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新・横浜経済季評

【2014.03】アベノミクスの内容を覗いてみよう

アベノミクスは新年度予算の決定によっていよいよ具体的に動き出すようである。

95兆8千8百億円という大型予算を組んだので、産業界は賃金を引き上げて消費を刺激し、景気を良くすることによって投資を促進し本格的に官民が協力して好循環の景気浮揚を図るということのようであるが、市場経済を担っている産業界に対して賃金を引き上げろという要請は果してどの程度効き目があるのであろうか。特に大企業は好業績と内部留保の厚さを反映して賃金引き上げの反応を示しているようであるが、中小企業は好業績状況には至っていないということで、賃上げしたい気持ちは人材確保の面からも重要とは考えているが大企業同様な賃上げは無理というのが実情のようである。今回の政策で目立つものを見てみよう。

期待される3本目の矢

1日も早くデフレ経済から脱却し、消費物価を2%程度の弱インフレにしなければ元気が出ないということから、日銀による大幅な金融緩和と補正予算、年度予算の大型財政出動というアベノミクス1本目2本目の矢は放たれた。株価の好調も一般の投資家は値上がりを受け入れての売り越しとなっており、株価好調を支えたのは、投機筋中心の海外投資家による買い越しが高株価の原因で、これから企業業績に裏打ちされ、一般投資家が市場に戻ってきて初めて本物と言われているところに、1、2本目の矢の不安定さを抱えている。したがって、3本目の矢である、成長戦略が具体的に動き出すことが欠かせない。

デフレ経済脱却と日本経済再生に向けた「産業競争力強化法」の改正

個人所得の引き上げ効果を促進するために、政府は1兆円規模の所得拡大減税で個人所の中身を濃くする政策を発表した。さらに、法人向けには法人実効税率の引き下げが議論の最中ということから、東日本大震災対策のために創設された復興特別法人税を1年前倒しで廃止するという。

特に産業競争力強化法の改正は思い切ったもので、生産性向上のための設備投資に対しては、即時償却や5%の税額控除で大規模な投資減税を行うほか、中小企業の投資促進税制も7%控除、小規模企業は10%控除と拡大をする。また、ベンチャー企業への投資を促進するため、ベンチャーファンドに対する出資額については80%を準備金として損金算入を認めるという。さらに、事業再編を促進して競争力を強化するために統合する新会社への出資金は70%を準備金として損金算入を認めるという。この制度を活用する日本を代表するH社とM社は即反応し国際競争力を高めるための火力発電事業を統合会社に1本化することを決め早速この法律の第1号に認められるようで経済産業省も申請が出次第改正新法による承認を行うということである。

規制緩和についても新しい枠組みが創設され企業実証特例制度に基づき企業側から規制緩和の申請があれば、規制緩和を検討するという。また、グレーゾーン解消制度という法律にはなじみにくい表現で、企業が新しい分野に進出する場合の後押しを行う。事業計画に即した規制緩和も検討するという。

このほか、従来の法律の枠内ではあるが、研究開発税制については研究開発費を増額させた場合はその30%を税額控除、そして、国家戦略特区については世界で一番ビジネスがしやすい環境整備を行うということである。

狙いは「過少投資」「過剰規制」「過当競争」の是正

バブル経済時代は投資も雇用もとにかく過剰だ。そのツケがバブル経済の崩壊となり過去に経験したことのない長期にわたる低迷経済となりデフレスパイラルに突入した。この状況からの脱出が経済対策の柱となったわけである。

「過少投資」「過剰規制」「過当競争」とは、サヨナラをしよう。思い切った設備の更新で生産のイノベーションに取り組もうということで、もう過少投資はやめようというわけである。日本経済を再生させる投資、すなわちアベノミクス3本目の矢の成長戦略産業へのシフトを産業界は考えてほしい。政府は思い切った投資減税を行うというわけである。特に新事業を創出するには研究開発への投資や新事業にチャレンジしなければならない。過少、過剰、過当といった行き過ぎに挑戦し国際競争に勝てる日本産業に変質させようというわけである。狙ったように好循環を実現できるかどうかは本当に過剰規制が是正されるのか、未知数もたくさん残っている。過当競争を是正するために事業の再編統合は産業界の役割であるが、果して実行に移せるかどうか、減税という施策で大きな山が動くのかまだわからない。

待たれる、成長戦略産業への道しるべ

成長戦略産業とは、海外との強い競争力、海外との棲み分け、次世代への成長力、我が国産業力の潜在力発揮、内需の振興、雇用と税収効果といったことがキーワードとなる。大げさに言えば、新産業へのシフト、イノベーションの進展といったことが重要になるので、政府の役割は新分野進出支援、規制緩和、その陰に隠れている役所がカギを握っている制度改革、そして抵抗勢力の排除ということになる。いずれも難しい問題であるが、成長戦略分野を提示するだけではなく、真に規制緩和等の障害を取り除くことが成長分野を走らせることになる。残念ながら3本目の矢の最も重要な改革はまだ見えていない。アベノミクスが絵に描いた餅にならないよう期待したいものである。

体質が変わった日本の産業構造

アベノミクスはまだまだお題目が多く具体化にはもう少し時間がかかるようである。新成長戦略は雇用、農業、医療分野を中心に今年6月に発表するということである。同時に、具体的な規制緩和策や新分野へ挑戦する企業支援策も打ち出す予定といわれている。具体的な対策になるほど議論百出で総論賛成各論反対となり、予算の裏づけも必要となるだけに時間がかかることも仕方のないことかもしれない。しかし、現実は東日本大震災の復興需要、公共インフラの安全安心のための工事、そして東京五輪関連工事需要期待、民間設備投資の増加などが重なり、建設費は上昇する一方で小規模工事に至るまで入札不成立や赤字工事が増えているという。

人手不足も厳しい状況で海外に人手を頼らなければならない状況に政府も検討を始めたということである。また、円安は輸出産業に朗報と言われているが、貿易赤字は拡大する一方で昨年の貿易収支は11.4兆円の赤字だという。白物家電はこのところ好調に売れているということであるが、大手家電メーカーのT社は白物家電はすでに円高対策が終了し、海外生産比率は96%となっており、円安はメリットではなくデメリットになっているということである。皮肉なことに我が国の大企業は海外シフトを積極的に行ってきたため円安になっても貿易赤字は減少しないという体質の転換が終了したのである。したがって、大企業の景気が回復しても、中小企業、特に下請け企業の受注回復にはつながらないというのが現実となったのである。

待たずに挑戦しよう

素早いアベノミクスに期待は大きいが、政策の具体策が出てくるまで中小企業の経営は持たないかもしれない。答えは政府の指示を待つまでもなく、成長戦略分野への挑戦は各企業の鋭いアンテナと素早いフットワークで踏み出すということではないだろうか。

すでに、野菜工場を現実のものにし始めた企業、メンテナンス分野に全面シフトして成長し始めた企業、医療機器分野でグローバルニッチトップとなった企業など政府の支援を待たずに答えを出し始めた企業の登場は日本経済の明るさを示しているのではないだろうか。

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