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小正 和彦 氏
インタビュー 2018年12月
いろいろな企業さんや商業施設があります。それらを巻き込んで、持続可能な社会の担い手となる子供たちを育てていく。
横浜市立みなとみらい本町
小学校 校長
小正 和彦 氏  
PROFILE
1962年生まれ 56歳。1986年横浜国立大学教育学部卒業後、海外生・帰国生へのサポートを行う民間企業に就職。同年よりロンドン駐在。現地駐在員子弟向けの学習塾を運営。1991年帰国。海外進出企業向け駐在員子弟サポートサービス部門に勤務。渡航前・渡航中・帰国後の教育サポートを行う。その後、同社取締役、国際交流関連NPO法人理事長を歴任。2005年4月横浜市で最初の民間人校長として採用され、横浜市青葉区のつつじが丘小学校に着任。2011年4月横浜市神奈川区の幸ケ谷小学校に着任。2013年にユネスコスクール加盟。2017年4月横浜市教育委員会事務局東部学校教育事務所にてみなとみらい本町小学校開設準備担当に。2018年4月みなとみらい本町小学校(現任校)開校。

──●横浜市立小学校の校長先生ということは、お住まいは市内ですか。

はい。世田谷に住んでいたのですが、校長という仕事のご縁を頂いて、妻が横浜出身なのでその実家に。横浜はほんとにいい所です。多様なものをうまく組み合わせて、トータルでパワーをつけて行くところが素晴らしいと思います。市立小学校に、私のような民間出身の人間をコンスタントに入れていくこともそうだと思います。

──●今年の4月に開校した「みなとみらい本町小学校」の校長先生として赴任されました。西区で62年ぶりに新設された小学校ですね。今までのいきさつは?

横浜市で民間人校長の公募がありまして(応募して)、平成17年から青葉区のつつじが丘小学校に着任。その年に入った1年生が卒業するまでやらせて頂いた。(校長経験は)自分のキャリアと思ってスタートしましたが、やってみると面白くて、6年間でやめず、2校目に神奈川区の幸ケ谷小学校に来てここも6年間。その後1年間の開校準備担当を経て、みなとみらい本町小学校に着任しました。

──●元々は先生ではなく、民間人でいらっしゃる。

そうです。今年も民間人校長の採用があり、バックグラウンドはそれぞれです。私は学習塾が母体になっていた会社で、帰国子女・海外子女のサポートをしていました。

──●学校を卒業されてから塾に就職された。

横浜国立大学教育学部に入って、学習塾でアルバイトして、そこが母体の会社に卒業後就職しました。すぐロンドンに赴任し、日本人駐在員のお子さんのためのアフタースクールを開設。帰国後は本社で、海外駐在員のお子さんのサポートをする仕事もしていました。日産自動車さんもクライアントだったので世界中の日産の海外事業所を回りました。42歳まで20年間そうした仕事をしながら、(日本人子弟教育とは逆に)現地で日本語の勉強をしている子たちの支援のためのNPO設立に関わり、海外高校生の日本語スピーチコンテストをやったりしていました。

──●元々教育現場のお仕事であるのは変わらないのですね。

当初は4・5年で会社に戻ることも考えていましたが、つつじが丘小での最後の年に自治会長さんや地域の皆さんに「この6年で、学校もだけれど、街が変わったね」と言われました。学校を開いて外部との連携をやっていく。関わる地域の「街が柔らかくなった」と言われて、これは公立の学校のすごさ、強みだと思って、ハマったのですね。2校目では、学区に歴史のあるまちと海沿いに新しく創られたまちがあり、それを繋げるハブとして学校が機能しました。ここでも5・6年で、街の繋がりや風通しが良くなったと、地域や区役所からも言って頂きました。その後、ここの開校に合わせて教育委員会で準備に入りました。

──●公立の小学校を建てる準備というのはどんな仕事なのでしょう。

私は開校1年前に準備担当となりましたが、用地や学区の問題とかはその3年前から準備が始まっており、地盤や基礎工事は前の年に始まっていました。私は、主に中身、ソフトウエアを1年前から準備に入りました。どんな学校を作るか、カリキュラムをどうするか、人事体制をどうするかなどです。

──●カリキュラムは国が決めた学習指導要領ではないのですか。

学習指導要領は、カリキュラムを編成する際の基準であり、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めたもので、具体的なカリキュラム編成については学校ごとの裁量枠が非常にあるのです。地域性を加味して、学校教育目標を定め、カリキュラムを編成していくのは、校長の裁量なんです。重点テーマをどうするか、たとえば「家庭環境がきびしい家が多いので、生活態度や基礎学力をしっかりつけさせましょう」という所もあれば、私立中学進学率が高い学校などでは、「単に知識を増やすのではなくて、活用する力を子供につけさせるべきだ」など、学校ごとに定められます。幸ケ谷小学校では、昔ながらのまちと新しくできたまちという異なる地域性を一つの方向性に向けて訴求するテーマが必要でした。それが持続可能な開発のための教育Education forSustainable Development(ESD)だったのです。ESDの推進拠点であるユネスコスクールにも加盟しました。みなとみらいに新しい学校を作る時も、単に子供が増えたからではなく、「地域に必要なものは何か」を出すべきで、その思いから作ったのが開校宣言です。「横浜の経済・賑わいの中心である……みなとみらいの資源を活かし、持続可能な社会の担い手を育む」ということをテーマとしています。2015年に国連で、持続可能な開発目標S u s t a i n a b l eDevelopment Goals(SDGs)が全会一致で採択されてから、企業理念的な位置づけにもSDGsを使う会社が増えてきました。みなとみらい地区は、ふつうの地域にあるような商店街や神社やお寺もない代わりに、いろいろな企業さんや商業施設があります。それらを巻き込んで、持続可能な社会の担い手となる子供たちを育てていく。そういう準備をやっていました。

──●では、10年後にはここは閉校ということ?

予定としてはそうです。増えた子供の数が10年後には下がって、もう一度、本町小学校に入れる数になるという前提です。ただ、10年後は分からないですし、学校があるためにみなとみらいの魅力が増えれば、また別の判断もあるのではと思っています。私が『みなとみらいの企業・団体の皆様へのお願い』として記したとおり、全てのクラスがESD/SDGsにつながる活動に取り組んでいるので、それに企業さんがお持ちのコンテンツを通してご協力頂ければと思います。さらにそれ以上に、オープンイノベーションのような形で、学校の様々な教育活動を通して企業さんが子供と関わる事によって気づいたものを、自分たちのビジネスに生かしてもらう。そうなっていくと、みなとみらいに学校があるという意味も変わってきて、結果としてこの学校が持続していくといいなあと思っているところです。

──●よその地域ではやれないことかもしれませんね。企業人も横のつながりを通じて何かできるという意識を持ちやすい土地柄なのでしょうね。今日で開校半年ですが、この半年間のトピックスというか、思い出は。

この街だからこそのいろいろな企業さんがあって、半年でもう、どのクラスもいろいろな企業さんとコンタクトを取って活動しています。企業さんとご一緒する中で、自分たちの課題解決学習を進めていくという総合的な学習が、私が想定していた以上の速度で進んだと、内心驚いています。子供たちは自分たちの活動を、教員でも親でもない、企業や団体、NPOの方々に評価されたり、「街のために良い活動だよね」とか価値付けされるわけです。自己有用感にもつながるし、そもそも何のために学ぶかを実感するとてもいい機会になっている。教職員も、新設校は大変です。学校は、運動会でも前年度がベースにあって、それを今年度はどう改善していくかなのですが、それが無い。一からすべて作り上げるので、相当大変だと思うのですが、ESDやSDGsを柱にみんなでやっていこうと前向きなのでとても良い雰囲気になっていると思っています。

──●PTAの方との気持ちの持ち合いというのにも何か工夫してらっしゃるのですか。

どこの学校でもPTAに負担感を感じておられるご家庭も多くて、今回、私から提案したのは、とにかくミニマムに、本当に子供たちのために必要な事だけにして、必要になったら付加していきましょうということです。何々委員会というのは全部やめて、保護者の代表としての本部役員と、子供の安全を守る校外委員会の二つしかありません。もう一つ、地域学校協働本部といわれる活動で、保護者の方も企業の方も、気安く学校をサポートするようなボランティアネットワークを広げましょうと、やっているところです。

──●そういう中から、社会と在校生との関わりも出てくるのでしょうね。

そうです。これもトピックとも言えますが、今年うちの娘が社会人になって、それが自分の人生の一つの区切りだったと感じています。学生の時までは、保護者として見守る。それが対等な社会人となったという意識です。就職して、自分のことだけでなく、いろんな人にお世話になっていることに感謝の気持ちを持って仕事に取り組んでいる。そういう社会人になってくれたことがすごくうれしくて。同じように、今この小学校に来ている子供たちにも、いろいろな方と関わる中で、自分の良さを持ちながら自分の道を切り開いていけるような力をつけてもらいたい。自分の娘が社会人になったことを通して、この職の責任や良さ、いろんな事を感じる今年だなあと思っています。

横浜市立みなとみらい本町小学校 校長室にて(10月1日取材)
インタビュアー 福井・中野

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