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【2010.08】撤退の時期を誤ってはならない

世にヒットする商品は多いが、その裏には数えきれない程の挫折がある。新規事業への参入しかり、折角良い企画と思って始めたものの途中で中止を余儀なくされたケースは枚挙に遑がない。人・物・金・時間をつぎ込んだものの当初の計画どおりに行かなくなった場合、経営者のとるべき道は、

1、もう少しの様子見
2、更なる投資
3、撤退


のいずれかである。この3択の中で最も難しいのが「撤退する」という決断である。多くの企業では予め「継続か、撤退か」については計画時点で一応のガイドラインを決めている。しかし、いざその時になって躊躇させるものは「折角ここまでやったのだから・・」・「これまでの投資が無駄になるから・・」という囁きである。

行事の遂行中も同じである。屋外での野球、サッカーの試合中突然雲行きが怪しくなり、遠くで雷鳴が聞こえ始める。試合が始まったばかりならいざ知らず、あと10分位で終了するといった場合、審判の決断に迷いが生じやすい。事実、屋外での試合中の落雷事故は多く、たとえ一命を取り留めたとしても重い後遺症に悩むことになりかねない。昨年7月に北海道大雪山系で起きた遭難事故は少し事情が異なるようだ。野球やサッカーの試合のように審判に試合中断、コールドの権限があるのと違い、3人いたガイドの誰もがバラバラの判断を行い、結果的に15人(+ガイド3人)のパーティで8人が亡くなる事故を引き起こしたのだった。早朝、避難小屋を出発した時点ですでに強風が吹き荒れていた。20-25mの風に冷たい雨が容赦なく登山者の体温を奪っていき、時折強風にしゃがんで耐えるといった程であった。こんな悪条件にも拘わらずガイドが縦走を強行したのは彼らに明確な「中止」の権限が与えられてなかったからである。ガイドの仕事は旅程通り参加者を目的地に連れて行くことが最優先で(たいしたことではないと思えた)悪天候は決定的撤退要件とはならなかったのであった。

さて、今年6月18日に浜名湖で地元中学1年生が死亡した事故も大雪山系の遭難事故と状況が似ている。豊橋市立中学の1年生94人が課外活動として行ったのが浜名湖でのボート漕ぎであった。当日の正午すぎに浜名湖付近に大雨・強風・波浪・洪水・雷注意報が出された。主催した静岡県の施設では、注意報が出た場合、学校側と協議するといったルールがあったものの学校側へは通知しなかった。漕ぎ出す30分位前に施設職員は湖面を見て、「これくらいなら大丈夫」と判断、予定通り決行することとする。救命胴衣着用した生徒94人と引率教師を4隻のボートに乗せて漕ぎ出した。この時点では風速は3-4m程度だった。ところが、出発して15分ほどで強い南風が吹くようになったため引き返すように指示。この時すでに岸から約100m程度離れていた。ところが3番目の艇に乗っていた18人の生徒と2人の先生の内、3人が船酔いでオールを漕げない状態に陥る。乗船の教師が無線で施設職員へ救助要請し、所長らがモーターボートで接近してロープで繋いで曳航したが、途中で転覆し、逆さになった船体の下に11人が閉じ込められてしまった。殆どの生徒が潜って脱出したが、残念なことに船尾付近にいた女子生徒が後で心肺停止の状態で発見されたのだった。

この事故原因は、結局、注意報が出ていたのに行事を強行したことに尽きる。その元は判断ミスであるが、その判断は引率の教師ではなく、施設の職員であったことが一番の問題である。学校行事の続行・中止の権限は本来、学校長もしくは代理人にあるべきであった。現場に学校長は参加していなかったが、代わりの教師に権限を与えるべきだった。代理権限者も自然が豹変することへの用心を施設側と事前に十分打ち合わせていればと悔やんでならない。このようにリーダーなき集団での意思決定は自ずと責任の所在が不明確になりやすく、状況を的確に判断することを避け、楽観視しやすくなる。大雪山系でも天気予報を楽観視し、現実を軽視したことによる人災だった。

これから夏本番である。家族で、グループで海・川・山へと楽しい計画もされていることと思う。しかし、悲しいかな毎年多くの事故が報告される。中でも、「折角来たのだから・・」とか、「たいしたことにはならないだろう・・」とかが的確な判断を迷わせ、結果的に急な川の増水・落雷・高波などによる遭難が毎年多く発生している。すこしの自然の変調を予知し、そのような場合、勇気をもってリーダーが中止、撤退の決断をして頂きたいものである。

以前にも紹介したように、安全管理の先端企業デュポン社の「安全の十則」にある「勤務時間外の安全も勤務時間内の安全同様全く重要である」が意味するところとして、プライベートの時間での安全管理の責任者(リーダー)は父親であり、家族・グループの安全を守る判断力は仕事中での職場の安全に大きくリンクすることでもあります。今年の夏休みもどうか「安全第一」で的確な判断をして、楽しい思い出として残していただきたいと願っております。

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