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【2012.05】安全は利益をもたらす

企業価値は一般に時価総額などの市場付加価値をもって表されるが、近年、見えざる資産(人財、技術力、組織力、ブランド等)を加えたものを重視する傾向が強くなった。但し、見えざる資産をどのように数値化するかは難しく様々な試行が行われている。一方、現在の所、見えざる資産の中のどこをみても「安全」という項目が入っていないことに気付く。企業の「安全力」もブランドと並んで見えざる資産の大きな要素と思えるのだが、「安全」と一口に言っても実に範囲が広く、何をもって「安全力」とするのか確かに難しいことと思う。たとえ、「安全力」が見えざる資産に取り込まれたとしても、単純に「無事故日数」という物差しだけでは行かないため数値化も簡単には行きそうにないと思われる。

各社では、毎年の交通安全、労働安全週間等に様々な取組が行われる。その一環として社長の訓示も行われることが多い。訓示には無事故祈願と並んで「無事故は利益につながる」等の内容もよく含まれるようだ。また、社有車を多く抱える企業ではそのような機会に無事故ドライバーへ褒賞を与え、更なる無事故の推進を図っている所が多い。では、事故が殆どない「安全力」の高い企業と、そうでない所を比べた場合、利益という側面から見ると、どの程度の差があるのだろうか?

1対4(それ以上)の法則というのがある。事故を起こした場合、直接損害(被害者への直接的な賠償)を1とすると、その4倍(以上)の間接損害(賠償)が発生するということである。直接損害の多くは保険でカバーされることが多いものの、間接損害の殆どは保険ではカバーされない。では、間接損害に含まれるものは何があるのだろうか?一例として建設現場の労働災害で作業員が負傷した例を考えてみたい。間接損害には以下のものが含まれる。まず、担当者、責任者が費やす人件費、交通費等では、

●行政機関への出頭、見舞い、付添人の手当て、事故調査立ち合い、謝罪・示談の交渉、事故原因・改善策の作成など

当事者の休業に伴う費用として、

●応援の要員補充費用、工事遅延をカバーするためのコスト 等

なお、不幸にして作業員が死亡したような場合には原因調査のため現場保存として長期間作業を休まなければならないため、施主はじめ多くの関係者に多大な迷惑と費用が発生する。場合によっては、施主と係争になり工事再開が見送られた例もある。実際にあった事例だが、2階建ての住宅がほぼ完成したものの、屋根にTVアンテナを設置するのを忘れ、足場を外した後に気が付いた。急いで、電気店に連絡して来てもらった迄は良かった。はしごを掛けて登り無事設置を完了し、いざ降りる時に転落して死亡したケースがある。その後、施主はその噂を聞きつけ、「人が死亡した住宅には住みたくない」と主張、結局、完成間近の住宅は取り壊され、契約も解除されてしまった。このような事態になれば施工会社が蒙る不利益は多大なものになる。なお、間接損害には「風評」は含まれていない。一度でも重大災害を起こしたという当企業のよろしくない評判が広がれば、いくら営業努力を重ねても、それを打ち消すための労力は並大抵のことでは済まないだろう。一般に中堅建設会社の対売上利益率は15%前後である。労働災害での直接損害がたとえ3000万円としてもそれをカバーするためには2億円受注して(ただ働き)はじめてイーブンになる。更に、加えて間接損害として1億円以上の出費も覚悟しなければならないのである。そのような事態に陥れば、このご時世では企業の命運を決することになりかねない。利益を上げるという観点からいえば、小さな事故を起こせば、直接損害は少なくても、後始末、示談交渉などでマイナスの時間的、金銭的な出費が増え、それだけでも企業の利益は損なわれていく。このように、事故を殆ど起こさない「安全力」の高い企業と比較すれば、見えない損出は大きいのである。そこまでのリスクを事故防止の観点から考えれば、平時における課題はおのずと見えてくるのではないだろうか。

さて、事故を防ぐには何から始めればよいのだろうか?安全週間の時だけ訓示することと祈願だけでは到底足りない。トップがいかに真摯に事故防止に取り組んでいるかを示すことである。それは自ら、まず現場を見ることから始まる。更に、定期的に安全パトロールに同行することも大切なことである。あるハウスメーカー(東証1部上場)では副社長自ら、安全パトロールに加わって現場をチェックしている。安全パトロールも抜き打ちである。約40項目の安全と環境・公衆への影響に関する項目を自らチェックし、安全に関して不備が発見されれば、即刻その場で改善を命じる。また、改善に関する資材等がすぐに入手出来ないような場合は、改善出来るまで作業の中断を指示する。このハウスメーカーでは、このようなパトロールを10年以上に亘りトップ自ら実行することで、自ずと現場における安全への取り組み方も飛躍的に向上するようになった。このハウスメーカーはまた、現場が営業の前線であるという認識をもっている。新規のお客様に希望すれば、近くの工事中の現場を案内することで好感を持って頂くような取組も実施している。現場が清潔で、かつ、作業する協力会社のスタッフの挨拶などから好循環を生んでいる。実は「安全」は「品質」、「ブランド」、「雇用(良い人材を獲得する)」、「環境」そして「コスト」の中核に位置するものである。また、この6つの要素は互いにリンクしている。従って、「安全」を追求していけばこれら6 角形のサークルを広げていくことも可能である。「安全」は利益を生むということの本意は実の所、この辺りにあるのではないだろうか。見えざる資産のトップに、是非、「安全力」を取り込んで、利益向上につなげていってもらいたいものである。


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