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新・横浜経済季評

【2011.03】農業も商工と連携してイノベーションを

今年の政治経済の重要課題はTPP

TPPとは一体何であろうか。狼のように怖いものだという人もいれば、TPPに参加しなければ日本は世界の孤児になってしまうという人もいる。中小企業の経営にも影響するのであろうか。現政権はやる気十分のようであるが、内閣の中でも意見は割れているようだし、政権与党も一枚岩ではないようで、いろいろな意見が飛び交っている。識者といわれる専門家の中でも意見はいろいろで、TPPとはそんなに怖いものなのかよくわからない。いずれにしても、貿易を自由にする新しいルールのようで、すでに動き出しているということから、早く乗らなければ本当に乗り遅れてしまうのか、よく検討してから乗っても間に合うものなのか。よく分からない。経済界はほぼ一致してTPPへの参加を決断してくれと政府に迫っているようであるが、農業団体や農業者の一部には、声高に反対を叫んでいる。したがって、経済の問題ではあるが、同時に政治の問題にもなっているために、今年の政治経済の重要課題というわけである。

国際ルールはGATTからWTOそして、FTA、EPAへ

TPPの前に世界の貿易の秩序を守る国際機関WTOの存在を見てみよう。WTO(World Trade Organization)は世界貿易機関ということであるが、1995年に設立され現在153カ国が加盟する国際的な自由貿易を推進する機関である。この機関はその前にあった1948年に設立されたGATT(General Agreement on Tariffs and Trade)関税及び貿易に関する一般協定という戦後の国際経済体制を支えた国際条約を継承したのがWTOでウルガイラウンドと言われている。

しかし、世界経済のためとは言いながら自由貿易の推進に合意を取り付けることはかなり困難で、各国の利害が対立するため先進国は関税撤廃を約束するものの、発展途上国は競争力がないため10年間据え置くといったダブルスタンダード協定などの議論も行われ理想を追いかけるのは難しい状況が続いた。そこえEUという欧州通貨統合まで行う結束力ある経済圏がWTOより前の1973年に西ドイツやフランスを中心に6ヵ国で欧州共同体として設立された。今日では27ヵ国が参加する欧州連合となっている。

このような動きに対抗して米国を中心とするカナダとメキシコが参加する北アメリカのNAFTA(North American free Trade Agreement)北米自由貿易協定が1994年に発効し、話し合いの場はWTOだが実質は地域間自由貿易協定が担う形になっていった。そこで、合意できる多国間で協定を交して関税を撤廃する協定を主とするFTA(Free Trade Agreement)自由貿易協定やモノの貿易だけではなくサービスや、人の移動や投資や政府調達、知的財産の保護なども含むEPA(Economic Partnership Agreement)経済連携協定を二国間あるいは地域間で交わす協定が、WTOの多国間交渉よりは合意が得られやすいことからWTOを補う地域間の国際ルール作りとして注目され始めている。最近マスコミに登場するインドネシアやフィリピンからの介護士研修生が日本の介護人材不足を補うために、研修後日本の国家試験に合格すればそのまま日本で介護士を続けられるという人材受け入れも、各国との二国間EPAによるもので現在11カ国と協定が発効している

TPPは関税完全撤廃の自由貿易協定

話題のTPP(Trans-Pacific Partnership)環太平洋経済連携協定は環太平洋戦略経済連携協定とも言われるが、2006年にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヵ国が加盟して発効した経済連携協定で、EPAと似てはいるが、貿易関税については例外品目を認めないという完全な関税撤廃を目指している点がいままでの経済連携協定と違うところである。日本政府はそんなことはなかなかできないだろう、小さな4ヵ国の協定だからとたかをくくっていた感じがある。しかし、先般横浜で開催されたAPECにおいてアメリカやオーストラリアなど5ヵ国が参加を表明し、9ヵ国の地域協定になることが明確になるに及んで、日本政府はかなりあわてたようである。すなわちアメリカの参加は今後参加する国が増える可能性が濃厚というだけでなく、スタート間もないTPPの協定の細目はアメリカ主導で決められてゆくのではないかという心配があるわけである。最も参加しなければ何の発言権もないし、参加国が関税なしに貿易しているのに対して日本は関税がかかるため貿易が縮小するようなことがあっても仕方がないということになる。しかし、TPPの関税の例外なし撤廃は輸出が伸びる半面海外の安いものがどっと輸入されてくるということが考えれるだけに競争力のある業界と競争力のない業界では賛否が大きく分かれるわけである。分けても、農業は競争力がないということから、今までも大きな関税で保護され、さらに昨今は農業ではやっていけないということから所得補償制度で補助金が支給されているだけに農業関係者はTPPは狼だというわけである。

一方、経済界はこのタイミングを逃さずに日本もTPP参加を表明すれば、日米が協力して環太平洋の自由貿易の秩序が作られ、経済発展に寄与できるが、参加するかどうかを含め6月には何らかの態度を表明するという曖昧なことでは日本経済の行く末は心配だというわけである。

日本の農業は壊滅するか

TPP参加反対のほとんどの意見が、輸入農産品によって日本の農業は壊滅的な打撃を受けるということである。日本の農業の自給率が40%程度という時に、食糧安全保障の観点からも、田畑が担っている自然環境維持の観点からも、農家の所得向上のためにも、農業をこれ以上いじめてはいけないというわけである。

日本の農業は、出荷額では21年度の農業算出額をみると総額8兆円で、うち米は1.8兆円、乳用牛以外はすべての品目にわたってマイナスとなっている。1994年の11.3兆円をピークに15年もの間下落を続けているのである。我が国のGDPが約500兆円ということを見るとそのウエイトは1.6%ということになり、農業の施策が貧困だったことが分かる。もちろん就業者も減っており5年ごとの調査データをみると平成5年から75万人も減少して昨年は260万人となり、かつ、平均年齢が65歳を越えたということで、TPPの前にすでに崩壊してきているといってよい。したがって、農業を守る必要がある、農業への支援を厚くしなければならない、ということになり、所得補償方式という税金で支えることになるわけであるが、TPPに参加したらさらにどのようにして農業を支えるのであろうか。

農業もイノベーションを

守れ!、守れ!保護しろ!、補助を手厚くしろ!という声が良く聞こえ、その支援計画がまとまるまではTPPへの参加は待て、という。しかし今日まで何十年もの間、農業は保護され、政府の支援を受けてきたにもかかわらず、農業は疲弊する一方で、耕作放棄地は1000haを越えるという。したがって、この機会に農業は保育器の中から出て、イノベーションに挑戦し、自立できる農業に生まれ変わるべきではないだろうか。

先般、山形県の雪深い過疎地域にある農業生産法人を訪問する機会があった。この法人は村の仲間19人で株式会社を設立し耕作放棄地を借り受けて、啓翁桜を栽培していた。12月末から2月上旬に咲かせホテル、レストランなどのディスプレー用などに冬に咲く桜として販売している。さらに、サポーターという会員制度を作り、米や米粉、米粉めんなどを直販しているということであった。農水省の支援は一切受けないと息巻いていた。

日本の米はかなり輸出もされており、欧州ではカルフォルニア米が2kgで1,000円なのに対して、日本の米は通常のもので1,500円、ブランド米は2,000円でよく売れているという。おいしいということと安全だということが富裕層に歓迎されているのだという。

果物も日本のものは芸術品のようだといわれるが、台湾でも、タイでも価格的には日本の3倍もするものが富裕層に飛ぶように売れているという。

直播米作で生産性を向上させた農家、温湿度調整の効くデシカント空調でハウス栽培パプリカの生産性を1.5倍にした農家、3年もの長い間新米の風味を保つという米袋を開発して特許を取った企業等など、イノベーションは随所で始まっている。

この際、農業者だけでイノベーションを行うのではなく、工業の技術力、商業の流通力と連携して、この困難な事態を乗り切ることは出来ないものだろうか。

農業はすたれることのない、あらゆる技術や経営ノウハウが結集した成長産業だと思うがいかがでしょうか。

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