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新・横浜経済季評

【2009.12】値引き競争時代の経営

我が国は6人に1人が貧困

厚生労働省は我が国の低所得者の占める割合を示す「貧困率」が2007年は15.7%だったと発表した。政府が貧困率を発表したのは初めてということであるが、その後、リーマンショックや世界同時不況の中で失業率も5.7%と悪化しているので、貧困率はさらに高くなっていることと思う。

かつて、高度成長期は日本人の80%は中流意識にあると言われていただけに、経済大国と言われる我が国の経済はどこか歯車が狂っているのかもしれない。貧困率のデータは可処分所得が114万円以下ということで、OECD加盟30ヵ国の中でメキシコ、トルコ、米国に次いで4番目に高いということも驚きである。母子、父子家庭という単身世帯の貧困率は58%にもなり加盟国中では最も高いということは憂慮すべきことであろう。特に経済大国である米国と日本が6人に1人が貧困状態ということは勝ち組負け組的な発想の問題を指摘しているように思う。

増大する生活保護世帯

貧困率が高いということは生活保護を受けざるを得ない世帯が増えているということで、昨年度は114万世帯となり、この10数年増加の一途で倍増している。このように貧困層が増大した原因は不況のせいとだけでは説明がつかない。要因として考えられるのは、少子高齢化化時代となって15歳以下65歳以上の非労働力人口が40%を超えたことに追い討ちをかけるように完全失業率が6%に迫り雇用情勢が最悪の状況となっていること、非正規雇用が30%を超えているということ、さらに、パート等の雇用が減少して家計の副収入も減少していることなどが重なって可処分所得が減少しているということで、このままでは個人消費の回復は難しく景気回復にも悪影響となっている。

百貨店はとうとう19ヵ月連続前年割れ

このような状況の中で個人消費の動向を表す指標として注目されている全国百貨店の売上高は9月は前年同月比7.8%減の4700億円強で1桁台の減少率とはなったものの、前年割れは19ヵ月連続となっており依然として苦戦が続いている。特に衣料品は相変わらず2桁台の落ち込みが続いているほか、貴金属等の高額商品は16%減という最悪の状況となっている。

もちろん百貨店も手をこまねいている訳ではない。合併等のドラステックな戦略で合理化作戦を展開しているが利益を公表していないそごう・西武を除く大手3社は大幅な減収減益の連結中間決算を先般発表した。目下、決定的な打開策は見いだせない状況だという。

コンビニにも陰りが

落ち込んだのは百貨店だけではない。勢いよく百貨店を追い越してきたコンビニも4ヵ月連続で前年割れとなり9月は前年同月比5.6%の減少となった。大手4社のコンビニエンスストアの連結決算を見ても3社が営業減益となり、消費不信は好調分野にも例外なく出始めているといえよう。コンビニは値引きしない利便性という価値を売っているということであったが安売り商品や低価格商品志向という新しい戦略が動き始めている。

値引きや低価格商品のそろい踏み

消費不振に対応する戦略は低価格戦略しかないかのように激しい低価格競争が始まっている。コンビニの平均500円の弁当は380円に、おにぎりの100円セールスは常態化しているし、百貨店の高級弁当の隣には弁当各社が協力して680円弁当が登場した。中小食品スーパーも負けてなるものかと、「1桁市」と銘打って新鮮なさんまが8円という驚きの価格で登場、手作り弁当は250円、1g1円のマグロやブロックベーコンなどあの手この手の低価格化顧客呼び込み作戦が始まっている。

増収増益決算で独り勝ちのようなF社はG店で990円という圧倒的なジーンズを売り出し注目された。しかし、スーパーのS社は1990円のジーンズを1470円と30%も安くして話題をさらっていたものの、G店の990円に対抗するために850円という価格を打ち出し激しい低価格競争に外野は高みの見物となっている。マスコミでの話題が狙いであるとするならば安い広告費なのかもしれない。そこに、さらに新顔が現れD社からは690円という信じられない価格が登場し、ジーンズ戦争はどこまで続くのか、まさに消耗戦が始まっている。

低価格化は490円フリース、1990円〜4990円のシューズ、8800円で飲み放題かに食べ放題のホテル、海外向けとはいえ100万円を切る低価格車、5万円の輸入ネットブックは大躍進、K大学の新校舎に導入した数百台のPCはすべて韓国の低価格品、更に、1000万円を切る戸建住宅の登場といった具合に、低価格化戦略はあらゆる分野に広がっている。

デフレスパイラルの始まりか

いろいろな商品が安くなることは消費者にとっては歓迎すべきことであり、それぞれの企業努力は評価すべきである。しかし、低価格競争が消耗戦で企業収益を低下させるようだと、心配されるデフレスパイラルとなり、消費不振はさらに加速する心配がある。すなわち、失業率の改善、生活保護世帯の減少、非正規労働者の減少、さらに、株や土地などの資産価値の回復などによって可処分所得が向上しなければ、消費不況は回復しないように思う。結局は景気回復なしに消費不況は回復しないということで、消耗戦の低価格戦略でシェアを向上させ勝つことはあり得ても、生産性向上に見合う低価格化でないかぎり長続きする経営戦略とは言えない。

根拠のある低価格化と付加価値の向上で勝負

U社のフリースは172種もあり色・柄は今までより50%も増やしているという。圧倒的な品揃え商品化戦略が低価格維持の根拠となっている。1000万円を切る戸建て住宅も、耐震性や耐久性を保証しながら、間取りや壁や床などはパソコンでユーザーがチョイスしながら自由設計できるようにし、設計費用や営業費などの間接費を削減することによって低価格化を実現したというわけである。

日本経済新聞社が調査した「中小企業経営者調査」では受注が減少し赤字企業が29%もあるのに一方研究開発費を増やすという企業が31%もあり、何とか価格競争に巻き込まれない付加価値戦略で生き残ろうとしていることがうかがえる。

見え始めた競争の中の「協争」は「連携」がキーワード

コンビニ大手3社は出版大手と組んで共通デザインの書籍販売を10月末から投入するという。また、PCプリンターのK社とE社はトップシェアを争うライバルであるが、プリンターやデジタル製品の共同配送を開始した。物流コストの削減になるだけでなく、CO2削減は25%以上ということで政府の施策にもマッチした作戦を始めている。インターネット通販のA社は他の通販事業者向けに配送代行サービスを始めた。食品以外は何でも配送するということで自社の配送網をライバルにも使用してもらうことにより提供する側も利用する側も競争を超える「連携」をすることによってサービスの向上と低価格化に挑戦しているということである。

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