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新・横浜経済季評

【2016.03】日本社会の問題点「非正規雇用」

2,000万人に迫る非正規雇用者

正社員ではない非正規雇用者は、パートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員の総称であるが、身分が不安定で年収が100万円から200万円、ボーナスも退職金もなく、ほとんどの場合いつ切られても不思議ではない有期雇用(派遣の場合は3年が普通)と言った不安定な就業形態となっている。このような不安定な身分制度が出来たのは1999年、それまでの派遣労働は賃金のピンハネであるということから原則禁止であったが、産業界の要望に応えて対象の仕事は拡大され原則自由化された。以来、人材派遣会社は大きく伸び、大企業並みに大きくなった企業もあるが、就職氷河期といわれた時には大学卒でもフリーターなどになり派遣で働く人が増えた。最も非正規雇用の中のパート、アルバイトが全体の半分以上を占めているがパートタイマーはこの10年で1.8倍ほどに増えており、スーパーのレジ係等の中高年女子だけではなく若い男女まで拡大している。

昨年4月に改正パートタイム労働法で正社員と同じ仕事をするパートの場合は賃金や福利厚生面で差をつけることを禁止された。この場合のパートとは1週間の所定労働時間が正社員と比べ時間が短い労働者ということであるが、多くの企業は正社員と仕事の責任に差をつけることで差別的賃金でも合理的な説明が付くと言うことで対応している企業が多いようである。

さらに、昨年9月30日に施行された改正労働者派遣法では有期雇用の3年を3年ごとに人を変えれば派遣社員制度は続けられるということになった。今まで専門職26業種は派遣であっても同じ職場で働けたが、通訳業務など専門職の方も3年ごとに働き先を探さなければならないということになった。

非正規雇用の問題点

“鸚亀という人権にかかわる差別

現在の非正規は大げさに言えば差別問題ということである。非正規雇用でも正規に代わる可能性はないわけではないと言いながら、所定労働時間の短いパートタイム労働と違い、正規労働と同じ仕事をこなして、同じ時間を働いても非正規という身分差によって賞与もない低賃金であり、しかも、派遣労働の場合は雇用主は派遣会社にあると言うことから法定福利費の対象にもならず年金も自分で入らなければならないという不利な立場になってしまう。

非正規雇用は有期雇用

通常非正規雇用は3年という短い期間で切られてしまうと言う不安定な身分となってしまう。したがって、将来に向けた生活設計が成り立たない。それも非正規雇用は世帯主の稼ぎを補完する教育資金とか旅行資金などを貯金する主婦のパートタイマー勤務ではなく20代、30代の若い方にまで非正規雇用が普通になってしまったところに雇用不安が広がり日本経済の不安定要素になっていることに問題がある。

G収の大きな格差は生活不安を拡大

非正規雇用は年収で正規雇用者の50%〜60%という低賃金のため、結婚は出来ないし世帯が持てないということから将来に対する不安は計り知れないものがある。厚生労働省の「社会を支える世代に関する意識調査」によると、正規・非正規別未婚率は男性の場合30歳代で正規の未婚率30.7%に対して非正規は75.6%、40歳代になっても45.7%が未婚となっている。非正規雇用から正規雇用になることはもちろんあるが、いったん非正規雇用になってしまうと大半の人は非正規雇用からの脱出は難しくなってしまう。したがって、非正規雇用者の大半は自分の将来設計が出来ない、家庭が持てない、年金未払いということから年金はもらえない。老後は生活保護を受けるしかないと言った事が若いうちに見えてしまう。事実、生活保護世帯は増加の一途にあり毎年3〜4万世帯ずつ増加し、平成26年度は161万世帯となっている。28年1月25日家計調査研究所の「消費生活に関するパネル調査(2010版)」によると貧困世帯割合は正規雇用者の1.25%に対して8.47%で6.7倍と失業者が4.55%であるから失業者よりも相当悪いことが分かる。

す駝映金は払えない

国民年金の納付率は、厚生労働省年金局の発表によると平成26年度は63.1%で3年連続で納付率は上昇したと報告されている。最悪の平成23年度は58.6%ということであるから滞納者からの徴収強化が表れているとも言えるが、40%前後の支払うべき人が払っていないということは、もはや年金制度は破綻しているということではないだろうか。中には悪質な滞納者もいるかもしれないが、非正規雇用者が2,000万人では払いたくとも払えないのである。さらに、問題なのは厚生労働省の発表によると5人以上の小規模事業所が加入しなければならない厚生年金の加入逃れと思われる事業所は、79万社に及ぶという。もはや年金制度は国民の老後の安心安全の役には立っていないということではないだろうか。

テ本経済にも大きな影響

我が国のGDPは約500兆円と言われているが、その中で個人消費が60%を占めていると言われている。消費が伸びなければGDPは伸びないが、その中で自動車の販売は日本経済の成長を牽引していた。しかし最近は自動車は若者離れが進み内需は全く元気がないという。自動車業界は一部のメーカーを除けばいずれも好調であるが、それは国際戦略が功を奏しているからで外需の好調によるものである。非正規雇用者が2,000万人の国では自動車は売れないわけである。最もグローバル化した競争経済の中では正規雇用などは無理であるという財界からの強い要望がある。しかし、結果は我が国の技術力は低下し国際的な価格競争の前では途上国の賃金との差では勝てないし、事実、大手企業で有名な会社でも消えてしまった家電メーカーや今まさに国有化されようとしている企業も登場している。非正規雇用では競争力は出ないし途上国と戦うのではなく棲み分けしなければならないということが分かる。

6人に一人の子供の貧困は最悪の状態

日本の相対的貧困率(可処分所得の中央値の半分に満たない人の割合)は年々悪化する一方でOECD(経済協力機構)加盟34カ国の中で最も高い16.1%となっている。このことが親の貧困が子供にそのまま影響し、16.3%の子供が貧困状態にあると言う。朝食を食べずに登校するといった不十分な衣食住、虐待や育児放棄、低学力・低学歴、孤立・孤独、文化的体験の欠如、強い自己否定と言った多くの課題を抱えている。連合の調査によると非正規労働者の20.9%が生活苦で食事の回数を減らしているという。勿論、医者にかかれない、社会保険料を払えないと言った歪が出ている。

最近、子供食堂ネットワークが東京・神奈川を中心に子供に温かい食事を提供するボランテア活動があると言う。勿論、立派な活動で応援したいと思うが、何かというと根本問題にメスを入れずにセーフティーネットで解決しようとしているように思う。非正規雇用者の貧困が子供食堂を立ち上げさせたと言ってよい。特に、貧困連鎖社会などという言葉が出ているように、特に女性の貧困率が高くなっている。15歳〜34歳までの非正規雇用割合は男性の25%に対して女性は47%と倍近い高い数値となっている。したがってシングルマザーも134万人もおり、20歳代の80%が114万円以下という低い年収となっている。

検討すべき「日本版ワッセナー法」

オランダは1982年に経営者団体と労働組合、政府が3者協力して失業の増大とインフレを阻止するためにワッセナー合意を交わした。オランダハーグの郊外ワッセナーで交わされたことからワッセナー合意と言われているが、この合意はワークシェアリングということでもある。フルタイム労働者とパートタイム労働者の間で時給、社会保険制度加入、雇用期間、昇進等の労働条件に格差をつけることは法律で禁止された。したがって、フルタイムからパートタイムにまたはその逆も認められることになり、オランダではパートタイム労働者が男性も含め急増したという。これはパートもフルタイムも同じ賃金で違いは労働時間だけということによるわけでこれが本当の多様な就業形態ということではないだろうか。

日本も政府が言うように1億総活躍社会にし、女性も社会参画しながら子育てもできる社会にするにはオランダのような改革を行わなければならないと思う。


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なお、永い間お世話になりましたが、私の経済季評欄は今回を最後にいたしたいと思います。確か19年間書いたと思いますが、私のつたない原稿を採用し、また、お読みいただいた方には心から感謝申し上げます。本当に長い間ありがとうございました。

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