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佐々木 卓也
インタビュー 2012年10月
何かあってもフォローし合える関係ができていたので、とても心落ち着いて本番を迎えられた。それが一番の強みだと思います。
株式会社ポンパドウル 企画部製品開発課主任
佐々木 卓也
PROFILE
1970年生まれ
出身地:神奈川県横浜市
最終学歴:1993年 専修大学経済学部卒業
ポンパドウル入社年:1993年4月1日 製造課店舗配属
職務内容:現在はポンパドウル製品開発課勤務 パンの新商品開発などの業務に従事

──今年3月にパリの世界大会で優勝されたのは、クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・ブーランジュリー……?(笑)。ベーカリーのワールドカップということでしょうか。

そうです。世界各国の代表が、パンの味や香り、見た目の芸術性などを競います。1992年に発足した大会で、今は4年に1回開催されます。ボクたち3人は、3年前に日本代表として選ばれ、1年前のアジア予選では韓国と日本の2カ国が選ばれて、今年、決勝のフランス本戦に行ったわけです。

──今回一緒に戦った日本人3人は、もともとチームだったわけではないのですね。

(日本代表選出の)それぞれの部門優勝者で、それまで全く知らなかった人とチームを組みます。バゲットなどのシンプルなパンの部門と、ヴィエノワズリーという甘いパンの部門と、飾りパンの3部門があります。ボクはヴィエノワズリーの部門。
 大会では、8時間以内に、おのおの自分の担当のパンを作るのですが、シンプルなパン部門ではバゲット80本などすごい量を7種類作る。なので、パン焼き窯がパンで埋まってしまい、それを交互に7種類焼かないといけない。甘いパンは焼き時間が若干短いので、その間に入れていく。発酵もそれに合わせていく。作業がぶつからないように、あうんの呼吸のやり取りですね。

──それはチームワークがものを言いますね。

ええ、当社の研修センターにはパンを作る工房と宿泊施設があります。そこで合宿して、3人で寝食を共にして練習できたので、連携が取れました。

──同じ釜のメシではなくてパンを食べて(笑)。日本は10年ぶりの優勝ということですが、今回の勝因は何かありますか?

あります。たまたま3人とも神奈川県内で働いているので、すぐ集まれました。日本代表を選ぶ選考会では、日本全国から選手が応募しますので、(今までは)各部門の優勝者が練習のために集まるのが大変でした。ボクらは歴代の代表に比べたら圧倒的に練習量が多いんですよ。何かあってもフォローし合える関係ができていたので、とても心落ち着いて本番を迎えられた。それが一番の強みだと思います。

──本戦の会場はどんな所なんですか。

製菓製パンの展示会場内にあるイベントスペースにパン工房が4ブース作ってあります。ブースはくじ引きで決めますし、機械や、基本的な水や粉、塩は用意されたものを使わなくてはいけない。粉は実際にこねてみないとわからないので、そこが一番難しいところです。ボクらは参加12カ国のうち最終日のチームだったので、パン焼き窯の温度が上がらないなどのトラブルが前日まで出てしまっていて(笑)。前のチームの様子も見られますし、比較的やりやすかったです。

──戦略が立てられた?

そうです。作業時間は8時間なんですが、他国チームはだいたいオーバーしてしまいます。ボクたちは連携が取れていたので時間内に収めて、その評価ポイントも大きかったと思います。段取りで8 割くらいが決まっていくので、時間をどれだけ有効に使えるかです。

──審査は、時間と味と見た目?

 味が半分くらい、あと見た目、食べた時の口溶け、食感、香り。本当はライ麦パンなどは1日おいたほうがいいんですが。でも、どの国も条件は一緒ですから。終わったチームから、20分間でプレゼンテーションと審査があります。一番意識したのは時間内に絶対終わらせようということ。練習の時点で、7時間20分くらいでできるようにしておかないと。フランスでは何があるかわからない。

──練習でも8時間ぶっ通しは疲れますね。

もう、へろへろになります(笑)。途中、トイレも食事もなし、水を飲むくらいです。隙間がないように工程が詰まってますので。1月から毎週、研修センターに泊まり込みトレーニングを行いました。実際の大会は朝5時スタートですから、現地を想定して朝3時くらいに起きてました。

──本戦には観客もいるのですか。

います、日本から応援団が来てくれて。がんがんに声を出して(笑)、楽しく、盛り上げてくれました。

──各国が集う大会では、文化の違いとか感じられましたか。

日本人はほんとに几帳面ですね。スキがない。他国は「ちょっと焼きすぎじゃないの?」というのも平気で出してきます(笑)。お祭だからみんなで集まって楽しくやろう、という感じ。日本、アジア勢、フランスはきちっと作ってきますね。日本人のパン屋さんの技術レベルは高いですね。このクープ・デュ・モンドは、食品材料メーカーの展示会Europain(ユーロパン)でのイベントとして開催されています。見本市ですね。什器や道具などを展示、お客様に説明して、買い付けに来た方と契約したり。(新製品が見られるので)勉強にもなります。

──もともとパンがお好きでこのお仕事につかれたのですか。

職人が好きなんです。手で作っていく、自分で作り上げていくのが好きなんです。やっていると夢中になれる。高校生の時はインテリアデザイナーになりたかった。大学の時は将来のことは全然考えてなくて(笑)。就職案内にパン製造・販売の「株式会社ポンパドウル」があったので、そこからパン人生が始まったんです。子供の頃、母がずっと家でパンを作ってくれていて、その美味しさ、香りが心に残っていたんでしょうね。

──ベーカリーには、パンの専門学校で勉強された方が多いのかと思いました。

専門学校を卒業したから伸びるかというとそうとも言えない。精神力の問題もあります。ボクは全く素人で入って、生地をこねろと言われてもわからないわけです。先輩に怒られたり、焼き色が違うとか、指導があって。勤務は早番・遅番もありますし。

──パン屋さんは朝早いですよね。

フランスパンは仕込み始めから焼き上がりまでに6時間かかります。9時に店がオープンするのなら、3時には粉から生地を仕込まなくてはいけない、2時には起きて家を出ていないと。日に当たらないから真っ白(笑)。

──色白な方だと思ってました(笑)。

でも、仕事は楽しくやってますよ(笑)。パン作りは、まず粉や材料をはかって生地をこねる〈仕込み〉、それから〈成形〉、〈焼く〉。入社したら〈成形〉でだいたい製品を覚えて、その後が〈仕込み〉。生地を作る仕事が一番重要です。パン生地はとてもシンプルで、基本は粉、水、塩、イーストで出来てます。ここで「粉に水を足したらなぜ生地になるんだろう?面白いな」と思う人は夢中になってしまう。そういう人が(辞めずに)残っていく。その日の温度や湿度を見ながら、ちょっとこね上げ温度が上がったら修正して、ぶれたらまた、自分の技術と知識で修正していく。それが深くて面白いです。形を作る時も、力の入れ具合や、中に含んでいるガスの抜き方とか、生地の締め方一つでも焼き上がりが違ってくるので。勉強には終わりがない仕事だと思いますね。
 できたフランスパンが、パチパチッと音を立てながら香ばしい匂いが立って焼き上がると、最高です。パン屋さんが目指す究極は、「おいしいフランスパンを焼きたい」。

──パンがパチパチ音を立てるんですか?

フランスパンを窯から出した後、パンが冷えてくると、少し収縮する。周りの皮はパリッと焼けているので、ひび割れが起きて、パチパチッと音がするんです。ひびが入らないこともありますが。皮が薄いとパリパリッと割れる。薄いのは食べやすいということで、おいしいポイントだと思います。

──それでフランスパンにはちょっとひびが入っているのが多いんですね。最高のパンってどういうのでしょう。

フランスのパンはさくっと歯が入るんですよ。口の中でほろほろっと溶けてゆく。そういうものが作れたらいいです。日本は気候や粉も違いますし。じめじめしていると湿気を吸ってパリパリ感がなくなってしまいます。結構難しいです。

──毎月新しいパンをお店に出されていますね。

今は大会で出した7品のうち、クロワッサンを含め4品を出しています。

──この「T‐クロワッサン」というTの意味は?

TAKUYA、ボクの名前です(笑)。優勝したのは子供にもいいことだったと思いますが、上が小学校1年で、3人目はまだ1歳。(優勝で)忙しくなって、あまり遊ぶ時間がないんです。

──佐々木さんのお気に入りの食べ方を教えてください。

ボクが好きなのはシンプルに、バゲットを切って、軽くトーストして、バターをたっぷり。これが最高だと思います。チーズとかもあればいいですね。

──フランスパン、食べたくなりましたね。ますますのご活躍を期待します。

(株)ポンパドウルにて(7月25日取材)
インタビュアー 植草・笹部

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