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吉田 博彦 氏
インタビュー 2008年4月
画一的な教育で豊かさを持続できるかとなると、これに成功した国はない。
NPO教育支援協会 代表理事 吉田 博彦
PROFILE
1952年大阪府枚方市生まれ。1975年早稲田大学法学部卒業後、横浜で学習塾事業を立ち上げる。1996年まで経営に当たり、その後97年教育支援協会の設立に参画。99年、教育分野で最初にNPOとして経済企画庁(当時)の認証を受け全国組織の特定非営利活動法人教育支援協会代表理事に就任。民間からの教育改革を提唱し、文部科学省や教育委員会との協力によって、全国でさまざまな教育事業をおこし、地域教育力の育成を行っている。役職及び主な公職 * 特定非営利活動法人(NPO)教育支援協会 代表理事〔1999年〜現在〕 * 社団法人全国公民館連合会基本構想委員 〔2002年〜現在〕 * 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部専門委員〔2004年〜現在〕 * 文部科学省学習意欲向上方策研究 委員 〔2004年〜現在〕。主な論文及び著作【共同著作を含む】 *「子どもの思考力育成とマルチメディア学習環境」(明治図書:1986) *「マルチメディア活用の方法と実践」(明治図書:1987) *「チャータースクールと市民参加」(月刊社会教育:1999) *「公・民連携による教育への道―1+1を3にする」(季刊フューチャープラン:2001) *「どうする小学校英語」(アルク:2004) *「市民参加による新たなる公営」(月刊公民館:2004) *「関心・意欲の低下をめぐって」(文部科学時報:2004) *「義務教育改革」(教育開発研究所:2006)

──教育に携わってこられた吉田さんから社会に対するメッセージは?

子どもに道徳心がないといいますが、それは大人の問題ではありませんかね。企業を経営している方はわかると思いますが、「いま投資して明日儲かる、濡れ手に粟みたいな商売は長く続かへんで」ってことぐらいわかっていいと思うのですがね。経営者の多くがすぐに儲かることに走るようになったのは、おそらくバブルの時に、金を投資して儲けると、物を作っている会社より儲かることを経験したからでしょ。「地道に仕事をして、社会に貢献して、そのおかげで利益をいただく」という気持ちがなくなってしまった。まあ、50歳とかになっているこの人たちを教育してもあかんでしょ(笑)。子どもを変えるのは、大変だけどできないことではない。

──種をまいたら、すぐ花が咲かないとイヤという社会風潮ですね。

教育でも、その傾向が強くて、ちょっと前に「詰め込みからゆとりへ」といっていたと思ったら、「学力低下だ」と言ってすぐに方針を変えてしまう。フィンランドが世界で学力がトップになったと言いますね。フィンランドはソ連が崩壊して、ソ連にくっついてれば生きていける時代が終わって、自分で考える子どもたちを作る教育をしなくてはいけないと、教育改革を始めて、15年たってやっとうまく行くようになってきた。初めからうまく行くなんてたいした教育じゃない。10年くらい我慢して、できるようになっていくんです。

──種をまいて、我慢して水をやって育てることをしないといけないということですよね。ところで、NPO教育支援協会ではどんな活動をされているのですか。

全国に22の支部がありますが、横浜ではこの施設の運営を中心に子どもたちの教育活動を進めています。ここはもと市大病院だったんですけど、今は南区の施設「フリースペースみなみ」と言って、午前中は不登校の子を無料で引き受けてます。民間のフリースクールに不登校生が通うと年間100万から200万円かかりますからね。午後は放課後の子どもの居場所活動をして、夜は「公設の学習塾」をやってます。その学習塾の部門などで稼いだお金で不登校の子どもたちの支援活動をしています。市と民間との連携が始まって、「横浜の教育を手伝いますよ」と言って、ここを引き受けたのが4年前かな。

──放課後の子どもの居場所活動というのは?

子どもたちが放課後に自由にいる居場所を作る。横浜市も「放課後キッズ」、「はまっ子スクール」をやっていますね。僕らはその居場所に学習活動も開設して、「おもしろサイエンス」という理科実験の活動や「放課後イングリッシュ」って英語でゲームやったりする活動もやっています。単なる居場所だと親は預けないのですが、親は、子どもが勉強するの大好きだから預けてくれる。自分がするのは嫌いなくせしてね(笑)。パイロットの方とかが英語のボランティアに来てくれたり、宿題をやるプログラムとか、この活動をアフタースクールと言ってます。

──吉田さんは以前に学習塾を経営されていたときから、こういう活動を考えていられたのですか。

学習塾をやっていたときも、キャンプとかやっていて、その時から教育に対する考え方は変わっていません。ただ、学習塾は株式会社ですから限界はある。NPOの良さは、行政との連携などで安い費用でいい教育が提供できることなんです。

僕は大学時代から横浜に住んで、学習塾を始めたのですが、その時はわっと生徒が集まりました。公立高校に行くのが大変だった時期で、親が(公立校に受かるように)塾に預ける。そのうちみんな公立行くようになって塾の意味が変わってきた。中間テスト対策とか、テストで点取れればOKみたいなことになっていった。「それって子どものためになるのか?」って疑問に思って、学習塾の経営から離れました。そうした中で、1998年にNPO法案ができて、すぐにNPOの申請をしたんです。だから日本で最初にできた教育関係の全国組織のNPOです。私は横浜を担当しているんです。

今の教育で良くないと思うのは、「早寝、早起き、そして朝ご飯を食べると学力が上がるからやりましょう」と言うでしょ。じゃ、学力が上がらなければ遅寝、遅起き、朝ご飯抜きでいいの?健全で健康な社会を作るために必要なので、学力が上がるからやるというのは変ですよね。だいたい、こんなことは学校教育でやることなのでしょうかね。「三丁目の夕日」の時代にみんなあこがれるけど、そのころ学校がしっかりしていたかというと、全然(笑)。しっかりしていたのは地域社会の人間関係や家庭の絆です。

──ゆとり教育で学力が低下したと右往左往している。体力も低下しているのにそれには関心を示さないですね。将来に向けてはどんな考えをお持ちですか。

学校教育だけではどうしようもないところに来ているので、地域社会の教育の形を作ることが僕は必要だと思う。そこでは教科の学力の問題よりも、社会的な関係力とか体力とかの問題の解決に取り組むのです。

学力を向上させ、貧しい国を豊かにするには、画一的にやる学校教育はどの国でも成功しているんです。日本は最も成功した国なんですが、画一的な教育で豊かさを持続できるかとなると、これに成功した国はない。計算力の低下が心配と言うけど、いま社会を危なくしているのは、計算ミスして耐久性のないマンション作ったのではなくて、意図的に間違えているだけのこと。学力が問題なのではなくて、社会関係性や善悪の判断が問題なんだと。そのことを子どもたちに教えるのに大事なのは自然体験。体験活動を通して自分で痛い経験をして学ぶこと。

──子どもたちを帆船に乗せるセールトレーニングもやっておられますね。

ええ、残念なことに横浜は日本一の港町なのにセールトレーニングの帆船がないので、大阪から「あこがれ」という帆船を借りてきて、東京湾を越えて千葉の富津に子どもたちを連れて行って、交歓会やって。ボク、船苦手なんです、情けないでしょ(笑)、僕は車で湾岸を通って行ってね。実感で学ぶ海との関係は、学ぶことが多い。「海をきれいにしようね」って言葉で言ったってきれいにしないですよ。教室の中だけでできると思っていることが大きな問題でね。黒板叩いてやっていれば人が育つと思ったら大間違い。

──ご自身の子ども時代はいかがでしたか。

親父が福井、おふくろが岡山の田舎生まれで、ボクは大阪で育ったんですけど、両親とも仕事してましたので夏休みになると「行ってこい」って、ずっと田舎に放り込まれてた(笑)。夏の間じゅう大阪にはいなかったです。帰ってくると岡山弁になってて(笑)。

──どんなふうに遊んでましたか。

遊んでたはずなんですけど、畑のスイカ持ってくるとか労働しに行ってんのかなと感じてました。当時のことをお爺ちゃんお婆ちゃんに聞くと、「あれだけ遊んだくせして」って言うんだけど(笑)。畑で(働くときに)ミミズを捕っておくとそれで川で魚が釣れる。でも、おじさんたちに言わせると、「ちがう、ちがう、ミミズ捕るために畑にいただけだ」って(笑)。田舎に行くとテレビがないでしょ。夜つまんないんですよ。夜中は暗い。メシは野菜ばっかり。楽しみで行くのではなくて、親父が町工場やってて子どもがいるとめんどくさいから行かざるを得ない(笑)。でも、当時はそういう家庭が多かったですよ。当時の大阪は田舎から出てきた人が多かったから。横浜のここら辺は親から代々いるからか、猛暑の中で夏も子どもがずっと町にいる。

──中区とか南区は地の人が多いですね。

でも、昔は川や海で遊んだりしていたはずだけど、今は外で遊べる涼しい場所がないから、クーラーかけて部屋の中でファミコン。公園とか作ってもアスファルトの所で暑い夏に遊べない。本当にそれでいいのですかね。

山下公園で海に降りて遊んでいると、怒られたけど、昔はできたんですよね。公園に木が茂ってたのにホームレスの人たちがいるからって払って、日陰がないので、子供達は夏休みに街の中に居場所がないですね。

アメリカは日本よりこういう生活環境を早く経験してるから、夏休みに長期のサマーキャンプをやっているんです。1か月くらい、アメリカじゅうの子どもの多くはサマーキャンプにいます。僕は日本でも早くやろうと自然体験活動を推進していて、夏休みに入ったらすぐ子どもを北海道で引き受ける。自由に来て自由に帰ることができる。

──いいですねえ。

学びというのは、まず子どもが学ぶことということが前提にあって、それを大人が支援するのです。確かに、先生が引っ張って行かないと効率よくは学べない。でも、そのときは良いけれど、だれか引っ張ってくれないとできないグライダーみたいな人間になっちゃう可能性は高い。

──なるほど、NPO教育支援協会は、教育するのではなく、教育を支援する協会なのですね。

「教育活動をサポーティングしようという人間が組合を作ろう」というサポーティングユニオン。理屈じゃない、具体的に実践できる教育を作ろうということなんです。

──ありがとございました。

教育支援協会フリースペースみなみにて(2月13日取材)
インタビュアー 武松・植草

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