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【2010.12】懲戒の基準

地方公務員の飲酒運転に対する懲戒基準が揺れている。平成18年8月福岡市で起きた幼児3人を死亡させた事故を契機に全国の公務員への飲酒運転に対する厳罰化の流れが加速したが、一方で懲戒解雇された公務員が「懲戒解雇は厳しすぎる」と訴えた裁判で「解雇は過酷で裁量権を逸脱している」との判決が出てきた(平成21年9月兵庫県加西市を始め、神戸市、佐賀市、三重県の職員)。この流れを受けて29の内10の自治体で「飲酒運転、懲戒解雇」を見直し、または見直す方向で検討している。三重県の職員のケースでは前夜の飲酒を翌朝に交通違反で検挙されたときに発覚したもので、裁判でも職員は「解雇されれば生活権を失い、雇用保険もなく再就職口もない」ことを訴えていた。

管理者にとって社内の不祥事に対する処置ほど難しく、また悩ましいものはない。更に不祥事を社外へ公表し、時によって監督官庁にも報告する時は「どこまで出すか?」といった事に迷いが生じやすい。今年10月上旬に福岡の航空管制部に見学に来ていた中学生に管制官が実際に飛行中の旅客機2機に対し交信させていたことが明らかになった。その発表も何日か経ってから紙面に報告されている。交信内容とは英語で「福岡空港の周波数へ切り替える」というもので、受信した機長も相手が中学生とは思っていなかったそうだ。その中学生が他の場所で交信のお礼を言ったことから発覚したものだが、その時の管制官は中学生に「他では話さないように」と口止めをしていたことも分かった。これを受け、国土交通省は調査の上、厳正に対処するとコメントした。航空管制と言えば、機内の何100人もの命を預かっているが、福岡の件では交信内容からも「そんなに角を立てなくても」といった意見がネット上でも多く見られている。どちらかと言えば擁護の意見の方が多い。中には「飛行に直接影響がないのだから」といったものまであった。では、次のケースを検証してみよう。2009年8月にニューヨーク、ハドソン川上空で小型機と観光ヘリコプターが衝突し、9人が死亡した。その後、NTSB(米国運輸安全委員会)の調査によれば管制官が私的な電話に気を取られていて注意を怠ったことが事故に繋がったと発表した。2人の管制官の内1人は地上管制を行い、もう1人は電話で注意を取られ、小型機の操縦士が無線の周波数を間違えていたことに気が付かなかったという(当時、主席管制官は席をはずしていた)。事故が起きた地点の半径3マイル(約5キロメートル)の空域は1日平均225機が飛び交う過密地帯であった。では、福岡空港近くでこの交信をさせたことを再度検証すると、まず規則違反であることに異論はないが、さらに重要なことは、交信させるために数秒間か何人かの管制官がレーダーもしくは交信から注意をそらされているということである。この中学生との交信時に、相手の機長から緊急事態の発生が告げられていたらどのように対処するつもりだったのだろうか?恐ろしい限りである。この事を一言で言えば管制官の著しい「プロ意識の欠如」と言わざるを得ない。プロ意識の欠如といえば、今年の春に日本のある航空会社で30代の副操縦士がコックピット内に持ち込んだデジカメで撮影していたことが発覚した。撮影は何回か行われていたようで、中には、操縦桿を握っている機長、副操縦士の2人が後ろを向いて記念撮影というものまであった。何秒間か分からないが誰も前方を見ていないで飛行を続けていたということである。事態を重くみた会社側はこの副操縦士を諭旨解雇処分にしたが、これも恐ろしいほどの現場の「プロ意識の欠如」であった。この話には後日談があり、会社は解雇から3か月経った今年6月に副操縦士を地上職の職員として再雇用していた。会社側の説明によれば、2度と操縦させないことでの再雇用とのことである。さて、懲戒の目的とは何であろうか?言わずとも「再発防止」と「組織の引き締め」である。組織の存続を脅かしかねない事態の芽を摘むことである。管理者は不祥事発生後に一定の懲戒処分を下してケリをつけたいが、同時にその件が起こるべくして起きたかの検証をすることも忘れてはならない。「なぜ起きたのか?」「類似のケースは他にないのか」については徹底した調査が欠かせない。それらを総合的に判断して今後の社員への教育を見直していくことである。一方、懲戒処分だけでもかなりの神経を使う。時として温情的な処分で丸く収めたい欲求にかられてくる。本人も十分反省をしていることと将来性を見込んでという理由が一般的だ。しかし、温情的な措置が徒花になった例も多い。他の一般社員から見れば、「甘い処分。せいぜいこの程度か?」と足元を見られ、さらなる不祥事、危機にまでなった例もある。この件で思い出されるのが、今から数年前に首都圏の私鉄で運転手が家族(幼児)を数分間運転室に入れた件である。勤務終了後に家族と出かけるために乗り合わせていた子供が運転席に行きたいと母親に泣き叫び、根負けした父親(運転手)が少しだけ運転室に入れたというものである。乗客から通報を受けた会社は本人から事情を聴き、事実と判明した時点で、「懲戒解雇処分」を下した。それがマスコミに流れると会社に処分は厳しすぎるとの苦情が殺到した。しかし、会社は断固として処分撤回することなく通した。この厳しすぎると思われた処置が時間の経過とともにどのように組織を引き締めていったかを考えて見ればやはり、この処分は正しかったと思われる。

冒頭に例示した飲酒運転に対する懲戒処分、皆さんの会社ではどの程度の内容になっているのでしょうか?「免職、停職、減給、戒告」様々な処分があると思いますが、「飲酒運転は重大な犯罪である」といった社内的なコンセンサスが確立され、安全意識、ひいては社員全員の仕事に対する「プロ意識」が社内で文化として普遍するためにも懲戒はある程度の厳しさを持って臨むべきものであり、決して緩んではならないと思うのです。

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