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横浜 聡子 氏
インタビュー 2016年12月
映画でなければできないことを考える。映像で見せる面白さ、スクリーンを見ることの楽しさ。
映画監督
横浜 聡子 氏  
PROFILE
1978年、青森県生まれ。2002年に映画美学校で学ぶ 。卒業制作の短編『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』が2006年CO2オープンコンペ部門最優秀賞受賞。その助成金をもとに長編1作目となる『ジャーマン+雨』を自主制作。同作は自主制作映画としては異例の全国劇場公開となり、2007年度日本映画監督協会新人賞を受賞。2008年『ウルトラミラクルラブストーリー 』( 出演:松山ケンイチ、麻生久美子)を監督。松山ケンイチが第64回毎日映画コンクール男優主演賞したほか、トロント国際映画祭他、多くの海外映画祭にて上映される。 2016年『俳優 亀岡拓次』(安田顕、麻生久美子)が公開。

──映画学校卒業後の2005年に監督として撮られた『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』で、自主映画の映画祭「シネアスト・オーガニゼーション大阪」のオープンコンペ部門最優秀賞を受賞されましたが、自主映画は、撮影しても必ず映画館で公開されるわけではないのですよね。

はい。選ばれて賞を頂きましたが、公開されていないです。受賞の助成金で次に『ジャーマン+雨』を撮ったんです(同シネアスト大阪市長賞。日本映画監督協会新人賞)。たまたま審査員の方が配給すると言って下さって、運良く劇場公開できました。

──『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』の制作費用は?

映画学校が出しました。卒業制作は、脚本を提出して選ばれた者だけが撮れるのですが、私のが選ばれたんです。舞台が青森なので、15人くらいで撮影に行って、一軒家に合宿して雑魚寝。毎日みんなでご飯作って。なるべくお金がかからないように。生徒たちはみんな仕事しているので、映画を撮る期間は辞めたり休んだり、働けないのでお金がなくなっちゃう。私も若いときは本当に貧乏。昔は松竹とか日活で会社員として監督や助監督を雇っていて、月給が払われていたんです。でもその撮影所のシステムがなくなってしまって、映画を作りたい者は自分でやるしかない。映画監督はフリーか、制作会社に所属するかですかね。

──そもそもは青森のご出身で、映画制作のためでなく、横浜市立大学に入られたのでこちらに?

はい、大学受験の時、初めて来ました。心理学や社会学、人間について学ぶ学科に興味を持って、他の大学になかったので受験しました。私、名前は「横浜」なんですけど、横浜にいたのは大学の時だけなんです(笑)。

──「横浜さん」というのは珍しい御名字ですね。

地元の青森県ではちらほらあります。地名で横浜町というのがあって。出身は青森市内です。今は地方はどこもそうですけど、地元の人は大型ショッピングモールに買い物に行くようになって、駅前は人が随分少なくなりました。

──大学卒業後、一度就職されてから、改めて映画の道に入られたのですね。

はい、映像制作会社とか受からなくて、とりあえず就職しなくてはと、普通の会社に1年。(退職後)映画美学校のフィクションコースに、映画ってどうやって作るか知りたくて入学しました。映画を見るのは好きで、いずれ映像を作りたいという漠然とした思いはあったんですが、監督になりたいとか、明確な目標はなかったです。何事も辞めることより続けていくことの方が難しいと思います。私はたった1年で辞めてしまって「ダメだなあ、申し訳ない」というのはありましたけど、やりたいことをやろうと思って。

──2009年に、故郷の青森を舞台にして、松山ケンイチ主演の長編『ウルトラミラクルラブストーリー』を撮られました。セリフが津軽弁で、最初、何を言っているかわからなかった(笑)。エンディングでは結論めいたものは受け取れなかったんですが、表現をしたいのは?

私の作る映画は起承転結がはっきりしているわけではないので、お客様は「何が言いたかったんだろう?」と思う方もいるでしょうけど、見た人がどう感じるか、余白は残しておきたいというのは、作っているときにいつもあります。人間とはこういうものだというのは、一人一人違うわけです。「人間とはなんぞや」と昔の人は考えて、現代人も「何のために生きているんだろう」とか(考える)。そういうことは人間にとって永遠の疑問なわけじゃないですか。そこに、はっきりした答えはないわけですから。

──鑑賞する側はどう受け取ってもいいので、結論めいたものは千差万別であるという発想ですか。

見る人に強制はできないので、結果的にはそうなってしまう。「こういうことが言いたいんです」というのがはっきりわかっているんだったら、映画じゃなくてもいいかな。言ってしまえば演説したほうが早いと思います。映画でなければできないことを考える。映像で見せる面白さ、スクリーンを見ることの楽しさ。映画って、見る方の歩んできた人生とかその時のコンディションとかによって、受け取り方が全然違うじゃないですか。こちらが意図したことと全く違うことを思われても仕方がないという、いい意味でのあきらめは常にあるんです。受け取り方は自由であっていい。「この映画はこう見なくてはだめ」というふうには作っていない、ということなんです。

──横浜監督ご自身が今まで見たなかで「いいな」と思った映画は?

昔の映画で「いいな」と思ったのはあるんですけど、最近の映画は……そんなに語ることはないかな(笑)。ハリウッド映画よりフランス映画が好きというのがありまして。ハリウッド映画は脚本の段階からある程度決まっている。ここでお客さんの気を引いて、事件を起こして、展開して、という構造が分解できると思うんです。フランス映画はそれができない。答えがはっきりしていない、もやぁっとした終わり方。映画というメディアは、時代劇やアクションなどジャンルに属するものもあれば、ジャンル分けできないフランス映画とか、私が作る映画とか、いろんな幅があったほうがいいと思う。

──撮影するときは物語の時系列どおりでなく、今年公開された『俳優 亀岡拓次』でも、砂漠とか居酒屋のシーンとか、別々に撮って後で編集しているのでしょうか。

はい、天気とかスケジュールの都合で。滅多にないですけどいきなりラストシーンを撮ることもあるかもしれません。順番はバラバラです。

──監督の頭の中では全体が既に出来上がっている。

いえいえ、撮るときに考えながらやっています。お話に関しては原作通りに(戌井昭人氏の同名小説)、俳優の亀岡拓次があちこちの地方に行って撮影する。いろんな映画が1本の映画に入り込んでいるようでしたね。

──主役の安田顕さんがはまり役ですが、山努さん、三田佳子さんなど配役は豪華ですね。キャスティングは人脈をたどってなさるのですか。

山努さんに人脈は持ってないので(笑)。プロデューサーと相談して、キャスティング事務所の方からお願いする形です。

──作品にしたい原作をいつも探していらっしゃる?

原作物のほうが企画が通りやすいというのもあって。単にストーリーが面白いというだけでなくて、「映像化したら面白そうだな」と頭に描きながら読んだりします。亀岡拓次がバイクに乗って行くシーンも、スクリーンプロセスという撮影技法を使って(背景を)はめ込みでやったんです。そういう、映像化する上での面白い変換方法が浮かぶ小説に興味があります。

──映画以外の、日ごろは何をされていますか。

映画のことを考えているとき以外は……何してるんですかね(笑)。本は読みます。物を作るのが好きで、津軽のこぎん刺しという刺繍をチクチク縫ったり、木工で本棚作るとか、手作業が好きなんです。基本的にインドア派なんで、あまり外に出ないです。皆さん、何してるんでしょうね(笑)。

──スポーツとか、旅行とか。旅行といえば地元には時々帰られますか。

仕事で帰るときくらい。あまり長く滞在しないので、いまだに青森のことはよく知らない。地元のことって案外知らなかったりするじゃないですか。有名な味噌カレー牛乳ラーメン?食べましたけど、(味を)全部混ぜ込まなくても(笑)。

──映画を作るのは、見るより面白いでしょうか。

作っているときは辛くて、死にたくなるくらいなんです。でも、もう1回作りたくなる。監督に限らず、スタッフみんなそうらしい。映画作りって、非日常なんです。朝6時に集まって、セットに入って、俳優に演技してもらって、NGかOKか。日常ではやらないことばかり、みんなで朝から夜遅くまで延々とやっている。例えば医者とか、ライフラインを維持する仕事とかと違って、「映画を作らなければ誰かがとても困る」というものではないし、人々の生活には直接的には役に立たないし影響もしない。地方で撮影をずっとしていて、終わって東京に戻ったとたんに、竜宮城でファンタジーの世界を見ていて、突然現実に戻ってしまった浦島太郎のような、タイムワープしたような感覚にいつも陥るんです。それくらい、映画作りは日常生活とかけ離れている。それが、やめられない理由の一つかと思うんです。

──これからも、ご活躍を期待しています。「役に立たない」ことはなくて、見る人によってそれぞれの感銘を受けると思います。

そのためにやっているという感じですね。ありがとうございました。

小竹向原 喫茶アカシアにて(10月4日取材)
インタビュアー 植草・中野

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