公益社団法人横浜中法人会
 
公益社団法人 横浜中法人会 住所:横浜市中区不老町2-11-8 税経研修センター TEL:045-662-6433 FAX:045-641-8222
HOME 法人会概要 入会のご案内 サービス 行事予定カレンダー 他会行事予定  
公告の掲載について
僕のお守り

【2015.06】はじめてのてんさい。

ヨコハマ民衆文化誌「はま太郎」の出版社の方が、執筆を依頼してくれたので、書かせていただきました。「独り酒マエストロの書棚」というコーナー。

酒呑みが好きな本の書評をする、といった内容です。

せっかく書いたので転載しますね。以下、そのエッセイ。


肝機能の数値。

慢性的に大酒をくらう諸兄は、きっとビビッドに反応するワードではないでしょうか。え、そうでもない?

そういうヒトは無視してハナシを進めます。

僕にとっては、なるべく避けて通りたいコトバです。

年に一度、成人病検診ってやつを受けるのですが、血圧だの何だのよりも、お酒でどのくらいカンゾーがイカレているか、を示す、ガンマなんとか、という数値を見るのがコワい。

自信があるんですよ、絶対に正常値なワケがない、と。

日々、節制していれば、細く長くお酒を楽しめるわよ、などと言われても、そういうの、性に合わないんですね。

父が死んだ歳よりも、ひとつ年上になりましたが、そりゃあ父は見事な突然死っぷりでした。

父は、ま、いろいろ病気を持っていましたが、基本的には丈夫で、ガタイもよく、九州男児らしく酒も強い、でもって、健康には気を使うというヒトでしたが、48歳でコロリ。

てなワケで、そういうのをリアルに見ていると、生死観というか、人生観というか、そういうものが、なんだか刹那的な方向に向くように思います。

でも、ヤケっぱちに毎日を送っているということでもない。

僕は、広告をこしらえる、という仕事をしています。専門は、コピーライターというポジションです。

僕には、尊敬するコピーライターの方がいます。

一度だけお目にかかったことはありますが、おそらく僕のことは覚えていなかったと思うんですけどね。

岩崎俊一さんという方です。

今年、お亡くなりになりました。

その、岩崎さんが遺された、暖かなエッセイ集があるんですね。

「大人の迷子たち」(岩崎俊一・廣済堂出版)

そのエッセイ集の中に、「死なないことを大事にするか。生きることを大事にするか。」という一編があります。

癌の疑いを告げられたショックでお酒を断っていた友人が、ある時からグイグイ飲みはじめた、というところから、短いエッセイはスタートします。そのワケを尋ねたところ、その友人は3.11の地震で多くの知人を亡くしたからだという。

でもその友人がお酒を飲み始めたのは自暴自棄になったからではないんですね。たくさんの人が理不尽に亡くなった。

「ええい、水ばっかり飲んでいられるか」という気持ちになったのだと言う。このナベさんの心変わりを投げやりとかやけっぱちというのは、とんでもない間違いである。逆なのだ。ナベさんは、反対に前向きになったのだ。いたずらに死の影におびえるのではなく、楽しく悔いのないように生きようと思い直したのだ。言葉を変えれば、死なないことを大事にするのではなく、生きることを大事にしようと思ったのだと思う。その証拠に、酒を断っていたあの頃より、酒盃を傾けるいまのナベさんが何倍明るく、大きく見えることか。周囲の誰もが、そう思っている。

短いセンテンスであっても、死なないことを大事にするか。生きることを大事にするか。というタイトル、キャッチフレーズは、酔った僕の気持ちの中で、いつもゆらゆら揺れて、でも、結局、自分は生きることを大事にしよう、とぼんやりと、思うのです。

さて、今日も、飲みに行こうっと。

また、野毛か。  終


てなワケで、いつもと変わらないゆるい原稿ですが、「はま太郎」はとても丁寧に創られているステキな本です(特にヨコハマの酒呑みにとってはね)。伊勢佐木町の有隣堂他で売ってますよ。

Photo:藤間 久子『Slowly』

会員情報
会員リスト
会員専用メニュー
会員専用 会員リスト
メールアドレス登録
操作マニュアル
部会
青年部会
社会経済の動き
 

-天気予報コム- -FC2-
社団法人横浜中法人会
Copyright (c) 2004-2006 Yokohama Naka hohjinkai All rights reserved. Produce by saipri