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【2011.10】説明責任を果たす

今年も3・11の大震災と福島第一原発は別として様々な事故が続いた。8月17日の天竜川川下りでの転覆事故は死者5名という痛ましい事故だった。川下りの最も難所といわれていた渦巻く所で舵をとられ岩に激突したものだが、船頭の操船技術の未熟さ、そして救命具の未装着などの問題点を浮き彫りにした。事故直後には経営陣のお詫び会見、行方不明者の捜索模様、そしてもう一人の船頭へのインタビューなどがメディアで流された。さらに、その翌日には会社として転覆を想定した訓練を実施していなかったこと、ライフジャケット装着の義務付けのルールを作ろうとしたが断念したことなども明らかになった。8月20日、行方不明者3人の遺体が見つかり、更なる原因究明と業務上過失致死傷容疑での捜査に焦点は移った。メディアの報道も8月21日までで翌22日からは殆ど紙面に載ることもなくなった。その理由は報道する材料が出尽くしたからである。会社のお詫び会見などから見ても「何かをまだ隠している」といった疑いが無いことからであろう。事故・不祥事後の当事者へのバッシングはメディアに晒される数に比例する。その最悪のケースは情報を隠したり、小出しにすることで繰り返し報道されることである。

福島第一原発事故による被曝に関するニュースで、政府の原子力安全対策本部が8月17日にいわき市で開いた説明会で、事故後3月24日から30日までにいわき市および周辺の0歳から15歳までの子供に実施した甲状腺被曝で調査した1150人の内45%が被曝していたことを明らかにした。調査結果は各保護者に伝えられたが、3月の検査時点にその場で健康に影響がないことは保護者に伝えられていた。しかし、数値については知らされていなく、保護者からは具体的な説明を求められていた。安全対策本部によれば全員が精密検査の必要があるとされる毎時0.2マイクロシーベルトを下回る0.1以下だったためと説明している。しかし、家族にとってみればいくら基準を下回る数値でも早めに知っておきたい感情に駆られたことだったと思われる。

さて、事故後に「説明する」とはどういうことであろうか?相手に理解を求め納得してもらうことである。「相手」はその都度変わる。被害者やその遺族のこともあろうし、地元の市民また、一般国民という場合もあるが、緊急度を要する当事者に誠意をもって接し、納得してもらい、再発防止の誓いをすることではないだろうか。ともすれば事故、不祥事発生後は、都合の悪いことや些細と思われることはなるべく外へ出したくなくなる心境になるもので、開示情報の取捨選択が行われやすい。まして、専門的なことで一般市民に理解しづらいことはなおさらといえる。納得してもらうためには幾つかの前提条件がある。1つは責任者が自ら謝罪の意を表すこと、2つ目に些細なことも含めて経緯を説明すること、3つ目には今までに分かった事故・不祥事の原因を報告すること、4つ目には具体的な改善策を提示すること、そして最後に関係者への処分の内容を公表することである。さらに、説明し、納得してもらうためには相手に対して分かりやすい言葉で述べることも忘れてはならない。大きな事故になると政府の調査機関により仔細な報告書が出される。今まではともすると報告書に専門的な用語が多く、専門家のみが理解して再発防止に役立てば良いと言った発想で記述されていた。そのような風潮も今年を境に変わりつつあるようだ。

昭和60年8月に発生した日航ジャンボ機墜落事故は520名もの犠牲者を出した。今年も多くの遺族・関係者による慰霊登山が行われた。今年で26年目になるが、7月に運輸安全委員会から「事故報告書についての解説」というレポートが出された。事故報告書そのものは事故から約2年後に纏められている。その骨子として以前起きたトラブル後の後部圧力隔壁の不適切な処理に起因したもので隔壁が損壊し垂直尾翼等が損壊、主操縦機能を喪失したためと推定している。しかし、この報告書には幾つかの矛盾点に対する明快な解説がなかったため、遺族の中には長い間に亘って原因に対する疑念を抱き続けた方も多くいた。その理由として報告書が一般的平易な内容でなく、事故発生の技術的な原因を解明すれば良いという視点に立って書かれたものであったからであった。今年新たにまとめられた解説書には遺族が抱いていた幾つかの疑問点を図入りで解説したものであり、あくまで昭和62年に出された事故報告書を補う内容である。従って、その中には新しい切り口での事故原因の追究といった内容にはなっていない。しかし、遺族が抱いていた「隔壁が損壊したのになぜ客席に猛烈な空気の流れが起きなかったのか?」など生存者の証言から推察される疑問点に丁寧に解説しており、永年のわだかまりを払拭することを目的としている。

運輸安全委員会は平成20年10月に設置法に基づいて新たに設立された。その契機となったのは平成17年4月のJR福知山線事故であった。この事故調査の過程において「生死を分けた要因分析」いわゆる「サバイバルファクター分析」の重要性が指摘され、新たに被害拡大要因についての分析が行われるようになった。いままでの事故報告書になかった「なぜ死傷者が多く出たのか」「被害を少なくする方法はなかったのか」等である。更に、法律によって被害者・遺族への情報提供、説明会開催の義務等まで範囲が広げられたことは今までのように「単なる事故原因の究明という報告書を出して完結」から被害者・遺族が原因・再発防止の対策等について理解・納得し、被害に遭われた方、お亡くなりになった方々の墓前に納得感を持って報告できるようになるきっかけになるものと言える。

最近、言葉の重みを考えさせられることが多い。いくら美辞麗句で飾っても本心は透けて見える。不幸にして公衆を巻き込んだ事故が発生した時、経営陣が頭を下げて謝罪してあらかた済んだ時代は既に終わりを告げた。これからは、どのようにすれば被害者、関係者に納得感を持って頂けるのかを真摯に考えなくてはならない時代である。経営者の言葉・態度で表す説明責任は益々重くなってきているのではないだろうか。


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