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新・横浜経済季評

【2010.07】景気・天気・やる気

5月に元気な工場と、元気のない好対照企業を訪問した。

へこたれない創業経営者

元気なチューブパーツ工場

元気な企業は、パイプをいろいろな機能性部品に加工しているチューブパーツメーカーである。ご多分にもれず自動車産業向けが多いため売り上げは落ち込んでいるが、気力は少しも落ちていなかった。この企業の自慢の技術は、チューブ加工技術のかなめである塑性加工技術に優れているということであるが、塑性加工のカギは金型にあり金型技術に優れているということである。金型だけに精密さや金型ライフや複合加工などいろいろな要素があるが、チューブパーツは増肉、減肉、増管、減管、三次元曲げ、テーパー加工など、あらゆる加工に対応するだけに、何といっても図面要求に応える金型アイデア、加工手順アイデア、品質チェックアイデア、穴あけ等二次加工アイデア、品質チェックアイデア、コスト低減アイデア等など加工技術アイデアの塊である。顧客の要求技能、要求品質にしたがって、アッ!オォ・・!と驚くようなアイデアが駆使され想像もつかない加工でチューブパーツ化を実現している。

コストパフォーマンスに優れた生産工場

同社の素晴らしさは金型技術だけではない。コスト低減アイデアが同時並行して走っており、生産ラインはすべて内製で見事な自動化ラインを稼働させているところにも、大きな競争力になっている。

ある自動車部品はセル生産方式に工程を分割して作業者が張り付くと17名で加工することになるという。この生産ラインは1人の作業者で動いていた。経営者は自信をもって、途上国の労働コストが相当安いといっても、17名分を1人で加工し品質も保証できるこの自動化ラインは社員の創意工夫で出来ているものなのでコスト競争力も十分にあると思う、と言っていた。最も安くできるからといってダンピングは絶対にしないという。当社のノウハウを評価してほしいし、客先に対しても十分なメリットを提供させていただいている、というわけである。

無理してまで仕事は取らない

最近も、従来径も肉厚も一部だけ違うため、別工程で作ったものを溶接して製造されていた部品があったが、増管塑性加工技術で製造しサンプルを出したところ、従来からこの部品を造っている工場が20%もの値下げをして仕事を取られまいとしてきたので、さらにその下値を出せないこともなかったが、無理して仕事を取る必要はない。当方の価格は値引きできませんと言って引き下がったという。欲のないことだが、協力工場の秩序まで乱したくなかったということである。しかし、品質においても価格においても圧倒的な競争力をもっているので無理して仕事を取らなくても、いずれは当社に仕事は来るだろう、というわけである。うらやましい限りである。

狙った成長分野に果敢に挑戦

同社は、チューブフォーミング加工は品質保証コスト競争力を持てば必ず成長する技術分野だと目を付け、心血を注いできたという。それだけに、自信を持っているしプライドもあり、何よりもまず社員の挑戦心が旺盛だという。無理だ、難しいといわれるものほど社員は意欲をかきたてられ、創意工夫を積み重ねて経営者も驚くようなものが実現しているという。

最近、この企業のうわさは大手自動車メーカーの上層部にも届くところとなり、会ったこともない筆頭常務が是非工場を見せてほしいと言って視察し、「ものづくりには止まるところを知らないイノベーションの可能性が潜在している」と言って帰ったということである。

二世経営者のひ弱さが弱音の原因か

10年前に父の事業を後継

この企業は業歴は長く半世紀という歴史があり、10年前に創業者の二世が経営を引き継いだがこの不況で元気がない。事業は金属材料関係の中小製造業向け産業機械を生産しているが、設備投資が冷え切ったまま、なかなか回復しないと嘆いていた。もちろん手をこまねいているわけではなく、3年前に新しい省エネタイプの製品開発に着手し、活路を見出そうとしている。

この設備は金属材料の一次加工機械装置であるが省エネというだけでなく品質が向上するとともに設備のメンテナンスがし易くなるため稼動率を向上させることができる。したがってこの新製品にシフトする企業が相当あるものと踏んだわけである。しかし、なかなか売れないため、この苦境をどのようにして切り抜けるか見通しが立たず元気がない。

予想に反して売れない最大の理由は、省エネ効果や品質向上の根拠が第三者に検証されていないということから、大学で実験してもらい、さらに改良を加えて検証データも添えて営業活動しているが、成果は芳しくない。

トップに欠ける営業先頭主義

経営者は何とかして打開したいと営業担当役員に激を飛ばしているが成果には結びつかない。経営者は研究開発好きで、今度の新製品の良さを強調するが営業は担当役員に任せているようで、トップが営業の先頭に立たないのが問題のようである。

中小企業の経営は何と言ってもトップ次第である。ましてや、今やるべき経営課題の先頭に立つのは経営者の役割で、この新製品を売ることがいま最も重要な戦略ということであれば、同社のトップは積極的に客先を訪問して自ら営業の前線に立つことが、今何よりも先にやるべき経営者の行動ではないだろうか。にもかかわらず売れないと言って嘆いているだけでは活路は開けない。

この不況では設備投資は冷えているし無理?

この経営者と話していると、不況という言葉が何度も出てきた。確かに、大企業の業績は回復しはじめ、景気は良くなってきているようであるが、失業率や有効求人倍率などをみると中小企業の景況はまだまだで、不況という状況は理解できる。しかし、営業不振の理由を不況のせいにしても課題は解決しない。思うようにいかないと被害者意識はどうしても出てくるが、被害者意識では課題は解決しない。何としてもこの状況を抜け出すためには、腕組みして考えているのではなく、一歩でも二歩でも前進させる行動こそが必要なのではないだろうか。

景気と天気はどうにもならないが、
やる気は自分の力で何とかなる

「経営の業績に影響する要素は、景気と天気とやる気あるが、景気と天気の二つは私の力ではコントロールできない。」「しかし、やる気は自分自身の問題で何とかできる。」と言ったのは、横浜中華街のある経営者である。

創業経営者は景気や天気に左右される経営を、経営環境が悪いからといってあきらめず、困難な経営を“やる気”で戦い切り抜けてきた人が多いのではないだろうか。その点、二世経営者は経営学等の理屈を勉強している人が多いだけ、行動する前に考えてしまう経営者が多いように思う。

海外資本に買収される歴史的ファッションメーカーもあれば、増収増益決算を続けて世界に雄飛しているカジュアルファッションメーカーもある。

天気に左右される最たる農業にしても、冷夏に対応するために独自の研究実験で土を工夫し、収穫を維持している農家もある。

この工場の事例も、自信を持って創意工夫で戦っている経営者もいれば、不況でどうにもならないと、一歩の前進ができず弱音を吐いている経営者もいる。もちろん創業経営者がやる気があり、二世経営者はやる気がないなどと決めつけるつもりはない。

厳しすぎる書生論だと言われそうだが、社長室で数字を見ているだけでは活路は開かれないと思うのである。

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