も生じる。

話は飛ぶが、航空機でも安全性確保に自動化が進んでいる。そもそもの発想はヒューマンエラー防止の観点からパイロットの関与を出来るだけ減らし、事故を防ぐというのが原点であった。しかし、自動化が行き着いた先は、ヒューマンエラーを却って呼ぶ恐れがあるということであった。特に、自動化に伴って発生した「状況認識力の低下」、「システム理解の不十分」、「技量・熟練度の低下」、「危険に対する警戒心の低下」などは皮肉にも安全確保に逆行する結果となってしまった。こうしたことから、ボーイング社などは、改めて「自動化はパイロットの手助けをする手段であって、パイロットの操作を無視・拒絶したりするものであってはならない」という原則を貫く設計思想に立ち返っている。

現在、様々な生産、建設現場等で安全性確保、向上のために安全装置の改良や自動化が進められている。その結果、私たちはともすると作業中の危険が減り、安全性が向上したものと勘違いし、決められた作業手順・安全装置の軽視を行い易い。しかし、現場に潜在する危険性の本質は変わってはいないのだ。こうした状況下では、更なる安全への動機づけを高めること、また、安全装置の限界などを含めた現場での教育は今以上に必要になってきているのではないだろうか。このような時代だからこそ安全の基本に立ち返るーそれが必須のことと思われる。


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