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高橋 秀実 氏
インタビュー 2007年3月
当たり前のことが当たり前であるが故に面白い、その辺のことが描けたらいいなといつも思っているんです。
ノンフィクション作家 高橋 秀実
PROFILE
1961年、横浜市生まれ。県立希望ヶ丘高校、東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経て、ノンフィクション作家に。著書に「TOKYO外国人裁判」(平凡社)、「にせニッポン人探訪記」「からくり民主主義」(草思社)、「素晴らしきラジオ体操」(小学館文庫)、「平成兵法心持。」(中公文庫)、「トラウマの国」「はい、泳げません」(新潮社)、「センチメンタルダイエット」(アスペクト)。現在、R25でコラム「結論はまた来週」を連載中。

──先生が書かれた「インタビューの極意」に、取材でお会いするときはすべてを忘れた方がいい、とありましたが、わたしの場合、既に頭が真っ白です(笑)。毎回横浜ゆかりの方にご登場願っていますが、お生まれも横浜ですか。

そうです。中区上野町に幼稚園の年長組くらいまでいて、そこから保土ヶ谷区に。大学から東京に移ったんですけど、東京って地方から来ている方が多いですよね。夜汽車かなんかで「じゃ、行ってくる」、お母さんがおにぎり作って「頑張ってきなさい」とか。横浜出身はそういうのないわけで、何か決意してきているわけでもないし。独特の立場というか……。ビヤガーデンでバイトしていたときに、沖縄から来ている人がジョッキを割ると、「いろんな思いがあって、その結果割っちゃったんだ、疲れてるのかなあ」ということですが、私が割ると、単なる不注意。決意とか野心がないんですよね。

──今のお仕事を始められたときは、こういう仕事をするんだという……。

(野心があって)決意を固めて気合いを入れて?(笑)大学を卒業してテレビの制作会社に入ったんですけど、向いていないなと思ったんですよ。最初はAD(アシスタント・ディレクター)という出演者のお弁当を発注したり雑用で、3年目くらいになると実際にロケに行って撮影する。撮影して編集するんですけど、私はすぐ煮詰まるので時間がかかっちゃうんです。編集所借りたりお金かかるし、人に迷惑かかるし、これ、向いてないんじゃないかと思って。書くのならもっと速くできるんじゃないかなと。だから、テレビがダメだから、書く仕事に移ったんです。

──『はい、泳げません』の取材では、40代になられてから実際にスイミングスクールに通って水泳の練習をされたのですよね。

はい、実際にあった話です。わたし、水が恐いんです。先天的水恐怖症。小さいとき頭も洗えなくて〈クリちゃんのシャンプーハット〉っていうのを頭にかぶって洗うんですけど、流れたお湯が(外側からつばを伝って中側へ)入ってくるんですよ。パニックになった記憶があるくらい。あのときは水泳の本というお話だったのでお断りしたんです。ただ断るのも失礼かと、1回だけレッスンを受けたんですけど、なんにも覚えていない。頭が真っ白。記事にはできないということで、編集者にいかに水が恐いかという話をしたんです。そしたら、「それで第一章はできましたね」(笑)。

嫌だからちょっとずつレッスンに行って、それでも(連載終了時には)泳げるようになったんです。

──わたしも水、恐いんです。スイミングスクールに通ったのですけど、水着が悪いからだって、水着8枚も買って(笑)。

水泳って、泳ごうとしてはいけないんですよ。「泳ごう」と思うってことは、今泳げていないということですよね。だから「泳ごう」というのでなくて「泳げちゃった」という感じ。水に親しみを持とうと思うとダメですね。嫌いなものを好きになろうったって無理でしょ。嫌いなものは嫌いなまま折り合いをつける。水は嫌いなんだけど泳げちゃう、みたいな、ね。

──お話が分かりやすいですね。学校の先生になろうと思いませんでしたか。

いえ、いえ。アルバイトで子どもを教えていたことがあるんですけど、難しいですよね。歴史で「縄文時代は縄文式土器を使って、木の実を取ったりして生活してた」って言うと、子どもたちは「ホント?」って聞くんですよ。「見てきてないからホントかどうか分からないけれど、いろんな証拠からこの時代は縄文時代と呼ばれています」と教えるじゃないですか。「その後、弥生時代というのがあって」と言うと、「ホント?」「ホントかどうか分からないけれど……」(笑)。教えるというのはある種の決めつけで、それをする先生ってたいへん。「先生がそう思ってるだけでしょ」みたいな話になっちゃう。それで教育はちょっと……。

──では、こういう仕事をやりたいというジャンルはありますか。

うーん、できれば仕事したくない(笑)。仕事をせずに済んだらどんなにいいだろうかと。今までにやったことがあることはやりたくない、というのはあります。取材するときに予備知識とか勉強はしますけど、なんにも知らないところから調べたりお話を伺ったほうがいろんなことが分かるので。「それは分かってる」という感覚は、何も生み出さないですね。

──予備知識が入っていると仕事としてはしにくいということですね。

そうですね、分からない対象のほうがやる気にはなりますね。例えば、ダイエットの取材のときも、事前に全く分からなかった。女性ほど分からないものはないですから、これはもう、何がなんだか全然分からない。それでやる気にはなったんです。たまたま妻がダイエットすると言うので妻に取材しようということになったんですが、「別腹」とか言いながらいっぱい食べてる。「ダイエットすると言ったのに、どうしてしないの?」と言うと「ダイエットできないのはあなたのせい。太ったのはあなたのせい。結婚してたまるのは脂肪だけ」(笑)。彼女には「わたしは痩せれば美人」というキャッチフレーズがあって、今はまだ痩せてないから正体を隠している、みたいなね。

──いい言葉ですね(笑)。

本や雑誌に書いてあるのは「食べ過ぎてはいけません」「○○をしてはいけません」という禁止事項。禁止されるとストレスになって、かえって食べちゃうんです。取材してて、脂物はいけないとか聞くと、脂っこい物を食べたくなってきて(笑)。どうすればいいかというと、「もう、いいや」と思うことなんです。ケーキを見たときに、「ケーキはもういいや」と口に出す。これまでケーキは何10万個と食べてきたんですから。禁煙も、何千万本も吸ってきたからもういいや、と思うと、満足感でやめられる。

──はあ、なるほど。わたしは家に帰ると「ああ、今日も終わった」って、おなかがすいてなくても何かしら食べてたのをパッタリやめたんです、今年から。500グラムくらい痩せました。

今年?今年から、ですか?まだ1月……(笑)。

──先生は小説を書く予定はないですか。

小説は自由に書けるじゃないですか。自由が苦手なんです。ノンフィクションで書いていると、実際に取材をする相手がいるから、相手が言っていないことを書いてはいけないですね。書いたことでその人が傷ついたり不快な思いをさせたくないというのもあります。そういういろんな制約があったほうがアイデアが浮かぶんです。

わたしは面白い話を書こうというのではなくて、当たり前のことが当たり前であるが故に面白い、その辺が描けたらいいなといつも思っているんです。普段、人は面白い話ばかりするわけではないですよね。最近はテレビでも「ウケなくては」という強迫観念に駆られていて、四六時中面白いこと言って四六時中ウケをねらう。そんなことをしなくても人間の会話って面白いんですよ。

──当たり前って、すごく難しいことではないですかね。

そうですね。会社から帰ると、出ていったときと家の中が同じで当たり前。昨日と今日が同じに見えるというのは、何もしなかったのではなくて維持する作業があるんですよね。元通りにしている人がいたり、そこに労力が使われているということが忘れられている感じがするんです。特に男の人はその辺の感性が鈍いような気がする。「そんなの当たり前じゃん」ていうふうに、思いがちなんです。会話もそうだと思うのですけど、「本当に当たり前なのかな」という疑問を持とうとしているんです。

──お忙しいなかでも何か趣味の時間はありますか。お酒は?

お酒、呑めないです。赤くなって、体質的に。

──趣味というか、ものを書くのはお好きなのですよね。

好きでやっているという感じはないですね。始めた頃は好きだったような気がするんですけど(笑)。

若いときは感じなくても、だんだん自分が生まれ育ったのがどういう所なのか、考えるようになったりします。出版社からの原稿依頼でも、できるだけ横浜関係にはご協力したい。相鉄線の冊子「相鉄瓦版」とか(横浜市広報局の)「横濱」とかに出させていただいて、横浜の人と親交を持てればというふうに思っています。

法人会税経研修センターにて(1月16日取材)
インタビュアー 廣岡・日臺
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