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会社で役立つリスクマネジメント

【2009.04】熟練者ほど陥りやすいヒューマンエラー

今年2月に発覚した四国の病院での体外受精卵取り違えは大きな波紋を投げかけた。担当医師は今までに15年間で約1000例を取り扱っていたが、当時一人で取り扱っていたことと取り違えた時、他の受精卵とが混在する状況だったことが判明した。全くもって信じられない程の軽率さであった。この問題の背景としてまず考えなくてはならないことは病院の管理体制であり、取り扱いマニュアルの不備であり、また担当医師の注意力不足ということになるが、根本には「人の犯すミスにどう立ち向かうか?」というところに落ち着くのではないだろうか。一般に人はミスを犯す。ミスしない人はいない。

それは医師だろうと普通の勤め人であろうが同じである。ミスを防ぐためにまず執られる処置はマニュアル作成とその遵守ということになる。では、マニュアルがあり、定期的な監査だけでミスは防げるのだろうか?答えは否である。一般に、マニュアル作成にはモデルがありそれを参考にして作られることが多い。作成中、現場での作業実態、手順、道具などが実際と相違していてもそのまま引用してしまうことが多い。

ここに、まず実態との相違が発生する。次のポイントは、作業1つ1つのメリハリがつけにくいという点である。ひとくくりの仕事も細かく分解すれば何十というステップになることがある。そのステップ1つ1つにすべて重要というラベルを付けたのではやがてマンネリ化しやすい。それを防ぐために実施して欲しいのがリスクアセスメントである。

リスクアセスメントは1つ1つの分解された作業での危険の評価(a)、ミス発生の可能性(b)そしてその結果の重篤さ(c)を掛け算(a×b×c)して求められる。その値によって一般的には4ランクのリスクに評価される。些細なリスクからリスク低減が出来るまで業務禁止が必要な重大なるリスクまでである。4つのランクを何点で切るかといったことは議論する必要があるが、1つ1つの作業をこうした手法で分析すると何気なく行っていた作業が実はその人の経験にだけ頼っていて、よく今まで重大事故が発生しなかったものだと身震いすることもありうる話である。

今回の取り違えは保存用培養液から受精卵の入ったシャーレを取り出して顕微鏡で調べて検査するという作業中に起きた。複数の検体を取り出しては検査し、また元に戻すという作業である。この作業をアセスメントしていたならば、その結果と取り扱っていた医師の感覚に相当の隔たりがあったのではないだろうか。

この医師は61歳のベテランである。では、熟練者と呼ばれる人と経験の浅い人とでのミスの発生率は違うのだろうか?一般には、ベテランの方がミスを起こしにくいものと思われがちであるが、熟練者にはそれなりの危険性があるのである。

つまり、

●長年同じ仕事を繰り返している
 ↓慣れすぎている
●仕事の内容を良く知っている
 ↓記憶に頼って仕事することが多い
●仕事を苦労しないで出来る
 ↓気軽に操作してしまう
●いつもの仕事ならスムーズに出来る
 ↓突発的な仕事に弱い
●仕事に関しては誰にも負けない
 ↓自惚れやすい
●仕事の間違いが少ない
 ↓間違っても気づかない
●仕事を早く仕上げられる
 ↓手順を手抜きする
●余裕をもって仕事が出来る
 ↓遊びが多い
●不必要なことはやらない
 ↓気配りが悪い
●時には長時間の仕事に耐えられる
 ↓疲労で意識が下がる
●仕事は体が覚えている
 ↓うまく仕事を教えられない
●今の仕事だけ興味がある
 ↓他に興味が湧かず視野が狭くなる

このような特徴が見られる。

上記だけでも12の特性、つまりヒューマンエラーになりやすい傾向をもっている。

今回の事故の遠因を推察すると、「慣れ」、「気軽な取り扱い」、「間違いに気づきにくい」、「手順の手抜き」等のキーワードが挙げられると思うが、これらはすべて熟練者だからこそのファクターと言える。

では、熟練者も事故を起こさないようにするには何が必要なのだろうか?

まずはこの特性を自覚することである。次に、ルール作りとその厳守となる。

作業によっては事前の届出も必要になるだろう。更に、ルールを破ったらすぐに、上下に関係なく注意し合えるような環境も絶対必要条件である。今回も「その作業は必ず2人で行わなくてはならない」と決められていたらどうだったのであろうか?気づいた人は注意していただろうか?それでも実施していただろうか?

そのルールを作るうえで出来ればリスクアセスメントを実施してもらいたいものである。

客観的な危険性を認識するためである。リスクアセスメントはルール徹底の客観的な説得材料となる。また、日常的な「ヒヤリ・ハット」の収集と改善、そして定期的な研修会の開催である。これらの相乗効果によってでしか事故の発生は防げない。

以上の前提として経営陣の現場感覚がベースとなる。「現場で何が起きているか」という三現(現場、現品、現実)主義である。組織の規模にかかわらずトップの現場主義が貫けている企業は安全のみならずCSの点からも高い評価をされ続けていくことに違いない。

注)リスクアセスメントについての一般的な解説は
  中央災害防止協会のホームページ
  http://www.jisha.or.jp/ にあります。

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