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熊谷 晃子 氏
インタビュー 2019年12月
地域のニーズと海外のニーズをつなぐ結節点としての役割を果たしていきます。
国際協力機構(JICA)横浜センター長・海外移住資料館館長
熊谷 晃子 氏  
PROFILE
大阪府生まれ。大学在学中に、中国政府の奨学金による留学生として1年半中国で学ぶ。1988年大学を卒業後、JICA(国際協力事業団、当時)へ。中国駐在、青年海外協力隊事務局、東・中央アジア部、南アジア部などを経て、近年は中部国際センター所長、人間開発部部長を歴任。2018年11月より現職。

──●まず国際協力機構( 以下J I C A )についてご紹介ください。

ひと言でいうなら、開発途上国の経済発展を進める協力を行っています。具体的な取り組みとしては、教育や医療など民生の基礎的な社会サービスの整備から発電所や高速鉄道、上下水道などインフラの構築まで幅広く手がけています。またカタチとしては見えにくいのですが、法律などの制度作りもサポートしています。その手段としては、「人」を通した技術協力があり、また資金面での協力があります。さらに青年海外協力隊派遣をはじめとする一般市民、NGO、自治体の草の根的な国際協力の支援も行っています。

──●なるほど、政府開発援助(ODA)の実施機関として幅広い活動を展開されていますが、最近のトピックはありますか。

国の方針として民間企業の海外展開の支援が加速しているなか、JICAでもこの事業に積極的に取り組んでいます。海外ビジネスについてはJETRO(日本貿易振興機構)や中小機構などが担っているイメージがありますが、JICAの場合はその基本姿勢と同様に、開発途上国での経済発展に貢献する分野での支援を受け持っています。たとえば日本の医療機器が相手国の疾病の早期発見・診断につながるといった、素晴らしい技術、製品を持ち込むことで、その国の課題解決に大いに役立つといったケースですね。JICAがJETROや中小機構と一緒に説明会やセミナーを開催することもあり、企業としての検討・準備ステージによってどれをどう活用すれば良いかが明確になりますので、民間企業にとっては選択肢が広がったといえます。

──●JICAを活用する場合のメリットはどのようなことがあげられますか。

私たちは開発途上国への支援を第一に考えていますが、ひとつ典型的なのは、相手国において「会うべき人」にスムーズに会えることです。中小企業で素晴らしい技術や製品をもっていても、国際的な知名度が低い企業は少なくありません。いきなり相手国へ行っても需要側に橋渡しできる人と会うことは簡単ではありません。JICAには長い間、積み上げてきた実績と信頼があります。そこでJICAの採択したプログラムとしていくと先方のハードルがぐっと下がり、事業展開が格段にスムーズに進むでしょう。

──●次に、所長を務めておられる、横浜センターの位置付けと役割を教えてください。

JICAの本部は東京にあり、世界中に100くらいの海外事務所をもち、各国の人々と手をたずさえて事業に取り組んでいます。国内には15の拠点があり、47都道府県をカバーしています。横浜センターは神奈川県と山梨県を担当し、地域のニーズと海外のニーズをつなげる結節点としての機能を果たしています。具体的には5つの分野があります。「研修員受入事業」は、開発途上国の政府関係者等に、日本の技術や知識を共有してもらうため研修を行っています。「開発教育」は、地域の学校の先生や自治体、市民団体の方が開発途上国はじめ世界が抱える問題への理解を深め、解決に向けた行動へつなげるための現場体験、国際協力講座などを開講しています。「移住者・日系人支援、移民研究」は、中南米を中心とした世界の日系社会の成り立ちを理解し、移住先国の国づくりに貢献するためのさまざまな支援事業を行っています。このほか先ほどJICAの事業として紹介した、一般の方々の技術や支援への思いを開発途上国と結び付ける「ボランティア(海外協力隊)派遣」と民間企業の方のグローバル化をサポートする「中小企業海外展開支援」があります。

──●地域に根づいた事業を展開しているのですね。横浜センターならではの事業というのはありますか。

横浜センターだけが行っているものがひとつあります。それは「海外移住資料館」の運営です。日本人の海外移住は150年以上の歴史があり、現在海外で生活する移住者やその子孫の日系人は360万人以上にのぼります。かつて移住事業団や外務省の管轄であった移住斡旋所が横浜にあり、J I C Aがその系譜を受け継いでいるため、この資料館が設けられています。移民の出発地である横浜として、日本の海外移住の歴史や日本人の果たした役割などを伝えていく義務があるということです。

──●海外移住資料館もJICA横浜と同じ建物内にあるのですか。

そうです。私はぜひこの歴史を多くの方に知っていただきたいと思っています。特に今年度始めに入管法の改正があり、外国人就労者の方が、今後さらに増えていく社会になります。その点について色々な議論がありますが、たとえば外国人就労者が増えると治安が心配、というネガティブな意見もあります。私が強く思っているのは、日本という国はついこの間まで、外国に大勢の就労者を送り出していたということです。移住先で治安が悪くなったと言われたでしょうか。残念なのは日本の移住者が各国でどのような役割を果たしたのか、まったく伝わっていないことです。

──●ブラジル移民などが知られていますが、その実態を理解している人は少ないと思います。

中南米では野菜を食べる習慣があまりありませんでしたが、日本人が畑を耕し野菜を栽培して、健康で多様な食文化を広げました。あるいはコーヒー、小麦、大豆などの生産量を増やして輸出力強化にも貢献してきました。日本からすると輸入先の多様化につながっており、現在もその恩恵にあずかっています。このように移民先に新しい文化をもたらした大切な役割があり、どのような歴史を辿ってきたかを知ることで、国際化、共生、文化の多様化というものに対する正しいマインドセットをもつことが重要だと思います。資料館の見学は、修学旅行生や企業の人権教育の一環としても有効だと思いますし、無料で入館いただけます。資料館のテーマは「我ら新世界に参加す」というもので、つまり移民も移住先の国々の開発協力の担い手になっていくという意味です。海外の就労者を迎え入れるうえで、そういう受けとめ方をすべきではないでしょうか。

──●そもそも熊谷所長はなぜJICAに入職されたのですか。

大学のときに日中両政府の奨学金による交換留学生として、中国で学ぶ機会をいただきました。当時の中国は現在とは全く異なっており、世界には色々な国があることを知り、それまでの価値観がひっくり返るようなことも含め、多くのことを学びました。その経験から国際的に役に立てる仕事を志し、特に開発途上国に貢献できる仕事を求めてJICAに入職しました。

──●センター長としてこれからの抱負をお願いします。

どのセンターもそうですが、国内拠点は地域と結びついた活動を展開しています。今後もそうありたいと考えています。たとえば横浜では今年、アフリカ開発会議が開催されましたがJICAではそれに合わせてアフリカに関する展示・イベントを行い、ラグビーワールドカップの開催においてはスポーツ関連の展示やイベントをしました。また先ほど申し上げたように、移民の出発港であった街として、海外から就労者を迎え入れていく流れにおいて、資料館への関心もいっそう高めていきたいと思っています。

独立行政法人国際協力機構JICA横浜にて(9月26日取材)
インタビュアー 福井・中野

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