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【2012.08】「知りませんでした」では済まされない

海外から見ると30-40年前まで日本食の代表は「すき焼き」だったらしい。坂本九さんの有名な曲も「スキヤキ」と名を替えて広く歌われていた。では、現代の日本食の代名詞は何だろうか?さしずめ「寿司」に落ち着くのではないだろうか。今や、アジアのみならず広く世界中に回転寿司などのスシショップを見かける。さて、寿司と比べると知名度は幾分後退するが「長崎ちゃんぽん」も今や国民食の一角を担っている。ファミリーレストラン系でも「長崎ちゃんぽん」を主メニューにして展開している企業もあり、固い顧客層を持っている。この「長崎ちゃんぽん」が今年6月の長崎県議会で取り上げられた。韓国で「長崎ちゃんぽん」の商標登録を申請中という報告と質疑が行われたのだった。議会では商標登録をしないように韓国特許庁へ働きかけることにしたが、仮に申請通り登録されると韓国で同じ名前での販売が出来なくなる。もしくは、登録者に少なからぬ使用許諾料を支払わなくてはならなくなるだろう。この「長崎ちゃんぽん」という名称は日本では商標登録されておらず(恐らく商標登録申請しても却下される)、いわば、誰でも使える一般名として考えられていたが、外国ではそれも通用しないことが証明された。商標については日本国内のみならず、将来、海外でビジネス展開を考えている企業はその国でいち早く権利を取得しておく必要がある。ある日本の著名なアニメキャラクターも中国ですでに商標登録されてしまい、日本からの正規なアニメ本、DVD、グッツ類が中国で「海賊品」と見なされ裁判所から撤去命令を受けた先例もある。「まだ、国内だけの登録で良いだろう」と思っている隙をついて商標を先取され思わぬ苦渋を飲まされないよう、自社の商品名、ロゴ、図形などは早めに進出予定先国での調査と登録を済ませておきたい。このことは日本国内でも同じで、特に食料品、飲食店名などもある日突然、内容証明で「使用差し止め」の警告書が送られてこないように防御しておくことは言うまでもないことである。また、一旦商標登録しても10年ごとに更新する必要がある。更新時、運転免許の書き換えのように事前にハガキで通知されないので、この辺りはきっちりと管理することが大切である。そんなことは「知りませんでした」では済まない話となってしまうからである。

さて、話は変わるが近年、業界ぐるみの談合などに対し、公正取引委員会(以下、委員会)の摘発が目立つようになった。委員会が今年6月に公表した2011年度の違反件数と課徴金納付命令は22件で、前年と比較して10件の増加であった。この背景として、2006年施行の改正独占禁止法で課徴金減免制度(通常リーニエンシーと呼ばれる。委員会の調査開始前に談合やカルテルなどの事実を最初に申告した企業は課徴金全額免除と刑事告発の免除、2番目の企業も半分に減額される等のこと)の導入がある。この制度導入後から申告件数は増加。2006年79件だったものが2010年に131件、昨年は141件と過去最高となった。課徴金納付命令額も急増。2011年度は442億円と過去最高になっている。委員会は今年6月、自動車部品などのベアリング販売を巡る価格カルテルで主要メーカー3社と担当幹部7人を刑事告訴した。カルテルを実施した4社の内、1社についてはリーニエンシーに基づいて告発を見送った。この事件の課徴金の合計額は数百億円に達する可能性があり、3社については今後業績に影響がでることは必至の情勢である。ちなみに、ベアリングとは別件であるが、今年1月に自動車用ワイヤーハーネス(組み電線)価格カルテルでの課徴金は3社合計128億円、一番多い企業では1社で100億円近い金額となっている。今回のベアリング価格カルテルで起訴された3社の7人はいずれも担当部の責任者もしくは執行役員・取締役でベアリング原料価格の高騰による業績への影響を食い止めるためだったと思われる。4社の担当役員は数回にわたり都内の飲食店で対応策の協議をし、意見交換していた。それを受け、各社の支店などに対し、値上げ幅、時期、顧客への対応などを仔細に亘り指示していたものとみられる。すべて会社に良かれと思って実行したことと思われるが、そのてんまつは業績への多大な影響と場合によっては取締役自身が株主代表訴訟へ提訴されることも考えられる事態になる可能性を残してしまった。

一昔前まで、公共工事入札時の談合は一般的に広く行われていた。建設業界では談合美化論まであり、業界生き残りに必要不可欠のものという認識で一致していたふしもあった。それが一般競争入札制度の導入等によって排除され、今では完全に摘発対象となっている。それにも拘わらず、2011年は3県の発注工事で地元建設業者が入札に際して談合を繰り返していたとして課徴金納付命令を受けている。一方、カルテルなどに対する欧米でのルールは一段と厳罰化に動いている。EUでは昨年1月に独禁法の新ルールを導入、同業他社間での価格情報のやりとりを厳しく制限している。また、米国でも今年1月に日本の自動車部品メーカー2社が価格カルテルで司法省から計400億円の罰金を科されている。このように欧米のルールは極めて厳しいが、日本ではカルテル、談合に対するコンプライアンス教育、担当者への研修はあまり行き届いていないようだ。その結果、企業トップの与り知らない内に担当部署、担当役員が独り歩きし、企業存亡の危機に立たされる。このような事態だけは避けなくてはならない。しかし、理想と現実には大きな溝もあるようだ。コンプライアンス研修に独占禁止法が含まれていないことも考えられるし、もしくはその重要性を軽視し、担当部署が昔からの流儀を変えたくないという本質的な社風としての問題も覗いて見える。しかしながら、時代は当の昔に変わってしまった。世界の潮流は価格カルテルや談合による不当な競争を決して許さないし、不正に対してますます厳罰化を進めている。そして、日本での法制化と当局の対応もその流れを汲んでいることを企業トップは十分認識しなくてはならなくなった。決して、「そんなことは知りませんでした」ということだけは避けなくてはならないのだ。時代の流れを先取りし、社内体制を再構築することもトップの責務ではないだろうか。


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