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新・横浜経済季評

【2011.07】マニュアル経営依存からの脱出

ショックさめやらない日本経済

3月11日の東日本の大震災はマグニチュード9という、とてつもなく大きな地震で想像を絶する大津波が襲来したため、東日本の太平洋岸に大きな災害をもたらした。原子力発電所に対する津波被害は想定外の災害となり、地域ぐるみの集団移転や農産物の風評被害さらには工業製品に至るも放射線量を測定して証明をしなければ輸出受け入れがなされなかったり、輸入国側の厳しい検査が行われるなど、通常の地震災害に加えて原発災害が加わった今回の災害は、全く未経験の被害と対策に追われている。東北地方で操業していた工場は多くの被害を受けたため、目下その復旧に追われ工業部品の供給ストップや操業低下による供給不足は世界中に影響を与え、又、観光客の激減など、あらゆる分野に大きな被害を与えている。すでに、75日も経過したにもかかわらず、避難所暮らしの人も多く、工場は通常操業に至っていないところも多い。原発に至っては放射線の封じ込めや原子炉の低温化停止の見通しは立っていないようである。まさに、今回の災害はその大きさと困難な事後処理のために、いまだにショックから覚めていないと言えよう。

したがって、日本経済は数々のショックやリセッションを乗り越え今日に至っているが今回の震災は「一つの時代の区切り」だという人も多く、日本経済は過去の延長線上にはデザインできない時代に突入したと言ってよい。

想定外が当たり前の時代

「こんなに地盤沈下するとは」「液状化するなんて思ってもいなかった」「あの頑丈で大きな防潮堤が破壊されるなんて」「海岸からこんなに離れているのに津波に襲われた」「原発は安全なものと信じていた」等、等、今回の震災は想定外だらけだった。

しかし、よく考えてみると自然災害は想定外なことが多い。いつ災害に襲われるか、どんな規模の災害が来るか、確率のパーセンテージで言われてもピンとこない。「30年以内に来る確立が80%と学者に言われても、あす来るのか、来月に来るのか、5年後なのか、今の科学技術で正確に予測することはできない。しかし、大きな被害を受けると、想定外は必ずしも免罪符にはならない。特に日本列島は自然災害の多い気候風土、地理状況にあり、犧匈欧亘困譴燭海蹐砲笋辰討る0という前提で防災に配慮したシステムで想定外とも戦わねばならないのかもしれない。特に原発事故などは、津波による災害であったことは分かるが、その後の処理は人災だと言う人もおり、想定外だったでは済まされないものがあるようである。

想定外を想定するシビル・メンテナンス

想定外が想定できたらそれは想定内ということになる。しかし、通常の想定内は科学的な根拠にもとづくものや過去の経験則にもとづくもの等から想定するケースが多いが、実際の想定は、投資能力やコスト要因なども判断基準になって、結局、想定外の問題は50年に1回あるかどうか、とか、確率10%といった話になるし、活断層があるから危険だ、などという話は、活断層が破断するのは千年に1回等といわれているだけに、普通は千年?と聞いたとたん、生きているうちには関係ないな、と思ってしまう。しかし千年後に起こるという話ではないので、起こるのは明日かも知れないし、百年後かもしれないということで、つい、対応は難しくなってしまう。ましてや、取引先の倒産や優秀な社員の退社、為替相場なども想定していない事が突然やってくることも経営にはつきものである。

では、シビル・メンテナンスとは何であろうか。関係者の想定はどうしても、コスト要因などが強く作用し想定が甘くなりがちである。あるいは、想定に妥協も入りがちである。それに対して、起きるはずもない想定外を想定し、そんなことは起きない、そこまでやる必要はない。という発想に対して、第三者的市民感覚で想定外を考えて対策を考えるのが、シビル・メンテナンスである。原発をケースに想定外を想定すると、想定外の津波のために外部電源がすべて失われ、冷却のシステムが機能しなくなったということである。この場合、想定外の津波が来た場合は屋内にある第2、第3の自家発電装置の外、屋外にも、さらには、発電棟の屋上にも、100mほど離れたところに、50mタワーを作りタワーの上にも外部電源といった具合に、そこまでやらなくてもというレベルの対応がシビル・メンテナンスということになる。そこまでの対応を考えてコスト計算し電力料金をはじき出し、安全安心を保証するということになるわけである。

すなわち、想定外のことが起きても、さらにもう一つの奥の手が準備してあるというわけである。

そこまで考えることはもう経営の判断領域を超えているのかもしれない。だからシビルメンテナンスというわけで、絶対に安全だと言われるより万が一の事態にも、最悪の事態に至らない手が準備してあると言う方が安心である。しかしよく考えてみると、中小企業の資金繰りなどは、通常の運転資金は地元の金融機関、長期運転資金は都市銀行、設備投資資金は政府系の日本政策金融公庫、さらには、個人資産や親戚、友人知人にも応援者を作って想定外に対応しているのが中小企業の資金繰りである。

マニュアル経営の反省

マニュアルは経営にとっては欠かせないマネージメントスキルである。マニュアル通りに仕事を進めるから品質やコストや納期が守られ、サービスが安定し教育訓練の目標が定まり、効率経営ができる。しかし、マニュアルは新しい発想や行動を規制してしまいがちで、火事場のばか力は出てこない。すなわち、想定外に対してマニュアルは弱いのではないだろうか。

ある東京の大学の総務課長であるが、3・11は卒業式の日で、無事終了し着飾った女子学生や遠方から晴れ舞台に参加した父兄は親子ともども、学科毎、ゼミ毎の謝恩会などに出席したりしていたときに、地震は起きた。学内は大騒ぎになったが、被害はほとんどなくけが人なもなかったのでほっとした。

しかし、この学校の総務課長は、これは大きな地震だ。TVやパソコンで情報をみると、広域的な大地震だ。電車は動かないだろう。学生や父兄を守ることが大事だ。とっさに、教室の開放、毛布等の準備、暖房は切らない、学生や父兄には学内にとどまるよう指示し、そして、学生食堂に飛んでいくと、夕食用のおにぎりを準備させた。そして、今日は食堂の人も我々も学内に籠城となるだろう。在庫の食材を点検して、食事対応に万全を期してくれ、と指示したという。食堂のコックさんはじめ掃除をしたら帰宅するところだったが、「分かった。工夫しよう」と言って、全員が緊急事態に備えてくれたので、パニックになることもなく、卒業生や父兄には感謝されたという。

マニュアルにも書いてあるかもしれないが、マニュアルを読んで、上司の決裁を仰いで、などと言っていたら、食堂の人は全員確保できなかったかもしれないし、なれない父兄は駅などでさまよったかもしれない。

結局、想定外の事態に対しては、マニュアルに依存するだけでなく状況対応能力が問われるわけで、部分よりも全体を見通して指示し命令し行動する能力、マニュアル経営のどこかがほころび破れても、全体の破壊に至る前に部分トラブルで抑え込む能力等が問われているように思う。

想像性の欠如は経営を危機に陥れる

精緻なマニュアルに依存すればするほど、人間が本来持っている想像性を失わせることになるような気がしてならない。ロボットならいざ知らず、人間は考える能力、想像する能力を持っており、常に現状を打破する事を考えている。かつて、日本的経営の象徴だったTQCやQCサークルや改善活動は想像性を刺激し仕事のやりがいや、いきがいを保証し職場が生き生きとしていたのではないだろうか。マニュアル通りであれば十分であるという経営では人財は育たないし、ましてや緊急事態が発生した時の対応などは無理なのではないだろうか。

精緻なサプライチェーン構造も、分厚いマニュアルも大切ではあるが、どこかに、ゆとりや、創造性や、現場まかせの遊びのあるマニュアルはないのであろうか。

人間から想像性の発揮を奪ってしまったらその経営は危機に陥るのではないだろうか。この際、マニュアル経営からの脱皮を考えて見てはどうだろう。そんな悠長なことを言っていたのでは、激しい競争に勝てないのであろうか。

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