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【2011.05】BCP(事業継続計画)を実効性あるものにする

今回の大震災の報道に際し一番気になった言葉は「想定外」であった。M9.0という巨大地震、高さ15mを優に超える大津波、そしてその結果としての福島原発事故を目の当たりにして、その道の専門家、関係者含めてのコメントは異口同音に「想定外」で締めくくられた。福島第一原発の変わり果てた惨状を見ると、バックアップ電源を3、4重にするという設計段階でのダメージコントロール思想が皆無だったことが分かる。つまり、ある程度の地震、津波による損害は覚悟しつつも被害をそこで留めるための細心の方策があればと悔やまれて仕方がない。また、今回の大震災は多くの尊い人命はもとより企業活動にも多大な影響を与えている。震源から400km以上離れた首都圏でも殆どの交通機関が止まり多くの勤務者は徒歩での帰宅を余儀なくされるとともに、BCP(事業継続計画)を策定してあった企業はそれに基づいての行動に出た。今回は福島原発の事故も加わり、拠点を首都圏から関西以西に移すところも多く出てきた。筆者が仕事で係っている外資系保険会社も震災の2日後には1、2名を残してほぼ全員が京都へ移動し臨時のオフィスを立ち上げた。更に同業他社では社員を国外、シンガポールに移動させたところもあった。これもBCPに則った処置であった。

BCPはそもそも首都直下地震への対策として求められたものである。中央防災会議が平成17年に防災基本計画として提言し、翌平成18年4月に首都直下並びに東海、東南海・南海地震防災戦略としてまとめられた。その後、地震に加え新型インフルエンザ、ITネットワーク障害などへの対策も加わりますますBCPの策定が急務とされるようになった。しかしながら、2009年8 月の日本政策投資銀行調査によれば約1500社を対象とした調査でBCPを策定済の企業は13%、策定に着手している企業が22%と合わせても全体の1/3程度にすぎないことが指摘されている。更に、今回の震災直後に名古屋商工会議所が行った緊急アンケートでは従業員20人以下の企業で約90%がBCP未策定、また約4割の企業がBCPそのものを知らないと答えている。一方、現段階でBCPを策定している企業でも社長から言われてマニュアル程度を用意しているところも多く見受けられる。このような状態で、首都圏にM8クラスの直下地震が発生した場合、BCPが実際に機能するのかが危ぶまれている。

大震災のような危機に直面した場合にその場で以前策定したBCPマニュアルをひも解いて実行する余裕などない。本来、BCPはリスク分析、対策の検討、対策の実施を含め教育・訓練の実施を求めている。さらに全体の点検と是正を含めて経営者による見直しがされるのが一般的である。つまり、平時からの策定の見直しと訓練を経ないことにはその実効性は問題視される。その点、今回の震災は一面ではその有効性の大きな試金石になった筈と思われる。

一方、BCPが要求していない部分に大切なものが含まれている。それは、震災直後の企業経営者の復興に向けた決意とコミットメントである。ただでさえ、大きな被災を受けた企業ではその被害状況に茫然とし、何から手をつければよいか暫く考えもつかない状況に追い込まれる。その気持ちはトップから従業員まで同じである。トップはまず従業員の安否を確認し、次に損害の現状を直視した後に復興に向けた取り組みを始めなければならない。今回の震災で多くの企業が被害を蒙った。自動車関連企業も含まれる。2007年の中越沖地震時の株式会社リケンのように自動車の1部品(ピストンリング)が供給できないために自動車生産そのものが中止に追い込まれる事態になったこともある。この時は、トヨタ、日産、ホンダはじめ多くの自動車メーカーのスタッフが応援に駆け付け1週間でほぼ復旧させている。しかし、今回の場合被害を受けた部品工場は広域に渡り、その状況を把握するだけでも大変な作業となる。このような中の3月29日、日産自動車のゴーン社長は被災した主にエンジンを製造しているいわき工場を訪れた。いわき工場も工場建屋、生産設備の被害を受け、さらにインフラとしての水供給もままならない状態であり、一部には日産自動車はいわき工場から撤退するのではとの懸念もあったほどである。ゴーン社長は約1時間の視察後「あらゆる手段を尽くして工場の復興にあたる」と言明し、さらにその時期を4月中旬に一部、6月にはフル稼働するとまで言い切った。それを300人の従業員と取引企業の社員に向けてコミットした。

企業トップのリーダーシップとは、いち早く現状を確認し、将来に向けたビジョンを提示することであるが、このような震災で気持ちが後ろ向きになりがちな時の力強いコミットほど従業員の気持ちを奮い立たせるものはない。

BCPはあくまで事が起きる前の準備である。いざという時にBCPをより実効性あるものに変えていくものはリーダーの強い復興に向けた信念とコミットメントであることを忘れてはならない。


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