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【2009.02】安全行動のスイッチを入れる

ここ1年の事故の中で最も痛ましかったのは昨年6月、杉並区の小学校で起きた天窓からの転落死である。安全であるべき小学校の授業時間中の出来事であった。昨年暮れに校長と女性教諭が書類送検され刑事上の責任が今後問われることになった。事故直後、建物設計者の意図もマスコミに流れたが、屋上に児童が立ち入らないことを前提に天窓を取り入れたことが判明した。従って、屋上に立ち入ることを許可した校長の責任は大きい。ならば、校長は実際に屋上に上がったことがあったのだろうか?そこが疑問として残る。また、たとえ屋上に上がって見ても、そこで児童の行動がイメージ出来、天窓の構造・材質にまで疑問が沸かなければ意味をなさなかった。マスコミ報道によれば天窓からの転落事故は今までに高校、中学校等で起きていたが、それらが教訓として生かされていないことが指摘されている。学校(高校以下)での事故は独立行政法人日本スポーツ振興センターに報告され、1年間をまとめて報告書になるが、報告書は各校でなく、市区町村の教育委員会へ送られている(センターのWebサイトでも見れる)。また、教育委員会の安全担当者宛でなく保険担当者に送られているというから折角の資料も殆どが死蔵されることになる。

以上のことから教育界において同じような事故を起こすまいとする気概は殆ど見られない。

同じようなことが建設業、製造業、流通等の現場で起きている。いずれも事故の教訓から学ばないサイクルとしてである。トップは現場を知らない、中間管理者は責任逃れをする、そして現場作業者、従事者が事故に巻き込まれるという構図である。事故発生直後はさすがに緊張感漂い、安全第一が連呼されるものの時間経過とともに安全マインドは遠のいていく。安全担当者に言わせれば、「安全教育はやっている。悪いのはそれを守らない現場である」という所に落ち着く。よって、いくらやっても安全行動励行は難しいと思っているのが正直な感想だろう。

ここに安全に関してピカ一の企業が存在する。安全のレベルを5段階に分ければその最高点に達した会社である。その企業の現場雰囲気を一言で表せば「気持ちよく注意でき、気持ちよく聞ける」というものである。現場での上下、職域に関係なくスタッフに少しの不安全行動があれば、その人に向かって注意し、また、注意された方も即座に反省するというものである。それが、たとえ入社1年未満のスタッフでもベテラン社員のその現場を見たら、即座に注意することが義務付けられている。また、言われた方も素直に聞く。では、そのような職場をどのように作り上げたのだろうか。もとより、その企業も始めからそのような雰囲気ではなかった。1歩1歩の積み上げ、気の遠くなるような時間が必要であった。そのプロセスを分かりやすくするために模式的に個人の行動に置き換えてみよう。

ここに、飲酒運転の常習者がいるとしょう。昨今の刑罰の強化、また、悲惨な事故報道等からいくらか自粛しているものの、「まだ、これくらいならば大丈夫!」と時たま飲酒後もハンドルを握ってしまう。その人をよく観察すると、同じような行動をする同僚、上司から影響を受けていることが多い。つまり、「あの人もやっているから」というものである。では、このような人に飲酒運転をやめさせるにはどのようにしたらよいのだろうか?

まず、会社トップの強い方針が打ち出されなければならない。個人の場合は強いコミットメントをすることである。ただし、今更大きな声では言えないから、日記などに記載する。また、懲戒免職等の罰則もはっきりと明記、そして実行されなければならない。

ここまでが第一段階である。そうするうちに、変化は次のように起きてくる。

まず、周囲(職場の雰囲気)の変化である。飲酒運転は絶対にいけないという雰囲気である。

つぎに、同僚の行動の変化である。今まで、たまに飲酒運転をしていた人が、飲むときには必ず車を置いてから行く、もしくは必ず代行を呼ぶというものである。そうすると、いつしか自分の行動の変化に気が付くようになる。「自分もいつからこのように飲んで運転することは無くなったのだろうか」と、無意識のうちにふと振り返ることが出来るようになる。ここまでが第二段階である。ここまでくればしめたものである。安全の良いサイクルが回りはじめる。このように人の行動のきっかけは一般に、自分の意思だけでなく周囲からの影響で始まり、それによって変化していくというものである。筆者の経験によれば第一段階から第二段階まで進むのに早くて6ヶ月、平均2・3年は掛かる。

なお、この一連の過程で幾つかのポイントがある。安全行動のスイッチが入る瞬間のことである。それは、

 ●自ら安全の目標を心に決めた時
 ●安全行動を励行して上司・先輩からほめられた時
 ●同僚にそれとなく注意したが、却って感謝された時

この3つのケースが人の行動を良い方向へ変化させる大きなきっかけとなる。この中ですぐにでもスイッチが入るきっかけとなることは、2番目である。上に立つ人ほど部下の行動を注意して観察し、少しでも良くなってきたならばその場で褒めてあげることである。

先に例示した企業もこのような事の積み重ねから少しずつ安全のサイクルを回し、スタッフの行動を変え、ついには安全が企業文化まで昇華させた数少ない会社であるが、安全の重要性を飽きることなく唱えるトップの継続力とそれを理解して賛同するスタッフの両輪が不可欠の条件であった。その課程でも大切なことは早く結果を求め過ぎないということである。なぜならば、安全の重要性を理解出来るまで個人差があるからである。決してすべてのスタッフに同じ時間軸を持って接してはならない。願わくは、スタッフ1人1人の個性、特性に合わせた成長プログラムを持つことが望ましいのである。


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