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新・横浜経済季評

【2015.03】マニュアル経営からの脱皮

外食産業の異物混入事件

最近有名な企業で異物混入事件が起きた。よく調べてみたところ、全国各店舗の何か所かで事件は起きていた。この企業はファストフード店としての歴史もあり教育も徹底しており、顧客のブランド志向でもトップクラスだった。大人から子供まで各層に人気があり、まさかと思ったが、最初は海外の委託生産工場の品質管理のずさんさがTVで報道され、多くのファンが驚き目をそらしてしまった。
 そして、最近はある店舗で人間の歯らしきものが出てきたということで信じられないような事件となっている。食品産業は異物混入は品質管理の第一歩で何としても起きてほしくない事件である。
 特にこの業界は激しい価格競争を展開しており、異常と思えるような価格で勝負していた。価格が安いから事件が起きたなどとは思いたくない。
 ましてやこの企業の経営者は事件が明るみになる前に、長かった経営から身を引くと言う見事なバトンタッチをして外食産業ではない異業種産業の社長に就任した。外食産業時代にはTVにもよく出てきて経営のコツを発言していたので、専門経営者というのはどんな業種でもこなせるのだな、と見ていた。しかしこの一連の事件はこの社長の時代に起きていた。勿論、異物混入や委託先工場での期限切れ食材の利用や床に落ちた食材をそのまま機械に投入することなどを指示したり、知っていたのに知らないふりをしていたわけではないと思う。ではなぜ、信頼のブランドに傷が付くような事件が起きてしまったのであろうか。

マニュアル経営の限界

マニュアルは非常に大切なものだと思う。作業マニュアル、工事マニュアル、メンテナンスマニュアル、店内サービスマニュアル、ベッドメーキングマニュアル、機内サービスマニュアルとマニュアルはあらゆるオペレーションの基本で、マニュアルに基づいて教育訓練が行われ、マニュアルの具体性や精度が競争力を左右すると言われている。それだけにマニュアルは企業秘密で門外不出ということになる。しかし、今回の外食産業の不祥事を見ると、何故現場で異物を発見することが出来なかったのか。なぜ、報告がトップ上がるまで時間がかかったのか。
 など、作業はマニュアル通りに行われていたのに不思議である。結局、作業現場での一つ一つの作業に、現場が品質の作りこみをしているのだと言うマニュアルに書いていない「現場に解がある」という基本的なことが抜けていたのではないだろうか。我が国の品質管理は現場主義による「次工程はお客様である」という気配り、「TQC−全社的品質管理」で全社員がいい仕事をしようという品質意識が抜けていたのではないだろうか。輸入品の受け入れ部門も、倉庫で管理する人も、倉庫から工場に持ち込む人も、機械に原料を投入する人も、機械を操作する人も、工程を監視する人も、包材を積み込む人も、包装作業を監視する人も、そして、自動倉庫や急速冷凍室に移送する工程を監視する人も、あらゆる工程で、次工程はお客様であるという意識で作業していたとは思えない。私の守備範囲はきちんと作業を行ったのだから私には責任がないという感覚ではなく、みんなが品質の作りこみに責任があると言う、マニュアルに書いていない品質管理の基本が抜けていたのではないだろうか。
 マニュアルだけに頼った経営の限界を感じる事件だった。

誇っていい日本的な経営

昨年有名なアメリカの世界中にあるチェーンホテルに泊まった。フロントでカギをもらい部屋に入ったところ、一瞬どうなっているのだろうと目を疑った。全く掃除をしていなかったのである。ベッドの上は毛布などが乱雑になっており、テーブルの上は飲み物の空き缶などが散らかっている。
 フロントに直ぐ電話したところ、「部屋を変更いたします。キーを取りにきてください。」ということだった。一応事なきを得たが、謝るわけでもなし、キーを持って飛んでくるわけでもなし、掃除をしていない部屋の確認に飛んできたわけでもない。
 これが有名なアメリカ型のホテルオペレーションマニュアルかと思った。日本だったら、まず新しいキーを持って、お待たせしました。申し訳ありませんが部屋を代わってください。
 と言って、その後、前に使っていた客はどんな客でチェックアウトは何時だったか。部屋の掃除係りは誰だったのか。うっかりミスか、部屋掃除時間になっても部屋が空かないので勤務時間外になってしまったのか、など、よく調べこのようなことがないように対策を講じるのが普通である。勿論、部屋を変わった後の対応は調べたわけではないのでどうなっているかは分からない。このようなことは日本のホテルでは考えられないことである。
 結局、部屋の掃除の仕方、ベッドメーキングの仕方、シャワールームの清掃法をマニュアルに従ってどんなに訓練をしても、掃除忘れは誰の責任なのかよく分からない。もっとも最近はほとんどの作業をアウトソーシングしているので、数多くの業者が出入りし、価格競争で業者も変わるので顧客本位の経営が徹底しないのかもしれない。

マニュアルに頼らない経営

マニュアルらしきものがない企業もある。ある光学機器を作っている企業だが現場主義が徹底している。機器の設計にCADを使わない。ドラフターも使わない。使わせてもらえないのである。現場をよく見、現場の状況を確認して製図板に向かい鉛筆で図面を書くのである。設計者のそれぞれが創意工夫を発揮して手で書くからその機械の状況はよく分かるし、何度も何度も書き直して最適設計をするという。次の同じような機器の受注があっても、あらためてまた設計をするということである。設計は日々新たという考えで、常に革新し続けることが大切だし、鉛筆で手で書くからノウハウが頭の中に、腕に残ると言っている。

マニュアルがあるから非正規雇用で大丈夫?

マニュアルがきちんと整備されているから、誰が作業しても同じに出来る。非正規雇用で十分である、という経営者がいる。マニュアルを整備することは重要である。しかし、だれがやっても同じ品質が維持できるというのは、果たしてそうであろうか。
 そこには、コミュニケーションも企業への忠誠心も仕事への誇りも何もない。非正規雇用は勤労者の40%近くになり2,000万人に迫ろうとしている。二極分化社会も子供の貧困率16.4%も消費が伸びない社会構造も国民年金不払い者が40%近くになっている構造も、そして、生活保護世帯が急増し160万世帯に迫っている。この大きな世帯を税金が支える社会になってしまった事も非正規雇用制度が原因だと思う。まさに貧困連鎖社会が進行しているのである。年収2〜300万円では結婚は出来ないし、世帯は持てないし、年金の掛け金は払えないし将来に希望の持てない社会が今進行しているのである。そして、技術や技能が日本から消え去ってしまい元に戻らなくなっている。いくら非正規を続けても技術ノウハウはマスターできないし、定着しない。政府が財界に向かって好循環社会を作らなければならないから賃金を上げてほしいと要望しても、これは非正規には及ばない。時間給が10円、20円上がっても大きな格差を埋めることは出来ない。ある非正規雇用者は朝の6時から食品工場で2時間働き、それから非正規雇用の会社に出勤する。そして毎日残業をして家に帰り、10時から12時までコンビニの店員として働いているという。もう限界を越える働きをしても正規雇用社員には追い付かない。
 大卒の就職率が改善されたと言っても最近発表されたデータを見ると新卒でも非正規雇用者が20%いると言う。したがって、奨学金の返済率も低下する一方で、給付型奨学金の充実を図らなければならないと必死で奨学基金財政の充実を各大学ともはかろうとしている。
 何としても非正規雇用社会からの脱皮を図らなければマニュアルだけでは日本のものづくりはダメになる。マニュアルを越える経営を取り戻す事が必要ではないだろうか。

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