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綿引 万里子
インタビュー 2014年12月
こんなに精神的に自由でいられる仕事はないと感じて、裁判官の道に進みました。
横浜家庭裁判所長
綿引 万里子
PROFILE
昭和30年生まれ。
昭和52年 司法試験合格。平成13年4月 東京地方裁判所部総括判事。平成17年3月 司法研修所教官。平成18年10月 東京高等裁判所判事。平成21年3月 最高裁判所上席調査官。平成24年3月 宇都宮地方裁判所長。平成26年7月 横浜家庭裁判所長

──横浜家庭裁判所所長に7月にご就任されました。今日はよろしくお願いします。

はい、家庭裁判所は地元密着でありたいですから、法人会の皆様ともお顔見知りになる機会をいただきありがとうございます。よろしくお願いします。

──早速ですが、司法の道に進まれたのはどういうお気持ちから?

年齢がわかってしまいますが(笑)、私が大学を卒業した頃は(女性が)仕事を続けていくためには、医師などの国家資格を得るのがいいと思ったのです。でも、理系がからきしダメで(笑)、司法試験を受けることに。もうひとつ、その頃コインロッカーへの嬰児死体遺棄の事件が報道されて、母親を追い込んでいる父親がいる、弱い立場の女性の権利保護の活動がしたいという思いがあったのです。
 それなのになぜ弁護士ではなくて裁判官になったのか。皆さん意外に思われるかもしれませんが、(法曹の中で)こんなに精神的に自由でいられる仕事はないと感じて、裁判官の道に進みました。弁護士は依頼者の利益に沿った活動をしなくてはなりません。検察庁は組織として、起訴するにも不起訴にするにも上司の許可が必要です。裁判官は、ただ法と自分の良心だけに従って、自由に考えられる。

──しかし、自由というのは大変ですよね。

そうですね、自分がしっかり考えを持っていなくてはいけないですし、独断になってはいけない。今、社会で起こっていることに常にアンテナを張り巡らしていなければ

──検察官が主人公のテレビドラマ「HERO」は見ましたが(笑)、裁判所は我々にとってあまり身近ではなくて。どういう構成なのですか。

「HERO」で検察官の希望者が増えるとか(笑)。日本は三審制で、大雑把に申し上げれば、一審は地方裁判所ルートと、家庭裁判所ルートがあります。二審は高等裁判所、三審は最高裁判所。
 地方裁判所は、刑事事件と民事事件を担当します。民事事件は、本当に幅広くて、家賃を払わないので出て行ってくれないかとか、交通事故などの損害賠償。ほかに、選挙訴訟(選挙の効力に異議を唱える)とかもお聞きになったことがあると思います。この頃よく言われる、特許とか著作権とかの知的財産の紛争もあります。

──我々の生活に身近と言えますね。

ええ。一方、私が今やっております家庭裁判所では、少年事件と家事事件を担当。少年事件は、少年の非行があったとされるとき、それが事実かということと、それが事実であったときに、その少年を更生させるための処分を決めていく。

──世の中の風潮で変わってくると思うのですが、マニュアル化した解決方法というのはあるのでしょうか。

少年事件では難しいですねえ。家庭環境も違いますし、資質も違います。この子を立ち直らせるためには何が良いかを判断しなくてはならないので、刑事事件とは違う難しさがあります。残念ながら再犯率がなかなか下がらないので、どうしたらいいか考えています。

──家事事件というのは、離婚とか、遺産分割でしょうか。

それ以外にも、夫婦が別居したとき、子どもの養育費用を払ってほしいとか、親権者とならなかった側が子どもと面会する方法を定めるなど、やはり幅広いんです。調停をして、解決できなければ審判するものもあります。

──審判というのは裁判とは違うんですか。

審判も裁判ですが、法壇で法服を着た裁判官が行うのではなくて、公開の法廷ではない所で裁判をします。中でも最近は、認知症などで判断力が落ちた高齢者等を保護するために、後見人を選んで下さいと裁判所に申立てがされる、後見事件の審判が、家庭裁判所の課題となっています。後見人が被後見人の財産を使い込む事件も時々起きていて、どう監督していくかも家庭裁判所の守備範囲に入ってきます。あと、人事訴訟。これは公開の法廷で行う裁判で、離婚の判決や親子関係に関する判決などを行います。

──後見事件は高齢社会を迎えて年々増えていきますね。

はい、現在横浜管内で後見人等を付けている事件が1 万4,0 0 0 件くらいあって、お亡くなりになるまで続きます。申立ては、毎年2,800件を超えています。

──横浜では一日どれくらい裁判がされているのですか。

家裁は調停が多くて、調停室が40弱、それでも足りないのです。月曜から金曜までフル稼働。家庭裁判所の調停は、裁判官と民間の有識者から任命される調停委員とで調停委員会を構成し、一緒に解決を見つけていくすばらしい制度です。調停委員が当事者の言い分をよく聴き取って下さった上で、裁判官と評議をします。いくつかの調停が並行して行われているので、裁判官は「あの部屋で評議です」と言われてはタタタッと走り回っています(笑)。

この機会にお願いしたいのは、調停委員として協力して下さる方が皆様の周囲におられましたら、ぜひ志望して頂けたらと思います。

──調停委員になるには資格はいらないんですか?

はい。企業をリタイアされた後の方も多いんですよ。遺産分割などでは、弁護士の方も入りますが、「この人たちはなぜもめているのか」、「適切な解決方法は何なのか」を良識を持って判断して頂ける方であれば資格はいらないんです。本庁では専門職(弁護士等)の方が42人、専門職以外の方が153人です。法律の知識については研修制度を組み立てています。(調停制度は)歴史も長く、一昨年90周年を迎えました。守秘義務もありますし、大変な仕事のわりに収入が(笑)。半分ボランティアということで、調停委員の皆様方には頭が下がる思いです。

──一般の人が調停委員になれるとは知りませんでした。僕が誘われたことがないのは性格ゆえ?(笑)。年齢的には?

任命のときに40歳以上70歳未満です。採用時には、なるべく65歳くらいを上限にと考えています。40歳くらいの方はばりばり(仕事を)やってらっしゃるのでなかなかなって頂けない。

──周囲の70歳の方は元気な方が多いです。周囲にお声がけしてみましょう。裁判所長のお仕事は裁判官とはどう違いますか。

日によって(やることが)全然違うんです。人事面のこととか、庁舎が狭いので改築できないかとか、いろいろなことをやっています。裁判所長は裁判官でもあり、特に家裁の所長はプレイングマネージャーと言われます。自分もプレイをしないと実態がわかってこないので。でも、少しでも事件をやれるというのは、裁判官魂に火がついて(笑)。少年を目の前にすると何とか更生してもらいたいと熱くなってしまいます。昔とはずいぶん変わって、今、シンナー吸う子は少ないんですよ。その一方、発達障害とかを抱えているお子さんが多いと感じます。

──そのお忙しい毎日をリフレッシュするのは?チェロとバレエもされるとか。

若い頃のことです。チェロは息子が弾くようになったので楽器をあげてしまって、聴く方に。バレエは小さいときからやっていて、司法試験を受ける直前までバレエ教室で教えたりしてたんです。

──では、もしかするとバレエの道に行かれてたかも…。

いえいえ、才能が(笑)。いま、休日はときどき、超へたテニス(笑)。趣味と言うのもはばかられる(笑)。それと、料理が好きなんです。会合があって家で食事できない日も多いですが、家では必ず作ります。 あと、(前任地の)栃木に行ってからは、秘湯がいかに良いかを知ってしまいまして(笑)。崖から温泉が流れ込んで川になっているのをせき止めて、何段かの露天風呂になっているとか。そういうのが転勤の楽しみでもありますよね。

──ご趣味は多岐にわたりますねえ。家裁に私たちが相談できる所はありますか。

家庭裁判所の手続を利用しやすいものとするために、家事手続案内を行っています。家庭内や親族間における問題を解決するために家庭裁判所の手続を利用できるかどうか、利用できる場合にはどのような申立てをすればよいかなどについてご案内しています。窓口は家裁の1階にあります。予約はいりません。銀行と同じように(笑)札を引いていただいて。

──最後に、これからの家庭裁判所からメッセージがありましたら。

まず後見制度については、制度設計したときにはこんなにいっぱい事件が来ると思っていなかったところもあるので、運用の仕方を考え直す時期に来ていると考えています。次に調停制度については、法的に合理性を持った解決を実現できるような調停運営を目指したいと考えています。調停委員の方と一緒にやっていくということでも、民間の方に大いにご協力をお願いしたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

横浜家庭裁判所にて(9月10日取材)
インタビュアー 植草・松川・中野

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