【2018.08】下手くそな僕です。
僕は、何をやっても、人より下手くそです。
人はみんな生まれてから大人になるまで、それぞれの、そして様々な環境の中で何かしら努力をして「これが得意!」ということを見つけると思うのですが、僕なりに努力してきたはずなのにそれが無い。
みんながサラッとできることが僕にはなかなかできない、子どもの頃からずっと。そんな風にいうと自分がだんだんかわいそうになって来るので言い方を変えましょう。
「下手くそだけど大好きなコト」。これならいくつかあるんですね。
たとえば、料理とか。独り暮らしなので、揚げ物などといった後始末が面倒なものは、さすがに自分のためだけに作ることはありませんが、晩酌用の簡単な小鉢的なモノなら二つ三つ、ちょいちょいと作るのが好き、下手かもしれないけど、食べるのは自分だけだしさ、お気に入りの器に盛りつけて悦に入り、充分おいしいと、自分が思えばそれでよし、誰にも迷惑かけないしさ。
あ、肝心の、こうした文章。本業が広告のコピーライターで、このような場でエッセイなども書かせていただいていますが、書くことや考えている時間はとても好き、でもいつも書きながら、オレ、下手だなぁ、とは思うんですけどねぇ、なのに30年近くも続けちゃってる、ありがたいことです。
あ、いつものように本題に行きつく前に紙面が尽きそうなので早々に本題に入ることといたしましょう。
僕にとって「下手だけど大好きなモノ」。そのトップ3に入るのが、釣り、です。

今住んでいる横浜の片隅の港町に20年前に引っ越して来てから、船宿の人や漁師の人達と仲良くなって、自然に船釣りファンになりました。
それまで米軍基地の街に暮らしていた僕にとっては新鮮な驚きでいっぱい、旅番組やグルメ番組で見るのとは全く違うリアルな港町生活。
船釣り。遠方の人から見ると、けっこう気合が入るレジャーだと思うのですが、これが日常的なことになってしまったんですね。
「明日鯵釣りで船出すからさ、オサムちゃんも乗りにきてよ」と夜中に船頭から電話がきたり、ビール片手に港を散歩していると、「あ、ちょうど良かった!今からイシモチの船が出るから乗ってきなよ」と船宿の女将から声がかかったり。
Tシャツ短パンビーチサンダル、といったほぼ部屋着という脱力ぶりでそのまま船に乗り込み釣り開始。
そんな様子なので、場数はどんどん増えてきます。
先日、久しぶりに船に乗って鯵釣りに行きました。体調の事や仕事の事などいろいろあって、気が付くと約2年ぶりの釣行。
地元の立ち飲み屋さんで仲良くなった二人のおじさんが釣りに行きたいからセッティングしてちょうだいということで、僕は幹事およびガイドさんとして参加したわけです。
仲良しの釣り宿に予約をして、当日は朝一番に港に到着、速攻で3人分の釣り座をキープ、そして3人で飲むための缶チューハイなどを準備するなどの用意周到ぶり。
二人のおじさん、と書きましたが二人とも70代半ばでして、船で鯵釣りなんて何十年ぶりじゃろか?という会話をしています。で、釣り開始。晴天で海も穏やか。で、その二人、ぼんやりしているように見えてすんごく釣るんですよ。さっきまで、僕が釣り方のレクチャーなんかしてたのに、僕がビリ。
僕が釣った数匹の鯵は全て母にあげました。
下手くそだけど大好き、で、くやしい。なんか、そんな連続だな、僕は。
Photo:藤間 久子『Slowly』