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野並 直文 氏
インタビュー 2007年5月
「宝は海の向こうかっていう遺伝子が横浜の経済人の中に脈々と生きていらやってくる」るのじゃないかと思う。
(株)崎陽軒 取締役社長 野並 直文
PROFILE
昭和24年生まれ。昭和46年、慶應義塾大学商学部卒。(同大大学院経営管理研究科修了)。47年、株式会社崎陽軒入社。54年、取締役就任。平成3年、取締役社長に就任。横浜商工会議所副会頭。財団法人横浜青少年育成協会理事長。社団法人横浜中法人会副会長。横浜ロータリークラブ会員。ヨコハマズ・ベスト・コレクション常任理事ほか公職多数。

──売店で見ましたら、今はシウマイの種類が多いですね。「桜えびシウマイ」とか。

そう。私が社長になったとたんにバブルの崩壊。ちょうど、下りのエスカレーターに乗っているみたいな気分ね。高度経済成長の時は、エスカレーターにお行儀よく立っていれば自然に上っていった。ところが、(下りになって)立っているだけだとどんどん落っこっていっちゃう。一生懸命駆け上がって、下るスピードと上がるスピードとどっちが速いかで勝負が決まる。去年と同じ事をやっていてはダメだってことです。「新製品を作れ、新しいマーケットを開拓しろ」って言ってたら、カニシウマイは出来ちゃう、エビシウマイは出来ちゃう。そのうち「豆腐シウマイ」。食べてみて「もうちょっと豆腐入れたほうがいいと思うんだけど」って言ったら、「豆腐のおいしさを追求したらシウマイでなくて豆腐になっちゃいます」って(笑)。さらに菓子まで売り出してさ。横濱月餅とか饅頭とか。

──月餅がおいしいって評判ですね。

中華街で売ってるのは大きくて、あんこは中華風。日本人向けのさっぱりしたあんこにして、いろんな種類がある。最近の流行は季節限定。限定というと売れる(笑)。

──日本人は限定に弱いから。

いつでもどこでも買えるとなるとダメ。地方に行くと食文化ってあるじゃない。金沢なら加賀料理、高知の皿鉢料理だとか。横浜料理っていうのはない。

──ないですねえ。

じゃ、食文化はないのかというと、ある。海外からいろんなものが入ってきて、日本古来のものと結びついたのが横浜料理って言っていいのじゃないか。例えば牛鍋。シウマイ弁当もそうだよね。シュウマイという中国の食文化と、駅弁という日本の食文化の合体したもの。

駅弁は日本が世界に誇る食文化だと思うわけ。ほかの国にはない。イタリアでパンとチーズとワイン詰め合わせみたいのがあるけど、ほかは列車食堂になっちゃう。なんで日本だけが駅弁文化が生まれたか考えるんだけど、やっぱり貧しいんだよ。しょっちゅうお腹がすいている。なんでも、食うことから始めるわけ。相撲見に行ってもまず食う、野球見に行ってもまず食う、電車乗ってもまず食う(笑)。食い終わってから何しようかという話になる。

もう一つは「幕の内弁当の美学」。ちっちゃい中にいろんなおかずを詰め込んで大きな世界を表現する。箱庭とか盆栽とか、コンパクトな狭い空間なんだけれど宇宙的なものを表している。日本人はそういうのが得意なんだ。

うちは最初は普通の弁当屋だったんだけど、横浜は駅弁がなかなか売れないわけです。(下りは)東京駅で買ってくる。大阪から上ってくる人は今さら弁当買う気になれない。横浜は歴史が浅いから名物もない。「無いなら作っちゃえ」って、中華街からコックさんに来てもらって、駅弁の必要条件の「冷めてもうまい」シュウマイを作ってくれって。そのためには高い材料でも仕方がない。帆立貝柱と豚肉をミンチにしたのを作ったんです。

さらに、中華街のシュウマイは大きいでしょ、列車の中で食べるのに、ガタガタ揺れてるじゃない?食べづらいから小粒にしたわけ。よく、「小さくなった」って文句言われるんだけど、昭和3年に発売したときから小さいんだ(笑)。

──私も小さくなったと思ってました。

あんまり言われるから「大きいの作ろうか」って「特製シウマイ」を作った。帆立貝柱はオホーツクのほうで採れる。流氷に小さな藻みたいのが付いていて、春になるとその藻も溶けて、プランクトンが食べる。プランクトンが増えて、それをホタテ貝が食べるという生態。だから流氷がたくさん押し寄せた年の帆立貝柱は出来がいい。

──ブログでシウマイの話題を書くとすごく反応して来るんですよ。

シウマイ弁当の2ちゃんねるがあるんだよ。オフ会なんかやってる。おもしろいよ。

──昨年、商工会議所副会頭になられましたが、横浜経済界全体について、今まで以上にお感じになられることは?

商工会議所の話をするときはバッジを(法人会用から会議所用に)変えなくちゃいけないかな(笑)。私は開港150周年の特命担当。150周年の意味を考えると、横浜は大変な苦難の歴史がある。開港した当時は不平等条約だったのが少しずつ横浜商人が結束して、平等な形に戦い取っていった。関東大震災、戦争の空襲で横浜の街は何度か焼かれちゃってる。

戦争が終わってもすごい範囲を駐留軍に接収されて、発展しようにも阻害されてきたわけです。本牧行くと、網(フェンス)の向こうは広々とした芝生の中に点々と外人住宅があって、別世界。伊勢佐木町に行くと(旧)野沢屋の向かいに、今の不二家ね、将校クラブがあって。アメリカの軍人さんが長い脚を組んで、2階からガラス越しに街を見下ろしているわけ。(最近)戦後30年くらいの横浜風景の写真展を見に行ったら、将校クラブが意外に小さいんだよね。子ども心に見て、でっかいビルだと思ったんだけど、ああこんなものだったんだと思った。そういう中にあっても横浜はどんどん発展してきた。その背景には、我々の先輩たちがすごい苦労してきたわけです。

横浜経済界がここ20年くらいでいちばん盛り上がったのは、首都圏第三空港誘致の話なんです。千葉は反対運動がすごいでしょ。それなのに横浜は、誘致運動になっちゃう。やはり開港以来の歴史の中で「宝は海の向こうからやってくる」っていう遺伝子が横浜の経済人の中に脈々と生きているのじゃないかと思う。それをこれからの横浜の発展に結びつける。開港150周年というのは、単に過去を振り返るだけでなくて、次の100年、150年のことを考える機会にしなくてはいけないと思うのです。

──具体的な案は出ているのですか。

案だけはたーくさん、出てる(笑)。市民から募集したんだけど、全部やると、街中博覧会みたいになる。山下公園から、新しくできる象の鼻地区のナショナルアートパーク、関内とか。できるかはお金と相談しながら。

──崎陽軒三代目の社長にとって、横浜は生まれ育った所ですよね。

私は港北区、妙蓮寺です。故高秀市長が最初の選挙の時に「私は青葉区だから横浜市民なんです」と言ったら、「港が見えない所は〈横浜〉じゃなくて〈横山〉。横山市民なんですよ」って(笑)。港北区も横山かと考えていたら、新横浜の駅前にプリンスホテルが出来て、てっぺんに上ってみると港が見えるわけ。港北区も〈横浜〉だと思って。

──子どものころは横浜駅東口に崎陽軒の旧社屋があったのですよね。

そうね、上に三角形のとんがり帽子みたいなのをかぶった3階建てのビルがあって、それが竣工したのが昭和30年。竣工式は何となく覚えている。屋上から港が見えて、当時ビアガーデンをやった。今は埋め立てられちゃって、港が遠くなった。

──学生時代は崎陽軒でアルバイトをしていたそうですが、子どものころはどうでしたか。お坊ちゃまでしたよね。

無口なお坊ちゃまでねえ(笑)。無口な上にどもりになっちゃって。カキクケコが発音できなくなっちゃった。母がお医者に見せに行ったら「嫌がることを無理にさせてませんか」「ピアノの稽古をさせてます」。やめたらぴたりと治った。だから、今ピアノは弾けないけどさ、カキクケコははっきり言える。

──「キヨウケン」のなかにカ行が2個もありますよ(笑)。横浜駅の歴史にお詳しいですよね。

崎陽軒の歴史が駅から始まっているので。最初に鉄道が開通したときの横浜駅は今の桜木町。桜木町で商売初めて、高島町に二代目の横浜駅が出来て関東大震災で壊れて、その後が今の場所の横浜駅。駅がだんだん移ってくるとともに崎陽軒も移ってきたんです。来年、創業100周年で、次の年が開港150周年。100周年の翌年が150周年だから、1年間で50年、トシとっちゃう(笑)。

──東口は西口より発展が遅れましたね。

遅れたね。元は東口が表口。何が表だか知ってる?駅長室があるのが表。昔の大きな時計がある駅舎、あの中に駅長室があったけど、東口は海が迫ってたから発展の余地がない。西口はずっと開けていたから。今のジョイナスになる名店街が出来て、横浜の張り切っている商人はみんな出店した。「西口なんて砂利置き場で商売やったって」って言った人は儲け損なっちゃった。

──いろいろな団体の役職をされていますが、そういうお立場からでも、社長としても、夢はありますか。

もっと大勢の人に横浜に来て貰いたい。そのためには横浜の魅力を高めなくてはいけない。その一つはおいしい物を発信していくことだと思う。中華街があるけれど、それだけじゃなく、海外の食文化がいろいろ入ってきた横浜ならではの〈横浜料理〉を発信して、ぜひ食べてみたいとお客さんがたくさん来てくれたらと思うんです。

──今日はどうもありがとうございました。

(株)崎陽軒社長室にて(3月13日取材)
インタビュアー 廣岡・岡村・小竹・斉藤
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