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【2010.05】最悪時を想定した訓練を実施していますか

近年、高齢者や介護を必要としている人のグループホームでの火災が発生し社会問題化している。平成18年1月、長崎県大村市では7人、昨年3月には群馬県で10人、そして今年3月に札幌で起きた火災では7人が死亡した。札幌のグループホームは認知症のお年寄りの生活スペースで職員1人が8人の要介護者を世話していた。出火は深夜2時ころで職員は火災に気づいて消火器で初期消火を試みたものの火勢に押されてしまった。結果的に7人が煙に巻かれ亡くなった。この施設ではスプリンクラーなどの自動消火設備が設置されていなかったため女性職員1人では消火活動も避難誘導も至難であったことと思われる。

全国のグループホームは約1万箇所あるといわれ、多くの施設が少ない職員、貧弱な消防火設備の下で運営されている。このような状態で、一度出火となれば自主避難の難しい高齢者、要介護者は犠牲になる可能性は高い。消防法も長崎県大村市の火災の後、平成19年6月に改正され、老人福祉施設では従来1000以上だったスプリンクラーの設置義務を275以上と厳しくし、新築はもとより既存の建物で該当する施設にも平成24年3月末までの設置を義務付けた。スプリンクラーもポンプで加圧するもの以外に水道管直結の簡易型も認められた(一定の水圧が確保できる場合のみ、また、1000以上には従来のポンプ加圧式のみ)。しかし、簡易型といえども配管、スプリンクラーヘッドなどで1当たり1万円程度の費用がかかる。国は設置費用の一部を助成しているものの施設側は行政に更なる支援を求めているのが実態である。従って、スプリンクラー設置義務のない275未満の施設に自主設置を求めることは難しく、札幌のようなグループホームは全国に数多く存在し、火災が起きないことを祈るばかりというのが実情ではないだろうか。

さて、消防計画を定めている事業所では年1回以上の消火・避難訓練を実施していることと思う。訓練の内容としては多くの企業が火災時の避難に重点を置き、せいぜい消火器1・2本を使用した消火訓練といったところである。屋内(外)消火栓が設置されているビルや工場でも実際に消火栓から放水するような訓練をしている所は極めてまれである。筆者の経験では一般に事業者の屋内消火栓についての認識は低く、「これが屋内消火栓ですか、どのように使うのですか?」といった質問をよく受けた。また、屋内消火栓は消防署の隊員がやってきて使用するものと思っている事業者も多い。つまり、多くの屋内消火栓設備はただ設置されているだけという勿体無い状態に置かれているのではないだろうか。屋内消火栓は初期消火の重要な設備であり、その使用方法は「まず扉を開け、ホースを伸ばし筒先を火炎に向け、バルブを開け、ボタンを押す(ポンプが回り赤色ランプが点滅し、水が出てくる)」。たったこれだけだが、一度も訓練を受けたことがない従業員での使用はまずもって困難といえる。また、消火器に関しても自信をもって消火器を扱えるという従業員も少ないのではないだろうか。一般的に、普段、事業所で見かける10型といわれている消火器の消火薬剤の放出時間はわずか15 18秒くらいであり、的確に火炎にホースを向けないと火災初期の段階でも消火は難しいのである。人は火炎を前にすると床がスケートリンク(ただでさえまともに立てない)のようになるといわれ、まして火炎に向かって消火活動を的確に行うことは十分な訓練を行った従業員にしか出来ない相談なのである。

また、避難(誘導)訓練であるが、通常、従業員の一番多くいる時間帯に実施している。ホテル・旅館など24時間稼動しているところでも昼間、日直者のみの構成で行われることが多い。しかし、3月の札幌のグループホーム火災のように出火は深夜になることもあり、職員の一番手薄な時間帯に発生することも実際多いのである。深夜は人手が少ない、発見が遅れやすい、初期消火・避難に時間がかかるなどの悪条件が重なってくる。少し前の火災になるが、ホテルでの火災も深夜の人手の少ない時間に出火し、発見が遅れたため初期消火に失敗し、その結果、多くの人命が失われてしまった。日本の多くの事業所は、なぜそのような条件下を想定した訓練を実施しないのであろうか、はなはだ疑問である。従業員の多い時間帯の訓練も勿論必要であるが、推奨する避難(誘導)訓練として年1回の全体訓練、その半年後に深夜帯を想定した訓練が求められる。勤務形態も月ごとに変更されるような事業所では5年計画などですべての夜勤者が避難(誘導)に加え、消火器、屋内(外)消火栓を扱えるように訓練することが望ましいのである。

多くの事業者は「まず、うちでは火災は起きない」と思っている。従って、消火・避難訓練も消防の指導があるからといった気持ちで臨んでいるのではないだろうか。しかし、突然の、また最悪の時間で火災が起きれば、貴重な財産はもとより人命まで危険に晒すことになりかねない。リスクマネジメントのポイント、ロス・コントロール、つまり火災の発生をゼロにすることは出来ないが、最悪の条件下の出火でも被害を極小化する取り組みを決して忘れてはならないと思うのである。

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