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新・横浜経済季評

【2012.09】今こそ人材を人財に

日本型経営を一言で言うと、資本主義ではなく”人本主義”という人がいる。経営資本で最も重要なのは”人”であり、研究開発も営業能力も、合理的な生産システムも、さらには、顧客対応サービスも、すべて人が成果のカギを握っているという考えからである。しかし、経営は同時に定量的な表現で、売上高とか生産性とか資本利益率といった数字で評価される。優秀な人材比率とか営業力何点とか開発能力何点といった数字で評価されることはほとんどないし、また、人材能力を定量的に評価するのは難しいし、S/Bには表現されていない。

社員の中に大卒が何人とか、技術系社員が何人とか、特許取得数が何件とかいった表現は、企業案内などに書いてあるものもあるが特許数と業績がリンクしているわけではない。

従業員の平均年齢や平均勤続年数とか売上高や利益や初任給の表示はあっても非正規雇用数や平均給与の表示をしている企業案内はほとんどない。

最近の傾向は人本主義というほど”人”を大切にしていない経営、大げさにいえば、人を材料のように使い捨てにする、人権無視とも言える経営が多くなっているように思う。

そこで今回は、人を大切にしている経営、人を生かしている経営の一端に触れてみたい。

モノづくり日本大賞に顕彰された社員

経済産業省はモノづくり日本を重視し、隔年開催ではあるが、ものづくりに貢献があり、我が国はもちろん世界的にも誇れるものづくり人材を総理大臣や経済産業大臣の名において顕彰している。

この賞は企業表彰ではなく、ものづくりに顕著な貢献のあった人を対象にしており、大企業か中小企業かの区別はない。自分で自分を推薦するのは認めていないが、社長が社員を、取引先や共同研究をしている大学や地方自治体や地域の中小企業支援機関など、自薦他薦大歓迎となっている。推薦状は各経済産業局単位で専門家による一次、二次の審査が行われ各地域のモノづくり自慢がノミネートされてくる。そして、本審査が行われ顕彰される。昨年度末顕彰された企業の中に横浜の企業S社がある。社長が付添人となり表彰の対象社員5人が表彰会場に来ていたが、みんな誇らしげで金品は何もないのであるが、記念写真におさまっていた。この企業は二度目の顕彰で、社員の熱心なモノづくりを評価している企業である。したがって社員85人の中に非正規雇用者は1人もいないというから立派である。

燕三条地域のF社は、6人もの社員を社長が引率して研修を兼ねて東京へ来たという。そこで、他社のものづくり人財に会って話し合ったり、先進的な講演を聞いたり、翌日は先進的な中小工場を見学してから帰るという。仕事を休み、旅費をかけて異質な機会に触れさせることは社員の成長にとって重要なことであると経営者は言っている。

大企業からスカウトした人材も2年で離れる

A社は電子部品組み立ての仕事をしている。取引先に振り廻される毎日で、忙しいばかりで儲からないと嘆いていた。そんな時、異人種交流会で大企業で電子デバイスの研究をしている40代の技術者に出会った。電子回路の中に組み込む小さなものであるが、通信の広帯域化が進むほどに重要性を増すデバイスの研究をしているということからA社の社長はこの技術者にぞっこんほれ込み熱心なスカウトを行った。交流会で毎回誘いをかけるうち半年後に、このデバイスの事業に取り組んでくれるなら今の企業を退職してA社に来てもいいという話になった。早速A社ではプロジェクトチームが編成され、この技術を改良して特許上のトラブルにならない対策を立て、デバイスの完成と実験、営業に入った。その間、資金もかなり必要になるということから国の認定を受け補助金を得て商品化に拍車をかけた。ほぼ完成し、サンプルを持って営業をかけると、顧客の反応は一度テストしたいのでサンプル提供を願いたいという反応と、性能がいくら良いと言っても価格が高すぎるという反応だった。価格低下のポイントは量産化で、少なくとも月産1、000万個といった単位で生産しないと市場の要求には応えられないということだった。高くても購入する企業は出てこないかとサンプル出荷ばかりが続いた1年後、当社は量産工場への投資にも踏み切れず、企業は在来事業の縮小と、新製品開発チームのスタッフも半減させるという決断をした途端、スカウト人材は退社してしまった。何とか新規事業を立て直し、企業再生の重要事業に育てたいと意気込んだが、この新製品デバイスの情報は社内には何も残っていなく、スカウトした人材に頼り切っていたため、チームのメンバーに聞いてもノウハウの分かっている社員は誰もおらずA社は資金繰りに詰まってしまい倒産してしまった。中小企業が大企業退社の人材を使う難しさを物語っている事例である。大企業から排出される人材は大企業のリストラ問題などもあって、かなりの数になる。この人材を中小企業でも活用できれば、中小企業の技術力、営業力に大きく貢献するものと思うが現実は口で言うほど簡単ではなく、”大企業の人材を上手に活用し定着させるノウハウ”といった参考書でもないものかと思う。

大企業で冷たくされた技術者は海外で活躍

我が国を代表する大企業で活躍したMさんは定年後もまだ気力体力も十分なため、何とか嘱託でもいいから長年勤務した工場で働きたいと思っていた。しかし、実際は定年とともに子会社へ行くこともなく退社となった。完全に当てが外れ長年愛した会社ではあるが冷たくされたという気持ちのまま、毎日が日曜日となった。そんな時ヘッドハンティング会社から海外で働いてみる気はないかと誘いがあった。仕事は今まで培ったノウハウが完全に生きる仕事だった。しかも、処遇は抜群の良さで、今までの年収を上回るものだっただけに3年くらいは日本を離れるのも悪くないと思うようになった。しかも、家族とは二重生活になるとしても、年に何回かは父親の勤務する海外へ行けるので賛成だという。反対されるかと思ったが、現役時代も夜遅く家に寝に帰るだけの猛烈会社人間だっただけに、いなくてもいいのかとがっかりはしたが、とにかく一度現地調査させていただき、先方は条件が一致すれば契約したいということから、急に忙しくなった。

身の回りの物を整えるとともに、手元にある技術資料や文献などをトランクいっぱいに詰め込み、海外企業への単身赴任が始まった。

半年後情報収集を兼ねた一時帰国がありその時Mさんにお会いする機会があった。元気そのもので張り切っていた。そこで、40年近く勤務した前の会社に対して後ろめたさとか罪悪感のようなものはないか?と聞いてみた。返ってきた言葉が、不思議だな?といった顔をして、どうして後ろめたさを感じなければならないのか、そんなものは全くないということだった。今は新しい情報をキャッチしたら直ぐに帰り、現在依頼されているプロジェクトの早期立ち上げに貢献したい気持ちでいっぱいだという。1年前まで長年勤め愛していた会社への未練などは全くないということだった。優秀な技術者とともに我が国の重要な技術情報が流出しているのは明らかだった。

どんな企業も事業を行っている以上は人がいる。人の価値は「創造力」を発揮すること、人の能力は「やる気」という学歴や性別とは無関係な要素が加わって能力となるだけに機械の能力とは別の無限大のものを持っていることである。創造性を奪ってしまう企業や、やる気を失わせる組織では人財は人材になってしまう。

人を大切にする経営、人が定着する経営、人の能力が進化する経営、経営環境の変化に変身する経営、危機に立ち向かう経営、あらゆる経営スキルがイノベーションしている経営こそが誰もが挑戦的な働きをしたい経営ではないだろうか。

今こそ人材を人財ととらえる行動をしませんか。

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