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新・横浜経済季評

【2010.09】“寛容の世界”を考えてみませんか

免疫学者の多田富雄博士が先般亡くなられた。免疫学分野で多くの研究業績を上げられたことで有名であるが、免疫学から学んだ集大成を、先生は亡くなる前に遺言のように「寛容の世界」という言葉を残した。
「私は未来に絶望していない。“寛容の世界”に希望を持っているからだ。人間社会は、他人の言動や異文化を受け入れることが大切だ。免疫は異質なものを排除する重要な役割を担っているが、異質を完全に排除しようと思うと、正常なものまで壊してしまうことがある。そこで、免疫は異質なものと共生しようと努力をする。まさに寛容の世界が存在して、人間の体は複雑で高度な機能を発揮しているのである」
この、多田先生の言葉には頭をガツンとなぐられたような気がした。

異質はあらゆる分野に

異質はあらゆる分野に存在する。世界の国々でも国家間の紛争、民族間の紛争、宗教観の紛争と、異質と異質がぶつかり合っている。日本の政治もねじれ現象の中で、沢山の課題が積み残しになっている。企業も異分子がいないと経営はやりやすいが、気が付いたら世界の新しい流れから遅れ対症療法では解決できないところまで追い込まれている大企業もある。歴史と伝統を誇る日本の相撲も親方という同質の経営では課題の解決ができないところまで追い込まれている。

ワールドカップサッカーチームはとんがった人間集団

ワールドカップサッカー日本チームの岡田監督はリーダーの役割について聞かれた時
「とんがった人間をいかに上手にまとめるかが重要」
と答えている。サッカー音痴の私にはよくわからないが、選手それぞれに個性があり、足の速い選手、ドリブルのうまい選手、へディングの名手、見事なスルーパスを出す選手、ダッシュ力やジャンプ力のある選手、強いボールを蹴る選手、90分走り負けしないスタミナのある選手と、いろいろである。能力の高い選手を上手に組み合わせるから強いチームができるということで選手の起用、指示、フォーメーションプレーの構想などを最適にまとめあげる能力がリーダーに要求されているということである。
“とんがった人間”とは個性的で異質な人材ということであるが、異質な人材がチームプレーをするからこそ戦いに勝てるわけである。異質は異質だけに融合するのは難しいかもしれない。しかし、異質と異質がぶつかると摩擦だけが拡大し、チームはばらばらになる。そこをうまくまとめリードして異質の刺激しあいの中から新しい発想を引き出したりパワーを拡大させるのがリーダーの役割ということであろう。今回のワールドカップサッカーは本番に向けて見事なチームワークを発揮し、試合を重ねるごとにチームは良くなったという。ベスト8に残れるかどうかの試合では、PK戦で負けてしまったが、はずした選手をだれも責めなかった。彼が責められるなら試合の最中でも、あのゴールが決まっていたら勝てたという場面が何度かあった。そのことは誰もが知っていて、PK戦が敗因とは思っていないわけである。全員がチームプレーに徹した結果がベスト16ということなのである。

人間関係の壁を乗り越える

事業や仕事がうまく行くかどうかのカギは、ほとんど人間関係がうまく行くかどうかにかかっているといってよい。事業も仕事も競争社会では、何の障害もなくスムースに進展するなどということはほとんどない。大きな事業ほど、新しい事業ほどその乗り越える壁は大きいというのが普通である。ましてや、キャッチアップ型経営からフロントランナー型経営の時代とか、ハードやソフトが一体となった複合経営とか、異分野が連携してオープンイノベーションに挑戦しなければならない、といったことになると、異質や異分野、異業種といった文化の違う企業や人間とのコミュニケーションなしに時代を切り開くことはできない。
ある大手外食産業の経営者は、
「長い人生の間には、いやな人間関係には必ずぶつかる。でも、その壁を逃げずに乗り越えると活路が開ける」
と言っている。

最近はインターンネット依存、メール依存、アナログよりもデジタル依存の傾向の中で、コミュニケーション能力が低下しているといわれる。ネットでつぶやく、Webで主張することは出来ても、フェイストゥーフェイスで自由な会話ができない、言いたいことが言えない、会話が成り立たない、ということが多いという。特に、趣味のクラブ、友人知人とはスムースに会話が弾むのに、初めての人、仕事の関係になると社内社外を問わず、十分なコミュニケーションができず、苦手意識が先行し悩む人が増えているという。好き嫌いや楽しい、面倒くさいということが先行し、嫌なことを避けるということでは人間関係はうまくゆかない。

いいパスは走り続ける人のところに

サッカーの話に戻って恐縮だが、最近東京メトロの電車の中でこんな広告を見た。その広告のコピーがとても印象的で頭から離れなかった。それは、
「いいパスは、走り続ける人のところに飛んでくる」
というコピーだった。いやな奴でも走り続けている選手のところには、何度かいいチャンスが訪れ、パスを出したくなってしまう。結局いいチームプレーとなって点に結びつく。お互いに、いいパスをくれた!良く蹴ったな!ということになって、信頼感が増す。いやなことは避ける、嫌な奴とは話さない、話すのは苦手ということでは、人間関係はうまくゆくはずがない。人間関係の壁を乗り越えることなしに活路は開けないのである。相手にいいやつになれと要求する前に、まず、自ら走って走り続けて、いいパスをもらえるようになれば、事業も仕事もうまく行くのではないだろうか。走り続けているとチャンスは巡ってくるのである。

壁を乗り越えるほどに成長する

人間は壁を乗り越えないと成長しないという。壁を乗り越えるには、勇気も能力も必要である。失敗するかもしれないから勇気が必要だし、難しい課題だから高い能力が要求される。この勇気や能力はやる気によって高められ、挑戦し乗り越えたときに人間は大きく成長し、さらなる高みに向かって勇気も能力も高まるのである。最近の経営環境は厳しく、過去に経験したことのない、未知の世界に飛び込み活路を見出さなければならない状況である。

最近お会いする経営者の多くは業績不振の理由をリーマンショックのため、自動車産業の大きな落ち込みのためと、あきらめにも似たことを言う。これでは、目の前に立ちふさがった壁の前に立ちすくむだけでは活路は開かれない。そんな中で自動車の素形材を製造しているある企業はエネルギー関係の成長性に目を付け、リチウムイオン電池の部品作りに取り組み、受注に成功していた。また、自動車のウレタン部品を製造している会社は、専門性を生かして、福祉機器の分野に進出し、取引先の信頼も得て第二の創業に希望の光を見出したという。挑戦型の企業は愚痴よりも、前進するために頭を使うようである。経験に依存することなく、大学の協力で有限要素法による材料評価の手法で顧客の信頼を得る努力をしたり、医科大学での医学的検証によるデータで科学的な実証をしたりと、今までとは違った挑戦だったという。結果として明らかに社員の成長がみられ、社員の成長こそが会社の成長の源泉であると感じ、今、非常に燃えているということである。壁を乗り越えるほどに社員が成長し、企業も成長しているのである。まさに、異分野連携だったり、異質なものに勇気を持って取り込んだ結果である。このような、多田先生の言う異質なものを排除しない寛容の精神を経営で実践している現場を拝見すると、私は中小企業の未来には依然として希望があると思うのである。

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